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3章 モーザ・ドゥーグの影

何かが居たな?

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■注意■

本日二作目となります。

 * * *

「ウサギ、大丈夫か?」

「うん。え~と、此処は?」

「商業ギルドだ。あの後ミウとウサギ二人共倒れてな、戦ってた場所が商業ギルドの倉庫だったらしくて、騒動で駆け付けて来た商業ギルド御抱えの警備している傭兵達に此処まで連れて来て貰った」

 二人とも倒れたままだと身体に良くないからな、と言ってからウサギが居るベットの側により、額に手を乗せる。
 軽く「身体チェックするから」と了承を得てから熱が無いかどうか、脈拍数は安定しているかと計測をして居ると、

「とは言ってもレノ様はウサギちゃんは絶対に渡さないって言って、傭兵さん達が折角運んでくれるって言ってたのに首を縦に振らないで、自分でウサギちゃんをお姫様抱っこで此処まで運んで来ちゃったのよ」

 キーラはそう言うと聞いていたウサギは真っ赤になり、「はぅ…」と言ってベットにあった枕を抱き締め顔を隠す。

 照れ隠しか。
 そう言えば一時期私の枕を抱き締めたまま、城の中をよく移動していたな。淋しかったらしいが、近頃は見ていない行動だ。
 最近は城にアニタも居るし、私も近頃はよく一緒に居るから淋しくは無いのかも知れないな。

「有り難う御座います」

「いや。所で魔力がかなり消費してほぼゼロ近くなり、渇望してたみたいだが?」

「うう~…始めて実践で浄化をしたから、加減が解らなくて。本当ならあの歌は10回位繰り返して歌うんですけど、力み過ぎたみたいで魔力を大量に消費しちゃって、三回で浄化しちゃったから」

「成る程な」

 クスリとつい笑むと、「はううう~!次こそ~!」と、負けん気が強いのか、唸ってベットに突っ伏している。
 それは良いが、出来れば次は無い方のが良いのだがな。
 まぁ言うとフラグが立ちそうだから黙っているが。

「お邪魔しますにゃ~!」

「失礼します」

 ビビと商業ギルドのウイニー所長がノックをしてから入室してくる。

「ビビさん?」

「ウサギ様大丈夫だったにゃ?別室に居るちっちゃいお嬢ちゃんも今目を覚ましたにゃ。お腹空いたって騒いでるからギルドの食堂のご飯で良ければって案内したにゃけど、良かったら皆も行くかにゃ?」

 そこで"くきゅる~"と可愛らしい訴えの音が響く。

「はう…」

 真っ赤になって俯いたウサギの頭を撫で、

「そう言えば腹が減ったな。ウサギ食べてくか」

「う、うん」

 音など聞いて居ないと言うように素知らぬ振りをする。

 …何か後ろで「はぁ、あれが大人の対応ですかにゃあ。参考にするにゃ~」とか聞こえるが、ウイニー所長の「全く貴方は。そう言う事を言わないのが紳士なんです」と言う鋭い突っ込みを食らって撃沈していた。

 ウイニー所長とビビの二人を見てると妙な関係性を感じるな。やたらと弄って居るような気もするし。可愛くて仕方無いのだろうか?と言うか、性別どっちだ?ケットシーの種族とかは意図的に服装を男性寄りにすると女性でも男性に見えるし、逆もまた然り。ビビが男だとは知って居るが、ウイニーは…どっちだ?

 そこでふとウサギを見ると、

「む、上体にふらつきが見られるな」

「ええ、と?」

「皆すまない、ウサギに魔力回復薬を飲ませるから先に行ってくれるか?」

「わかりました。レノ様、食堂の場所は御存知ですよね?」

「ああ」

「流石にこの人数なので隣室の方にお通ししますので、ご用が終わったら廊下に居る者に声を掛けて下さい。ご案内致します」

 室内から私とウサギ以外全員が退出し、二人だけになる。
 其処で空間から魔力回復薬(先日ウサギの召喚獣のくーちゃんがやらかした薬だ)を取り出し、

「飲むといい。割りと直ぐに魔力が回復する」

「飲んだの?」

「…余り美味くは無いがな」

 思い出してクスっと口許で笑うと覚悟を決めたのか、ウサギは一気に飲んだ後にしかめっ面をする。

「渋い~…」

「だが回復しただろ?」

「うん。でも口がシブシブ~」

「確かにな」

 二人顔を合わせて笑ってしまう。
 笑った後、そのままジッ…とウサギの顔を見詰める。
 どうも先程から妙な違和感があるんだよな。

「あの、レノ?」

「少し聞きたい事があるのだが」

「はい?」

 キョトンとして小首を傾げるウサギ。
 腹が空いている中悪いとは思うが、聞いて置かねばならない。

「この部屋に先程迄"何か"が居たな?」

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