51 / 141
閑話 少女と少年の憧れ
しおりを挟む
「わぁ・・・!」
一面に咲く花に思わずそう言葉に出るローリエ。そんなローリエを見てくすりと笑いながらセレナは言った。
「どう?この辺りは特に今が時期だから綺麗でしょ?」
「はい!せれなさま、ありがとうございます!」
「喜んでもらえて良かったわ」
そこでセレナはもう一人がそわそわしているのを見てため息混じりに言った。
「セリュー、気持ちはわかるけど、ローリエさんを一緒に案内なさい」
「ね、姉さん。でも・・・」
「まったく・・・憧れのフォール公爵に会えたからってはしゃぎすぎよ」
セレナはセリューがカリスによってどれだけ精神的に助けられたか知っているので気持ちはわからなくないが、それでも姉としてきちんと注意する。
「お父様とフォール公爵は今大切な話をしているの。だから今は私と一緒にローリエさんを案内しましょう」
「うん・・・すみません、ローリエ嬢」
「だいじょうぶです!」
にぱっと明るく笑うローリエ。カリスが見ていたら抱きつきそうな笑みに実際にセレナは抱きついて撫でながら言った。
「やっぱり可愛いわ!ローリエさん可愛い!」
「姉さん。ローリエ嬢が困ってるから」
そう言って驚くローリエから姉を引き剥がす。それからセリューはローリエを見て言った。
「ローリエ嬢のお父上は素晴らしいですよね」
「はい!おとうさまはせかいいちかっこいいです!」
迷いなくそう答えるローリエ。そんなローリエにセリューも深く頷いて言った。
「フォール公爵はすごく格好いいですよね。優しくて頭がよくて、その上お父様に聞きましたが剣術もお強いとか?」
「ええ、前に私も見たけど多分騎士団長より強いかもしれないわね」
「おとうさまはすごくつよいです!」
えへんと、胸をはるローリエ。そんなローリエにまた抱きつきそうな姉を抑えつつセリューは言った。
「僕はフォール公爵に救われました。フォール公爵は正妃の子供なのに側妃の子供の兄さんより不出来な僕のことをちゃんと自分に出来ることを探せばいいって言ってくれました」
きっと誰でも言える言葉なのだろう。でも、だからこそ最初にその言葉をかけた人物は心に強く焼き付けられる。刷り込みとでも言えばいいのだろうか?ローリエもなんとなく意味がわかったのか頷いて言った。
「おとうさまはだれよりもやさしくて、だれよりもつよいです!」
「ええ。ローリエ嬢、今度私も姉と一緒に遊びに行ってもいいですか?」
「はい!」
眩しい笑顔。二人の心には同じ人物が強く焼き付けられているからだろうか。不思議と仲良くなれると二人は確信したのだった。
一面に咲く花に思わずそう言葉に出るローリエ。そんなローリエを見てくすりと笑いながらセレナは言った。
「どう?この辺りは特に今が時期だから綺麗でしょ?」
「はい!せれなさま、ありがとうございます!」
「喜んでもらえて良かったわ」
そこでセレナはもう一人がそわそわしているのを見てため息混じりに言った。
「セリュー、気持ちはわかるけど、ローリエさんを一緒に案内なさい」
「ね、姉さん。でも・・・」
「まったく・・・憧れのフォール公爵に会えたからってはしゃぎすぎよ」
セレナはセリューがカリスによってどれだけ精神的に助けられたか知っているので気持ちはわからなくないが、それでも姉としてきちんと注意する。
「お父様とフォール公爵は今大切な話をしているの。だから今は私と一緒にローリエさんを案内しましょう」
「うん・・・すみません、ローリエ嬢」
「だいじょうぶです!」
にぱっと明るく笑うローリエ。カリスが見ていたら抱きつきそうな笑みに実際にセレナは抱きついて撫でながら言った。
「やっぱり可愛いわ!ローリエさん可愛い!」
「姉さん。ローリエ嬢が困ってるから」
そう言って驚くローリエから姉を引き剥がす。それからセリューはローリエを見て言った。
「ローリエ嬢のお父上は素晴らしいですよね」
「はい!おとうさまはせかいいちかっこいいです!」
迷いなくそう答えるローリエ。そんなローリエにセリューも深く頷いて言った。
「フォール公爵はすごく格好いいですよね。優しくて頭がよくて、その上お父様に聞きましたが剣術もお強いとか?」
「ええ、前に私も見たけど多分騎士団長より強いかもしれないわね」
「おとうさまはすごくつよいです!」
えへんと、胸をはるローリエ。そんなローリエにまた抱きつきそうな姉を抑えつつセリューは言った。
「僕はフォール公爵に救われました。フォール公爵は正妃の子供なのに側妃の子供の兄さんより不出来な僕のことをちゃんと自分に出来ることを探せばいいって言ってくれました」
きっと誰でも言える言葉なのだろう。でも、だからこそ最初にその言葉をかけた人物は心に強く焼き付けられる。刷り込みとでも言えばいいのだろうか?ローリエもなんとなく意味がわかったのか頷いて言った。
「おとうさまはだれよりもやさしくて、だれよりもつよいです!」
「ええ。ローリエ嬢、今度私も姉と一緒に遊びに行ってもいいですか?」
「はい!」
眩しい笑顔。二人の心には同じ人物が強く焼き付けられているからだろうか。不思議と仲良くなれると二人は確信したのだった。
1
お気に入りに追加
4,444
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
悪役令嬢の居場所。
葉叶
恋愛
私だけの居場所。
他の誰かの代わりとかじゃなく
私だけの場所
私はそんな居場所が欲しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。
※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。
※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。
※完結しました!番外編執筆中です。
長女は悪役、三女はヒロイン、次女の私はただのモブ
藤白
恋愛
前世は吉原美琴。普通の女子大生で日本人。
そんな私が転生したのは三人姉妹の侯爵家次女…なんと『Cage~あなたの腕の中で~』って言うヤンデレ系乙女ゲームの世界でした!
どうにかしてこの目で乙女ゲームを見届け…って、このゲーム確か悪役令嬢とヒロインは異母姉妹で…私のお姉様と妹では!?
えっ、ちょっと待った!それって、私が死んだ確執から姉妹仲が悪くなるんだよね…?
死にたくない!けど乙女ゲームは見たい!
どうしよう!
◯閑話はちょいちょい挟みます
◯書きながらストーリーを考えているのでおかしいところがあれば教えてください!
◯11/20 名前の表記を少し変更
◯11/24 [13] 罵りの言葉を少し変更
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる