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 side.一戸陽平

「で、これからどうする?」


 割とどうでも良さそうな言い方の外人。
 名前はクラウディオ・レオーニ。
 年は40代突入する年齢らしいが、50代前半のようにも見える。
 少し前まで他国の裏側で暗躍していたらしいが、諸々あって手を洗って表社会のガードをする会社を立ち上げ、外資系企業社長へと鞍替え。その際に闇社会にいた敵対組織等を軒並み潰し回ったなんていう逸話もある。

 過去おっかない経歴の持ち主だが、普段見慣れた姿が不破の喫茶店でマグロ丼を食っている姿やご近所のお茶屋さんで朝食の味噌汁やお握りで感極まり、「Buono (ブォーノ意味;美味しい)!」と言って美味そうに食っている姿しかない。
 と言うより飯食っている姿か珈琲すすっている姿しかほぼ見たことがない。

 お陰で見た目おっかないオッサンだが、中身が茶目っ気あるオッサンと言う印象。

 閑話休題。

 印象は兎も角、仕事として今回の事柄に関与したガードのプロ。
 …の、筈。


「予想外の事があったからって、コイツちょいとばかりポカした。仕事には差し支えは無かったがプロとしては減点な。」

 等とクラウディオを見て笑う不破。
 プロなのにポカするのか等と呟きたかったが、空気を読んで黙った方が良い気がする。


「だから報酬は三割減だな。」

「ちょっ!部下達の給金が!一割減で!」

「それとこれは別。プロなら仕事しろ。二割減。」

「く…了解。」

「よし、二割でいいな。減った分はお前の給金で補えば万事オッケーだ。そんなわけで陽平、クラウディオ酷使してやれ。」


 不破が許可する!と言う具合に話すと、「不破酷え!鬼!」とやけに流暢な日本語で文句を垂らす。と言うか鬼とか何とかヤケに日本語の理解力が高い。
 本国はイタリアで本社もイタリアらしいが気が付くとこの町内で姿を見る。もしかして本国滞在よりも日本に居る時間のほうが多い?
 そうして空気を読んで正解だったようだ。値引き、歓迎。


「俺の予想よりもアチラさんの人数が多い。下調べした時よりも人数が膨らんでいるし、もしかして数箇所今回の件に絡んでいる可能性が高い。」

「げ。」

「三下が軽く考えて軽率に来ているのかも知れん。」

「一番厄介じゃねーか。」


 頭が良いはずの研究者の癖に、もしや彼奴等はコスプレ集団とかいうオチ?等とブツブツ呟き、不破は兎に角もっと情報を集めねばならないと唸っている。

 そうして外人…クラウディオは此方を向いて、


「すまなかったな、依頼者の息子さんに荒事中の俺等のことを見せるつもりは無かった。怖がっていないか?」

「先程会った時は驚いてはいたが、怖がってはいなかったな。」


 どちらかと言うと『変態』に意識が全部取られた様な気がする。
 それでも「捕まって転がされていたのが中身や志は違うとはいえ医療関係者だなんて嫌すぎる」と漏らしていた。

 と言うか荒事って単語知っているのか。
 もしかして不破が過去使った言葉?


「一応医者に相談した方が良いかも知れん。Ωはαやβより遥かに繊細だと聞く。フォローはしたほうが良い。」


「αは放置しても勝手に復活する奴が多いが」等と話した後で不破のことだと言いたげに見詰めるクラウディオ。対して不破はお前のことじゃね?と言わんばかりにニヤリと口角を上げる。

 お前達イヤに仲がいいな。
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