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4章 今日もお屋敷も学園もゴタゴタしていますが、働いて・学んで・そして何故か陰謀に巻き込まれつつ何とか奮闘致します。

41 ガーフィールド・アナジスタの困惑

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「何でなのよ!」



キーキーと非情に甲高い金切り声が廊下に響く。

近頃は国王に叱られ多少だが静かになり、鳴りを潜めて治まって居たと思ったらどうやら復帰したらしい。



理由は先日の爵位授与だろうな。



「あの館は私の物なのよ!何故私に一言も無しに引き渡してしまうのっ」



あの館とは恐らくガルニエ家の屋敷の事だろう。



「幼い時から住んで居た私の屋敷を返してよ!」



あのガルニエ家の屋敷は報告書によると、この喚き散らして居る女が『幼少時』預かられていたと書かれていた。だがそれだけだ。どんなに調べてもこの女が言う様な事は無く、養子(養女)になったと言う訳でも無ければ館の権利もこの女に移っては居ない。



つまりこの女の所有物と言う訳では無い。



ドンドンッと大きな音が聞こえて来る。

何度も叩いて居るらしいが、その部屋の主は今は誰も居ない。隣国に行ったまま一向に帰国して来ない、連絡もまばらになった宰相の執務室だからだ。



今は政ごとは臨時で魔法大臣であるハリントン・ノスタルジア・ジアスが宰相代理としての全権を引き受け、執務室で疲れ切った真っ青な顔で居ると言う状態だ。

過密スケジュールで過労で倒れそうだという事で、次期魔法大臣候補でジアス家の後継ぎのケイン子息が学園が先日のスタンピードの影響で休校中の為に時折臨時で手伝いをしに来て居るらしい。



そのせいかどうかは知らぬが使用人達等があの妾、廊下に喚き声を出して居るキャメロンに見付からない様にと気を使って神経質になり、常にキャメロンに見張りを付けて詰め寄らない様にと見張って居るらしい。

困ったものだ。

更に魔法大臣の執務室は国王からキャメロンが通行する事を禁じられている場所にある為、彼女は向かう所か立ち寄る事さえ出来ない。

唯一政治関係で行けるとすれば、執務で使う資料等が置いてある宰相の執務室位である。



そして私、ガーフィールドは必要な資料がある為に其処へ向かいたいのだが…



もしかして父上、この私に対面させる為に宰相の執務室はキャメロンが通行する事を禁じて居ないのだろうか。思わずそう勘ぐってしまう。

キャメロンの緩和剤として提出しているだけだろうとは思うのだがな(宰相は不在だからな)。



更にキャメロンに対し、国王は全使用人達に政治の事やら城内の事や噂話やらを伝える事を禁止して居る為、宰相が長らく不在にして居ると気が付いて居ないのかも知れない。

(それ以前に宰相に屋敷の引き渡しの文句を言っても居た仕方が無い事なのだが。引き渡し云々は国王が大臣達を招集して話し合い、決めた事だしな)



勿論こっそりと使用人の中には教える者も居るのかも知れないが、其処までは私は関知して居ない。



「ちょっと!」



ドンドンガンガンッ



ガンガンと鳴って居るのは等々蹴りを入れて居るからなのだが、あのドア少し凹んで居ないだろうか。頑丈な作りになって居る筈なのだが。



「ふんっ、これだけやれば良いパフォーマンスに為ったでしょ」



…。

何だそれは。

あの騒ぎの行為は一種のパフォーマンスだと言うのか?

周囲に誰も居なければ意味は無いのではないか?

実際は私と警護の近衛兵が見て居たのだが、あの妾は誰に見られる事も気にもせずに行動して居たと言うのか。



不気味だな。

何を考えて居るのか良く分からん。

兎に角普通では無いという事は確かな様だが。



その前に私が此処に居るのは不味いな。

見付かると何をやられるか分からん。

警護に三名の屈強の近衛兵が付いて居るが、あの女はどんな隙を付いて来るか未だに未知数過ぎて良く分からぬのだ。



また薬品を盛られては堪らぬ。

暫し困惑して居ると、警護に付いて居る近衛兵の一人が目線で私に注意を促し、



「(ガーフィールド様、此方に)」



直ぐ傍にあった部屋のドアを開け、私が急いでドアに入ると近衛兵が全員室内に入ってドアを音も無く閉じる。

一名がドアの傍に立ち外の様子を窺ったままで暫し気配を窺って居る。



数分もしないうちにドアに居た者が「立ち去りました」と告げ、ホッとする。



しかし王宮にて狂ったような状態の女の事だ、今この部屋を出ても良いだろうかと思っていると、「警戒した方が良いですね」と告げて来る近衛兵がドアを微かに開けて周囲の様子を窺い、もう一人は部屋の窓辺に行き様子を窺っている。

更に一名は廊下から躍り出て「見て来ます」と向かおうとした宰相の執務室にまで向かい、辺りを窺ってから此方へ向かって『安全です』と言う様に頷いた。















* * *













「全く」



厳重に鍵が掛かって居る宰相の執務室の中に入ってから見た惨状に吐息が出る。

恐らく誰も掃除をして居ないのだろう。

入室してから埃っぽくて咳が出そうになる。

更に床に幾つか落ちて居る書類。

ヤバイかと落ちて居る書類を手に取って軽くチェックしてみたが、流石に重要な書類では無く破棄するつもりだったのか、全ての書類に大きな×が記載されている。

それでもこの場にゴミの様に置いて置くわけにも行かないと床に落ちて居る全ての書類を纏めて置き、全ての書類に目を通してから今は何も乗って居ない無い宰相の机の上に置く。



後程退出する時に資料と共に持ち出そう。





さっさと目的の物を入手しようと資料が纏めて置いてある隣室のドアを開けて棚に向かうと、近衛兵の一人が風の魔法を使って音も無く室内の黴臭い匂いを拡散させてくれた。

有り難い。

本来なら窓を全部開け放って空気の入れ替えをしたい所だが、あの妾のキャメロンがまた戻って来る可能性もあるので開けられないからな。

目的の資料は即見つかり、幾つか関係資料も取り出して全部で五冊程もって資料室のドアを閉めて執務室へ戻ると、



「わ」



と言う驚いた一声が聞えて来た。



「どうした?」



近衛兵の一人が驚いた顔付で此方を見る。

もしかしてあの妾のキャメロンが戻って来たのか?

そう思ったが、足元には先程の書類が散らばって居た。



「風魔法で吹き飛んだのか?」



一枚落ちて居る書類を手に取ると、部屋の中にいた近衛兵一名がフルフルと頭を振る。ちなみに一名は私の背後に居て、更に一名は執務室の廊下から少し離れた場所に居て警備をしているらしく執務室の部屋の前からは気配が無い。

最近あまりにもキャメロンが寄って来るので私が居る部屋の前から少し離れた場所で警護する様にと伝えた結果、この様な体制になって居る。最も無関係に突進して来る事が多くなって来たので元に戻すべきかと最近は悩んでいるのだが。



「いえ、机に在ったはずの書類が消えたと思ったら、足元に現れました」



何だと?

手に持った書類を見詰めるが、×と記載されている他は普通の書類だ。

私の背後に居た近衛兵も同じく足元にあった書類を手に持ち、「拝見しても宜しいでしょうか?」と言うので許可を出すと、



「ガーフィールド様、この書類を日に透かして見て下さい」



言われて日に透かすと――







「魔法陣!?」



不規則に落ちて居る全ての書類をチェックすると、元の位置に戻す。今は魔法陣が見えないが部屋に在ったランプに火を灯して日光の代わりに書類の上に置くと、一枚の大きな魔法陣が浮かび上がる。

どうやらこの様な仕組みになって居るらしい。



「この魔法陣は旧式ですが、つい最近まで使えて居た様ですね」



この魔法陣の仕組みを最初に気が付いた先程風魔法を駆使していた近衛兵の一人が魔法陣に触れ、魔力を軽く注ぐと白く薄い色彩を纏って模様を浮き上がらせた。



「わかるか」



「何処に行くのかは分かりませんが、移転の魔法陣です。ただこの模様の規模にしては重量を運ぶ事が出来ないようで、恐らく手紙程度しか送れないかと思われます」



そこで我に返ったのだろう。



「申し訳ありません!許可も無く勝手に調べてしまいまして」



と謝られたが今度から気を付ければ良いと許可をした。

それにしても弟のユウナレスカから来たばかりの近衛兵なのだが、彼奴は何時もこの様な事をしているのだろうか。



「はい、ユウナレスカ様は真っ先に気に為ったら調べろと。有事の際に遅れると拙いとおっしゃいまして」



成程。

だから彼奴の行動は”素早い”。



我が弟のユウナレスカは天才だ。

彼奴が小さな頃から人の顔を見て判断をすると言う事を身に付け、己の立ち位置を判断し、即座に「自分は王には向かない」と臣下の位置に付いたのが8歳前後の頃。

その時ユウナレスカの才能に気が付いた反国王派の貴族の一派が弟を担ぎ上げ、反旗を翻そうと画策をする前にあっという間に政治の世界から一歩引き、私に対して臣下の礼を態度に示した。



幼き弟がその様な態度を取る等当初誰かの入れ知恵かと思い問うたのだが、「ユリア嬢とパーシャ(当時の弟付きのメイド)達と気軽に遊べなくなるなら王等不要」と言った事に毒っ気を抜かれた。

その際弟を担ぎ上げようとした一派全員の名簿を渡され、更に狼狽したのだが。



今でも思う。

次の王は私では無く弟のユウナレスカのが良いのでは無いのかと。

ユウナレスカは全力で嫌がるがな。



その後一派全員は名簿と共に過去の多数の罪状等が多数記載されていた為に処罰を下したのだが、その際拷問をした一部の者達から弟のユウナレスカが臣下の礼を取った翌日、反旗を翻して内紛を起こすつもりだったと告げられギリギリの選択であったのだと知る。



この内紛で活躍した元冒険者、今は準男爵家になった家の娘が弟と同じ学園に入学したと聞いたが、元冒険者は元気だろうか。貴族と同じ様に見栄を張らなければ為らないと気張って居るらしいが、家計が苦しいと聞いて居る。あまり無理をしているならば貴族席を返上しても良いのだぞと告げた方が良いのかも知れないな。



「ガーフィールド様、以後気を付けます」



おっと、うっかり考え事をし過ぎて居たらしい。

心成しか委縮してしまって居る近衛兵に「構わん、我が弟ユウナレスカの対処通りのままで良い。だが先に許可を取ってくれ」と伝えると花が咲く様に綻んだ。



…。



今気が付いたがこの近衛兵、女性だったのか。

すまん、普段男性と同じ格好をし化粧をして居なかったが気が付かなかった。

失礼な事が無かっただろうかと過去を思い返してみるが、まぁ、多数あった。

男だと思って居たからな。

ほんとすまん。



「いえ、皆そう勘違いしていますから」



名をクラウスと言うらしい。

皆渾名である「ラウス」と呼んでいた為、更に拍車が掛かって気が付かなかったのだ。



「そうか、すまなかったな。所でラウス、廊下に居るもう一名を連れて魔法大臣と陛下にここの報告を頼む。もう一人は私と共に待機だ」





画して忙しい日々が更に忙しく為る事に為った。

くそ、レッティーナ嬢に逢いたいぞ。

花を持って行った時のほんの少し困惑した顔と苦笑する顔、そしてお礼を言う時の微笑んだ顔が見たい。出来れば今すぐに。



魔法大臣の息子ケイン殿と騎士団の団長の息子のニキ殿にまた遅れを取るではないか。



せめてカードを添えて、後程庭に咲いて居る花を贈るとしよう。

どの花を喜んでもらえるだろうか。

想像するだけで心が温まるな。

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