ゲームの世界に転移したら美形王子に溺愛されてるんですが！？

36.エロ魔王だったんですが！？

ソウタは魔王に剣を振り下ろすが、あっさり受け止められてしまう。そして、そのまま投げ飛ばされてしまった。
「ぐはぁっ……！」
「ソウタ！」
「勇者様！」
「この程度か……。勇者も大したことないな……」
「まだだ……。負けてたまるか……」
「ほう……。まだ戦う気力が残っていたか……。だが、もう終いだ……」
魔王はそう言うと、ソウタに向かって手をかざした。すると、ソウタは苦しみ始める。
「うっ……。ぐうぅっ……！身体が熱い……」
「どうだ……。苦しいだろう……」
「何をした……？」
「術をかけたのだよ……」
「これは……呪縛の魔術ってやつか……？」
「その通りだ……。これで貴様は戦えない……」
「くそっ……」
「勇者よ。我のものにならぬか……？」
「ふざけるな！誰がなるもんか」
「ククク……ッ。強情な男だ……。ますます気に入った……」
魔王はそう言いながら、ソウタに近づいている。
「逃げても無駄だ……。おとなしく我のものになれ……」
「嫌だって言ってんだろ……」
「なら仕方ない……」
魔王は手を伸ばすと、ソウタに触れた。すると、ソウタの全身が黒く染まっていく。
「ああ……っ！？俺の身体が……！？」
「どうだ……？気持ちいいだろう……？」
「あぁ……♡これやばい……っ♡」
魔王に触られただけで感じてしまっているようだ。
「これは、いったい……？」
俺は呆然と立ち尽くす。すると、王子が説明してくれた。
「あの黒いものは魔王の魔力によってできたものだ……。あれに侵されると快楽に溺れてしまい、魔王に服従してしまうのだ」
「そんなことが……」
って、エロゲーか！？このゲーム、正統派RPGだったはずなんだが……。
「あぁん♡もっとぉ……♡」
ソウタは気持ち良さそうに魔王を求めている。
「フハハッ……。堕ちたな……」
「ソウタ……！」
俺達は何もできずに見ているしかなかった。まさか魔王が勇者を襲うなんて……。
「み、みんな……早く逃げてぇ……俺のことは気にしないでぇ……♡」
「そんな、ダメです……！」
「そうだよ……。一緒に帰ろうぜ……」
「俺は大丈夫だからぁ……♡みんなまでこうなる前に……早くぅ……♡」
まさかソウタがこんなことになってしまうとは……。予想外過ぎる。
「たしかに、勇者であれば耐えられるかもしれないが、私達が魔王の魔力を受けたらただでは済まないな……」
王子が冷静に分析する。たしかに、このままここにいたら全滅してしまうだろう。
「そうだよ……俺には勇者の加護があるから……大丈夫だから逃げてぇ……♡」
「そんなこと言っても……」
「ミノルさん……。ここは一旦引きましょう……」
「分かった……。行こう……！」
俺達は急いで広間から出た。そして、扉を閉めるとすぐに中から激しい声が聞こえてくる。
「さあ、思う存分楽しもうではないか！」
「ああああぁぁーっ♡イクゥゥ～！！♡」
ソウタの絶叫が聞こえた。本当に魔王に支配されてしまうのだろうか……。
「ソウタは大丈夫なのか……？」
「分かりません……。でも、今は逃げるしかないでしょう……」
姫は悔しそうな表情を浮かべている。王子は無言のまま、考え事をしているようだったが、やがて口を開いた。
「勇者の守りがある限り、命の危険はないはずだ。魔王も、勇者を痛めつけたりする気は無さそうだから、持ち堪えてくれればなんとかなると思う」
「たしかに……」
あれだけの力があるなら、魔王は俺達全員を殺すことだって可能だっただろう。しかし、あの魔王は勇者を弄んで楽しみたいだけのように見えた。
エロ魔王だったのが不幸中の幸いという感じか……。
「呪縛の魔術を無効化出来るアイテムが、確かラルジュ王国にあったはずだ。何日か時間はかかってしまうが、それを取りに戻ろう」
「うん、そうしよう。ソウタ……それまでどうか無事でいてくれ……」
俺は扉を見つめて祈る。こうして、俺たちは魔王の洞窟から抜け出した。