20 / 29
18 救出!
しおりを挟む
「さてと・・・」
全員を無力化したのを確認してから、俺は兵士にその男たちを任せて牢に来ていた。いくつかの牢にはやっぱりアルビノや双子の子供が多くおり・・・まあ、当然ながら人の姿を見るとめちゃくちゃ怯えていたのだった。
「よっと」
鍵も探せばあるだろうけど、面倒なので解錠の魔法でテキパキと終わらせることにする。
「少しごめんね」
「え・・・」
怯えている近くの女の子の手枷と足枷を壊して傷を癒す。その現象に驚くその子たちを順番に解放していると、くいくいと服の袖を引っ張られているのに気づいた。
振り返ろうとして腰が回らなかったのでくるりと向きを変えて見ると怯えている男の子が小さく呟いていた。
「・・・お願い。おねえちゃんを助けて」
「どこにいるの?」
「伯爵様の・・・お屋敷・・・」
「そっか・・・」
サービス残業は嫌いなんだけどなぁ・・・
俺は涙ぐむその子の頭を撫でてから微笑んで言った。
「わかった。助けるよ」
「・・・本当に?」
「ああ」
見たところ、今この場に多いのはアルビノの女の子に・・・双子の片割れの男の子とかかな?双子なら片方消せば使えるってことなんだろうけど・・・どうにも女の子が少ないのが嫌な予感がするね。アルビノも女の子しかいないし・・・これはあかんかもなぁ・・・
「心配しなくていいよ。皆助けるから」
そうして微笑むと少し安心したような空気になる。好々爺グローリーさんが役に立ったようで何よりだ。
「あの!」
そうして屋敷の者に子供達の保護を任せていると、1人のアルビノの女の子が俺に近づいてきて言った。
「その・・・私、道案内できる」
「ふむ。連れてけってことかな?」
コクリと頷くその子の瞳は真剣で・・・俺は思わず聞いていた。
「誰か助けたい人がいるのかな?」
「・・・男の子。私と同じアルビノの。でも、その子は伯爵様のお気に入りだったから・・・」
・・・ああ。そっか、ショタ&ロリとは大層な性癖だなぁ。でも、アルビノの女の子には興味無いのかな?逆に双子の男の子にもそうらしい。しかしどうするか・・・
「わかった。ただし私の言うことをきちんと聞けるならね」
「うん、聞く」
「ならおいで。と、そういえば名前は?」
「・・・名前?」
キョトンとされてしまった。そうか・・・そういう子もいるよね。
「何か呼び方あると便利なんだけど・・・」
「・・・好きに呼んでいい」
「そうだな・・・じゃあ、ジュリエットでどう?」
「うん、それでいい」
何となくの語感で決めてしまった。しかしこういう子が多いとなると色々考えないといけないなぁ・・・
「これは・・・凄いですね」
室内を見回して驚く新人の兵士に先輩の兵士は犯人を縄で縛りながら答えた。
「ま、あの”賢者”様が暴れればこうもなるさ」
「これって、魔法なんですよね?でも、魔法って発動まで時間かかるし剣より弱いような・・・」
「普通はな。まあ、あの御仁は剣より早く魔法を使えるからそんな常識は通じないのさ」
魔法は発動まで時間がかかる。それが一般的な認識だ。例え魔術師団長クラスでも、詠唱の短縮は出来ても本当に無詠唱で魔法を発動することは出来ないのだ。それをやり遂げる賢者の凄さに驚いてる新人に別の先輩兵士が言った。
「ま、これでも昔より全然マシなんだぜ?昔は建物ごと壊してたくらいで一部じゃ『破壊神』なんて呼ばれてたからな」
「ああ、あったなぁ・・・」
黒歴史というものだろう。グローリー自身が聞いたら悶えるような恥ずかしい話をしながら犯人達の回収は行われるのだった。
全員を無力化したのを確認してから、俺は兵士にその男たちを任せて牢に来ていた。いくつかの牢にはやっぱりアルビノや双子の子供が多くおり・・・まあ、当然ながら人の姿を見るとめちゃくちゃ怯えていたのだった。
「よっと」
鍵も探せばあるだろうけど、面倒なので解錠の魔法でテキパキと終わらせることにする。
「少しごめんね」
「え・・・」
怯えている近くの女の子の手枷と足枷を壊して傷を癒す。その現象に驚くその子たちを順番に解放していると、くいくいと服の袖を引っ張られているのに気づいた。
振り返ろうとして腰が回らなかったのでくるりと向きを変えて見ると怯えている男の子が小さく呟いていた。
「・・・お願い。おねえちゃんを助けて」
「どこにいるの?」
「伯爵様の・・・お屋敷・・・」
「そっか・・・」
サービス残業は嫌いなんだけどなぁ・・・
俺は涙ぐむその子の頭を撫でてから微笑んで言った。
「わかった。助けるよ」
「・・・本当に?」
「ああ」
見たところ、今この場に多いのはアルビノの女の子に・・・双子の片割れの男の子とかかな?双子なら片方消せば使えるってことなんだろうけど・・・どうにも女の子が少ないのが嫌な予感がするね。アルビノも女の子しかいないし・・・これはあかんかもなぁ・・・
「心配しなくていいよ。皆助けるから」
そうして微笑むと少し安心したような空気になる。好々爺グローリーさんが役に立ったようで何よりだ。
「あの!」
そうして屋敷の者に子供達の保護を任せていると、1人のアルビノの女の子が俺に近づいてきて言った。
「その・・・私、道案内できる」
「ふむ。連れてけってことかな?」
コクリと頷くその子の瞳は真剣で・・・俺は思わず聞いていた。
「誰か助けたい人がいるのかな?」
「・・・男の子。私と同じアルビノの。でも、その子は伯爵様のお気に入りだったから・・・」
・・・ああ。そっか、ショタ&ロリとは大層な性癖だなぁ。でも、アルビノの女の子には興味無いのかな?逆に双子の男の子にもそうらしい。しかしどうするか・・・
「わかった。ただし私の言うことをきちんと聞けるならね」
「うん、聞く」
「ならおいで。と、そういえば名前は?」
「・・・名前?」
キョトンとされてしまった。そうか・・・そういう子もいるよね。
「何か呼び方あると便利なんだけど・・・」
「・・・好きに呼んでいい」
「そうだな・・・じゃあ、ジュリエットでどう?」
「うん、それでいい」
何となくの語感で決めてしまった。しかしこういう子が多いとなると色々考えないといけないなぁ・・・
「これは・・・凄いですね」
室内を見回して驚く新人の兵士に先輩の兵士は犯人を縄で縛りながら答えた。
「ま、あの”賢者”様が暴れればこうもなるさ」
「これって、魔法なんですよね?でも、魔法って発動まで時間かかるし剣より弱いような・・・」
「普通はな。まあ、あの御仁は剣より早く魔法を使えるからそんな常識は通じないのさ」
魔法は発動まで時間がかかる。それが一般的な認識だ。例え魔術師団長クラスでも、詠唱の短縮は出来ても本当に無詠唱で魔法を発動することは出来ないのだ。それをやり遂げる賢者の凄さに驚いてる新人に別の先輩兵士が言った。
「ま、これでも昔より全然マシなんだぜ?昔は建物ごと壊してたくらいで一部じゃ『破壊神』なんて呼ばれてたからな」
「ああ、あったなぁ・・・」
黒歴史というものだろう。グローリー自身が聞いたら悶えるような恥ずかしい話をしながら犯人達の回収は行われるのだった。
0
お気に入りに追加
2,129
あなたにおすすめの小説
死んだはずの悪役聖女はなぜか逆行し、ヤンデレた周囲から溺愛されてます!
夕立悠理
恋愛
10歳の時、ロイゼ・グランヴェールはここは乙女ゲームの世界で、自分は悪役聖女だと思い出した。そんなロイゼは、悪役聖女らしく、周囲にトラウマを植え付け、何者かに鈍器で殴られ、シナリオ通り、死んだ……はずだった。
しかし、目を覚ますと、ロイゼは10歳の姿になっており、さらには周囲の攻略対象者たちが、みんなヤンデレ化してしまっているようで――……。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
変態王子&モブ令嬢 番外編
咲桜りおな
恋愛
「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」と
「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」の
番外編集です。
本編で描ききれなかったお話を不定期に更新しています。
「小説家になろう」でも公開しています。
ヤンデレお兄様から、逃げられません!
夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。
エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。
それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?
ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる