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08 アルクの身体

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「とりあえず、お風呂に入ろうか」
アルクに言われて、そうだった、と気づく。お風呂に入るところだったのを忘れていた。
俺だけ全裸というのも恥ずかしいし、早くアルクにも脱いで欲しい……。そう思って見てみると、アルクがちょうどズボンを脱いでいるところだった。
「そうだな……って、うおっ!」
下着まで脱いだアルクを見て思わず声を上げてしまう。
アルクの股間が、はち切れそうなくらい大きく膨らんでいたからだ。
「な、なんでそんなに勃起してるんだよ!」
動揺しながら尋ねる。見ているだけで恥ずかしくなってしまう程だ。
「ああ、だってこれは……君のせいだよ」
「えっ、なんで……?」
俺が戸惑っていると、アルクは困ったように頭を掻く。
「さっき言っただろう?君の魔力は性欲を刺激する力があるって」
「えっ!?」
ということは、俺のせいでこんな風になってしまったということなのか。
改めてアルクのモノを見ると、ピクピク震えていて今すぐにでも射精してしまいそうな勢いだ。血管まで浮き出ていて、グロテスクですらある。
爽やかなイケメンのアルクには不釣り合いな光景だ。だが、そのギャップが余計にエロティックな雰囲気を醸し出している。
「すごいな……」
俺は無意識のうちに生唾を飲み込んでいた。俺の身体が、あの巨大なものを欲している。そんな気がする……。
「大丈夫か、真尋?」
「え……?」
アルクに声をかけられて我に返る。気づけば、アルクのモノを凝視したまま固まってしまっていたようだ。
「あ、ああ、悪い……」
俺は慌てて視線を逸らす。このままではいけない。変な気分になってしまいそうだ。

俺の力は恐ろしいものだという実感が湧いてくる。もし、アルクが恋人になってくれていなければ、俺は誰彼構わず誘惑してしまっていたということなのだろう。そう考えるとゾッとする。

「と、とにかく、早くお風呂に入ろうぜ」
俺は平静を装いながら、浴室へと向かう。
「ああ、分かった」
アルクも俺の後に続いてきた。
アパートの浴室は二人で入るには狭いが、なんとか一緒にシャワーを浴びるスペースくらいはある。
簡単に浴室の使い方を説明しながら、シャワーで汗を流していった。
「ふう、気持ちいいな」
「ああ、疲れが取れるよ」
温かいお湯が心地良い。アルクもリラックスできているようだ。
「シャンプーとボディソープはこれを使ってくれ」
「ありがとう。髪と身体で分けて使うのかい?」
アルクは不思議そうに首を傾げている。
どうやらシャンプーやボディソープは見たことがなかったらしい。使い方を教えてあげると、興味深そうにしていた。
「ほら、背中流してやるよ」
アルクにとってはこちらの世界で初めての入浴だ。せっかくならサービスしてあげようと思い提案する。
「えっ……?」
アルクは少し驚いた様子だったが、すぐに嬉しそうな顔を見せた。
「本当かい?それならお願いしようかな」
「おう!任せてくれ!」
俺は張り切って返事をする。恋人同士になったことだし、これくらいしてあげたって問題ないだろう。
「よし、洗っていくぞー」
「ああ、よろしく頼む」
俺はアルクの後ろに座ってタオルを手に取る。そして優しく彼の背中を擦っていった。
「綺麗な肌してるよな……」
アルクの素肌に触れながら呟く。白くてスベスベしていて、触り心地が良い。ずっと撫でていたいと思うほどだ。
「ふふっ、そうかい?」
アルクがくすぐったそうに微笑む。
「痛くないか?」
「うん、丁度いい感じだよ。ありがとう」
アルクは気持ち良さそうな声で答えた。俺に身を委ねて、安心しきっているように見える。
「んっ……」
時々ピクッと身体が反応していた。
その反応がちょっと可愛くて、もっと喜ばせてやりたくなる。
「よし、次は前も洗ってやろう!」
調子に乗ってそんなことを言ったことを後悔するのは、このすぐ後のことだった。
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