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75 鉱山へと

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「ミゲルよ。私はジークに信頼されてないのだろうか?」

馬車の中でそう聞くとミゲルは苦笑しながら言った。

「ジークさんはカリス様のことをとても心配しているのではないでしょうか」
「まあ、それはわかるが・・・」
「あの・・・ところで護衛が僕だけって本当に大丈夫なんですか?」
「ん?まあ、大丈夫だろう。今回は鉱山に行くだけだからね」

そう、今回は領地にある鉱山へと視察の名目で向かっていた。とはいえ、本当の目的は視察ではなく、サーシャに贈る誕生日プレゼントのための材料集めも目的の一つだ。フォール公爵家の領地にある鉱山は最近までほとんと手付かずで保管されていたが、父上の代から本格的に鉱物資源の発掘に手を出すようになった。しかも父上がやりはじめてすぐに俺へと公爵家の当主の座を譲ったことにより、実質的にはカリスさんの代から始まったプロジェクトだったりする。

つまり、まだ未発見の鉱物資源が眠ってる可能性も高いし、それ以外でも金やルビーなど鉱石はそこそこ豊富だったりするだろう。

まあ、俺としてはなるべくいい品で、サーシャのプレゼントを作りたいと思ってやってきただけなので、護衛もお目付け役のミゲルだけしか連れて来なかった。公爵家の当主としてはあまり褒められた護衛の人数ではないが、まあ普通の賊なら一人で対処できるだろうから問題ないだろう。いや、うん、マジでカリスさんの身体的スペックは化け物なみですから。

「それより、ちゃんとレイナとの関係を構築できているか?」
「そ、それは、その・・・仕事が忙しくて時々しか会えないので・・・レイナも仕事が大変そうですし」
「まあ、雇い主だからあまり私から言える言葉ではないが・・・そこは頑張って仕事を効率よく終わらせて、時間をつくるべきだろうな」
「はい・・・でも、どうしてもジークさんみたいに早く終わらせることが出来なくて。そういえば、カリス様もお仕事早いですよね」

そう言われるがそうかな?と首を傾げてから頷いて答えた。

「私の場合はやることが明確だから楽なのかな」
「明確ですか?」
「そう、公爵家の当主としてやるべきこと、一人の父親としてやるべきこと、そして、愛する家族のためにやるべきこと。これらがきちんと自分の中で線引きされているからね」

そう言うとミゲルは感心したように頷いてからポツリと言った。

「僕もレイナのために頑張って・・・」
「そうだよ。せっかくレイナをミントの専属侍女にしたんだから確実にものにしなよ」
「あの・・・それはどういう?」
「ん?いや、例えばバジルの専属にしてレイナがバジルに惚れたら困るだろ?」

レイナの様子を見るからにそれはあり得ないが、そう言うとミゲルはハッとしてからこくりと頷いた。

「そうですよね・・・レイナが他の男に取られる前に僕がレイナの一番にならないとですね」
「そうした方がいい」

どう見ても相思相愛なんだから早くくっつけばいいのに。まあ、ラブコメ的なじれじれした展開は嫌いじゃないが、この子達が幸せになるならどちらでもいいかと思いながら俺はミゲルの相談に乗ってあげるのだった。



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