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 僕の家の車庫にこの車入る?等と一抹の不安に思っていたが、高峰さんの運転技術が高度だったせいで特に事故もなくすんなりと入ってしまった。

 車から降りて周囲を確認したら、本当にギリギリ。
 背後の方なんて、壁と車の距離が1センチしか空いていない。

 一体どうやって…恐るべし、高峰さん。
 家の駐車場って普通乗用車二台分だから横幅は兎も角、縦幅が心配だったのだけど何とかなったらしい。普段父さん達しか我が家の駐車場使っていなかったけど、陽平父さん側のお爺ちゃんである平一お爺ちゃん(α)が何度か白い軽トラックで楽々に駐車していたという事を思い出す。

 αって本当に高性能。
 それとも高峰さんとお爺ちゃんの運転技術が高いだけだろうか。


「「……。」」


 そうして現在。
 家の門を見た瞬間、先日出会った喫茶店の店長さんである不破さん、それとガタイの良い筋肉質な体格の外国人数名が何故か縄を持って5名の白衣を着た人達を縛り付けていた。

 呆然と見詰める僕と京夏さん。
 落合先輩は涼しい顔をしている。
 恭介さんは…無表情。もしかして理由を知っているのかな。

 縄で縛り付けられている人達は全員意識が無いのか、白目を剥いていたり口を開いて涎を垂らしていたりとちょっと目を背けたくなる状況で地面に転がされている。
 髪の毛なんてバッサバサだし。
 一悶着あったのが一目でわかる。

 の、だけど。
 嬉々として倒れている白衣を着た人に亀甲縛りをし、恍惚としている外国人らしき変態がいるのかな。怖い。
「ふは」とか、「ふははは」と、鼻息が荒くて生理的に拒否反応がね…。

 とか思っていたら、今度は自分自身を縛り始めたよ。慣れているのかスルスルと…亀甲縛り。途中やり辛かったのか、他の外国人に縛るのを頼んでいたけどスルーされていて。
 それでスルーされるのが気持ちよかったのか、変に興奮していて…。

 え、この光景、怖。
 ここって、僕と父さん達の家の前だよね?


「えーと…?」


 何、一体何があった?
 この異様な事件現場。
 最近何かと周囲でトラブルが続いて色々あったりしたけど、こうも妙な現場に立ち会うと動揺してしまう。
 しかも顔見知りが取り押さえている。
 これをどう対応したら良いのか困惑してしまう。

 言葉が出てこずオロオロとキョドっていると、車から降りたらしい高峰さんが不破さんに「こいつら全員アレか?」等と聞いている。

 アレって何ですが。
 と言うか高峰さんお知り合いですか、そこで放置されて喜んでいる放置プレイ中の変態と。

 更に縛られている人々。
 意識が無いらしく倒れているけど白衣を着ているって言うことは何らかの研究者か、はたまた只のコスプレマニアか。もしくは違う種類の変態?

 医者って言うことは無いよね?
 嫌だよ、陽平父さんも医者なのにこんな変な輩と同類なんて思われたくない。
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