上 下
87 / 255
2.5章

不機嫌なウサギ24

しおりを挟む
 カブリスさんの気合い凄い…。

 最初花火を見るなら、ベランダか屋上で衣装をどれにするべきかと迷ったとカブリスさんは一気に捲し立て、先程の竜王様の言葉により屋上に行くと言うことで、「ならば!」と息巻いて次々と支度を決めて行く。
 そしてそのカブリスさんに全てを任せたと言う様に、マミュウさんはドアのすぐ側に立ち、少し困った顔をして目を合わせると微笑んで来る。多分だけど、やる気に満ちているカブリスさんに水を差したくは無いのでは無いのかな?滅多にカブリスさんは此方に来ないし、来てもすぐ別の仕事で居なくなるし。
 嬉々として服を並べて居るカブリスさんはとても楽しそう。

 ただ気合いが凄すぎて気迫が~っ

「御嬢様、ベランダならば薄紫色のドレスを考えて居たのですが、屋上ならば桃色と白のワンピースか花柄のワンピースのどちらかにしましょう。アクセサリーはこの辺りかな、それで髪飾りは花柄なら上品な宝石が入った此方で、桃色のワンピースの場合は御嬢様の目の色に合わせた方が御主人様が喜ばれますね」

 喜ぶ…
 その言葉にピクリとつい反応してしまえば、キラーンと獲物を捕らえた!と言うかの様に目を光らすカブリスさんに、本能的に冷や汗を流す。
 本当は背後に逃げたかったのだけどそこはぐっと堪え、草食獣のウサギは少し居心地悪く小さくなったが、何とか堪え抜く。

 ちなみに現在のカブリスは雌豹の様である。
 狙った獲物は逃がさない、では無いが『今宵の御嬢様の装いは私がやり抜くっ!』と言う謎の気合いがある。
 私にはちょっとばかり迷惑かもしれない。

「うさちゃん、桃色のワンピースなら私達からの贈り物つけれるからそっちにして~」

「えへへ~水の精霊達からの贈り物の真珠と、土の精霊の贈り物のプラチナと金属加工と、風の精霊の浄化と加護と、火の精霊からの……ええーと、色んな属性の精霊達からのお祝いの贈り物っ!」

 と言ってベットの上に置いてある桃色と白のワンピースの上に、プラチナの葉の飾りをデザインされた物の真ん中に、白と薄い桃色の真珠が真ん中にある上品なブローチが小さく輝きながら表れた。

「綺麗…」

 先程まで興奮気味だったカブリスさんが思わず言葉を洩らし、ウットリしている。

「えへへ~綺麗でしょ!何時もミトラ様と仲良くしてくれているうさちゃんに、贈り物しよって皆で話し合って作ったの!」

 とはアレイスタちゃん。

「私も頑張って運んだよ!」

 とはルーナちゃん。

「それでね~お願いがあるんだけどぉ…」

 アレイスタちゃんとルーナちゃんが、急にモジモジしながらウサギを見詰め、

「火の精霊のフロー様なんだけど、ちょっぴり照れ屋で中々思った事が口に出し過ぎてしまうって言うか、その~乱暴な口調になっちゃうんだけど、けっして悪い人じゃないの」

「誤解しないであげてほしいの!」

「出来たら仲良くしてあげて欲しいなぁ」

 二人同時にペコリと頭を下げられてしまい、狼狽えてしまう。
 仲良くして欲しいのと言われても、何せ会ったことが無いので分からないし、そもそもウサギには拒否権が無い気がする。
 竜王様の弟?なら多分そのうちに会えるだろうと思っていたし、何よりよくミトラさんと竜王様の話に出て来るのだから、近いうちに会えるのじゃないかなぁと思って居た。

「二人が言いたいことはわかったけど、フローさんにまだお逢いしたことが無いので何とも言えなくって、その、約束は出来ないけど」

「大丈夫!フロー様叱ると即挙動不審になるから、うさちゃん思う存分に叱っていいから!」

 それってどうなの!?
 と言うか私叱るの前提!?

「うんうん、フロー様は悪い事したら沢山うさちゃんに叱って貰うのが一番いいのよ!」

 二人とも同時に頷いてるけど…

 それで良いのですか大精霊…



 ***


暫く短めのお話が続いててすいません(^^;

ストックがゼロなのと、リアルが…GWっで凄いね!東北の片田舎に帰省ラッシュが続いてて、道が混んでて身動きが取れないと言う…普段より身動き取れないから大変!!

さて、番外編といいながらほぼ本編扱いで書いてます(その為にこの番外編は長丁場覚悟だったりする…。)が、そろそろアイツの本体が動いて来ます。赤ちゃんも出て来たし、ほぼ名前しか出して居ないキャラクターにも動いて貰います!


しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

果たされなかった約束

家紋武範
恋愛
 子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。  しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。  このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。  怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。 ※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。

もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜

雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。 しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。 英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。 顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。 ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。 誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。 ルークに会いたくて会いたくて。 その願いは。。。。。 とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。 他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。 本編完結しました!

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

処理中です...