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57 敵か味方か

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「久しぶりねローリエ」
「こんにちはおばあさま!」

相変わらずローリエが大好きな母上はそのローリエの挨拶に嬉しそうに微笑んでから俺を見て言った。

「やっぱり可愛い・・・カリス、この子私にちょうだいな」
「はは、母上。冗談でも笑えませんよ?」

ローリエにわからないくらいの戦いを繰り広げる。相変わらず母上は油断できないが、それでも俺はこの人に言うべき台詞があるので頭を下げて言った。

「母上、来てくださってありがとうございます」
「気にしなくていいわよ。私は可愛い孫と嫁に会いにきただけだから」
「息子は可愛くないんですか?」
「あら?可愛いって言ってほしいの?」
「いえ、全く」

ふふふとお互い笑う。そんな俺たちを見てローリエが首を傾げて言った。

「おとうさまかわいい?」
「ありがとうローリエ。でもお父様に可愛いは似合わないかな。可愛いはローリエとお母様に合う言葉だからね」
「うん!」

キラキラスマイルのローリエ。やべぇ、うちの娘が可愛いすぎる!母上もローリエを見て頬を緩めているのである意味俺と母上の血の繋がりを感じてしまうが、そこでふと、母上が言った。

「そういえば決めたの?」
「何をですか?」
「子供の名前よ。一応旦那様の意見と私の意見もあるのだけど・・・これは当日にでも言うべきかしら?」
「そうですね。サーシャとも話して決めたいので」

正直、名前をつけるのとか結構苦手なんだよね。いや、ネーミングセンスがないわけではないけど、自分の子供にどういう名前をつければいいか正直悩みどころなんだよね。

男の子か女の子かで名前も変わってくるし、というかうちの家督を誰に継がせるかも問題ではあるんだよね。ローリエが継ぎたいと言えば誰かローリエが好きになった人を婿にいれるしローリエが拒否するならそれならそれで次の子に期待するしかないけど、強制はしたくないんだよね。

もちろん家を存続させることは大事だけど本人が納得しない道を選ばせる気はないのだ。一番は子供の幸せ。二番に家の繁栄・・・まあ、貴族としては失格だけどそうとしかできないから仕方ない。

結局は継いでくれる子がくるまでは俺が頑張ればいい話だし、本当にダメなら継いでもらう前提で養子でも取るしかないだろう。

まあ、流石にそんな事態にはならないだろうが、とりあえずローリエの乙女ゲームフラグが完全に消滅するまでは俺の戦いは続くだろう。

なんか漫画とかにある『俺達の戦いはこれからだ!』エンドが頭をよぎるが現実はそんなことはないので俺は安心して、でも注意して家族の幸せのために頑張るしかないだろう。


それはそうと、母上がローリエを独占しているのでとりあえず取り戻そうと俺は二人に歩み寄ったのだった。


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