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第4章
王宮の一室にて
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冬の寒さがより一層厳しくなる中、王宮内はいつもと変わらない質感と煌びやかさに重きを置いた服装でも問題ないほどに、過ごしやすい室温で保たれていた。
具体的には春の良く晴れた心地よい気温と同じといえばわかるだろうか。魔動具で室温を一定に整え、さらに程よく空調を利かせてたまにそよぐ風を肌で受け止めれば、まるで王宮内だけは春を一足早く迎えているようであった。
ここまで心地よくされれば、執務中であるにもかかわらず、ついつい眠たくなって欠伸を欠いてしまっても、誰にも文句は言われないのではないか。
執務机で3つほどの書類の山からまた一枚、処理する書類を手にしては、頭を掻きつつ文面に目を通す傍らに、男はそんなことを考えていた。
この王宮内に置いて、この男に意見できるものなどそういるわけではないが、だからと言って仕事を放り出しては、自分を信じてついてきてくれている者たちを裏切ることになってしまう。
目の前に積まれた紙束は側近や部下、そのまた下の部下たちがせっせと書き上げてくれた、いわば努力の結晶のようなものだ。それがどれほどの出来であったとしても、決して投げ出して火にくべてしまっていいものではない。
そうは言っても眠たくなるものは仕方がない。王宮内はとても居心地がいいように作られてはいるが、仕事中はそれが負担になることがある。特に男はそう感じていた。
男はため息をつき、手にした書類を一度机の上に置き、柔らかな椅子から立ち上がる。
今この場には男以外には誰もいない。部屋の外には3人ほど見張りが立っているが、音は聞こえても中の様子を窺うことはできない。
男は長い間書類の確認をしていて凝り固まった肩や首をゆっくりと回してコリをほぐし、疲れた目を指で揉みほぐす。
どうやらまた時間を忘れて仕事をしていたようだ。しばらく近くばかりを見ていたせいか、少し視界がぼやけている。
男はテラスにつながる窓の外を見る。
外はまだ日が落ちてはいなかったが、それでももう少しすれば遠くの山々に隠れてしまうほどだ。
少しばかり赤く染まった空が、疲れた目にはとても眩しく見えた。
「もう、こんな時間か。」
男は自分の左腕に付けている小さな時計に目を向ける。
アース連合と研究所の共同開発で作られた小型の時計は、とても軽く、どこでも正確な時刻を確認できるということもあって、男のように忙しい日々を過ごす者にはとても人気が高かった。
まだまだ貴族でも手が出にくい高額なものではあるが、あと数年もすればそれも随分と変わっていくだろう。
アース連合が世界中に影響を与えてからもうずいぶん経つが、それでもまだ50年も経っていない。男が生まれる前ではあるけれど、それでもこの世界の歴史からすればほんの一瞬の事なのだ。
それでもそれまでの緩やかな発展とは明らかに違う速さで、この世界の全てが一新されていった。男もそんな激動の中を歩いている。今はまだ誰も持っていなくとも、ほんの数年すれば誰もが手にしているだろうことは、これまでの事から推測することができた。
男は机の隅に置いておいたティーカップを持ち、テラスに続く窓を開ける。外の冷気が部屋の中に入り込んできて、今まで心地よかった室温が一気に低下する。
あまりの寒さに体が引き締まり、先ほどまでの眠気が風で吹き飛ばされてしまったようだった。
「やはり、外は冷えるな。」
今着ている服は決して薄着ではなく、生地も上等なものを使用していて、重いと感じるほどに厚い。ただ、それでも防寒に関しては何の工夫もしておらず、ただただ華やかさを追求しただけのものであるがゆえに、外の寒さに耐えられるようなものではなかった。
それでも男は寒いテラスに出て、テラスの中央に置かれたテーブルとイスの前まで行き、2つあるイスのうちの一つにゆっくりと腰を下ろす。
イスは金属で作られているため、氷のように冷たく、とてもじゃないが寛げるようなものではなかった。
しかし、男はほんの少し身じろぎした程度で、優雅に座りなおし、持っているティーカップの中に入れられている冷めた紅茶を口に含んだ。
「・・・あいつは、もっと大変な思いをしているのだろうか。」
男はテラスから見下ろすことのできる街を眺め、その先にある平原や森や山を眺める。
今頃どこにいるのかわからない義弟の事を考え、それから天を仰ぐ。
「いや、もしかしたら、それほど大変でもないかもしれないな。少なくとも、ここにいるよりは生きやすかろう。」
フッと笑ってティーカップを机の上に置き、再び街を眺めた。
まだ日は落ち切っていないが、それでも街には徐々に明かりがつき始めている。直に夜の闇を明るく照らすことだろう。
男はそんな街を眺めることが好きで、街を一望することができるこのテラスも、男の数少ないお気に入りの一つだった。
コンコンコン。
部屋の扉を叩く音が響き、その後から外で待つ騎士の声が届いた。
「エレア様がいらしております。お通ししてもよろしいでしょうか?」
騎士の言葉に男は少しだけ首を傾げた。
はて、彼女がここに来る理由でもあったか。面会の予定は当分なかったはずだが。
もちろん予定がなかったからといって容易に追い返せる相手でもない。本来なら事前に予定を合わせておいてから面会するのがマナーなのだが、彼女はそんな回りくどいやり方を好まない。そしてそんな振る舞いをしても誰も咎めることができない。結果、彼女は本当に重要な話し合い以外で予定を合わすための伺いを立てることはほとんどない。
そんなことだから、彼女には話し相手がほとんどいないのだが。それを気にすることもなければ、むしろ寄ってこないでほしいとさえ思っているのだから始末に置けない。
男も何度か注意をしたが、聞き入れたことなど数えられるくらいしかない。もともと貴族ではなかったのだから仕方のない部分もあるが、それにしても随分と図太い神経をしているものだ。
男は早々に立ち上がってテラスから部屋の中に戻り、窓の鍵を閉める。
「通してくれ。」
騎士に応答すると、待ってましたとばかりにいち早く扉が開かれ、観音開きした扉の向こうから豪奢なドレスを着た少女が入ってきた。
笑顔を見せれば誰もが振り返り、ときめいてしまうのではないかというくらいに大人びた少女は、優雅な動作で部屋の中に入り、軽くお辞儀して見せた。
「お会いできて嬉しく思います。ウォルトス第一王子。」
「其方の願いであれば、断ることもできないだろう。エレア=エスカートよ。」
男は社交的な笑みを見せながら、仕方がないから入れてやっただけだという言い方をして、それを聞いた外の騎士がびくっとした。
直球ではないにしろ、直球に限りなく近い言葉遣いであり、そんな言葉を貴族や王族がすることはほとんどない。まして同格以上の者に対する言葉ではない。最悪軽くない刑に処されることもあるのだ。騎士が震えるのも無理はないだろう。
それでもエレアは顔色一つ変えずに、すました表情で軽く低頭した。
「お忙しいところ、本当に申し訳ありません。ですが、私も早急な要件であったゆえ、お許しいただければと存じます。」
エレアの言葉を聞いて少しだけ胸をなでおろした騎士は、これ以上は立ち入れないとして、静かに扉を閉める。
ただ、その際に扉の外に控えていたエレアの連れてきた侍女と、部屋の外で待機していたらしいウォルトスの執事が入室してきた。
互いに未婚故に、2人きりで話をするわけにはいかないのだ。執事はおそらくエレアの来訪を騎士から伝え聞いて飛んできたのだろう。平然としているが、額にうっすらと汗がにじんでいることからそれを察することができた。
「まずはおかけください。ルノアール。紅茶を。」
「すぐにご用意いたします。」
執務室の中央にある向かい合わせのソファーの扉側の方に座るように促してから、執事に紅茶を入れるように指示をした。
エレアはすぐにソファーの中央に座り、後ろに控えた侍女から小包を受け取った。
「今回は急な訪問でしたので、お詫びの品として、こちらをご用意しました。気に入っていただけると嬉しいのですが。」
エレアは小包をソファーの間にある大きな机に静かに置き、中央まで滑らせた。
ウォルトスが覚えているだけでもこうしてお詫びの品を用意していることなどほとんどない。いくつか浮かぶ場面では、例外なく大変な思いをしていた。
「ルノアール。小包の中を確認してくれ。」
「よろしいのですか?」
本来ならば贈り物を貰ったその場で確認することは、あまり褒められたことではないのだが、それでも今確認しておかなければいけないような直感をウォルトスは感じ取った。
その証拠に、ルノアールに目を向けられたエレアはほんの少し微笑んだだけで、咎めるようなことはなかったからだ。
基本的にそんなことをするエレアではないが、それでも貴族としての教養を身につけられてはいるのだ。フリでも貴族としてのふるまいはできる。
そんな彼女が全く動じず、むしろ先を促すようにするということは、今回の話は本当に急を要するものであるらしい。
小包の中身いかんによっては、ただでさえ忙しいのに動かざるを得なくなってしまうかもしれない。
ウォルトスはじっと身構え、ルノアールの言葉を待つ。
「・・・こ、これは。」
ルノアールが小包の中を除いた瞬間、驚きに目を見開いた。
「何が入っていた?」
「ご覧になった方がよろしいかと。」
ルノアールはすぐに身を低くして小包をウォルトスが除きやすい位置に持っていく。
「・・・急に話を聞きたくなくなってきたのだが、許していただけるかな?」
「ダメですよ。今回のお話は、今後の王国を左右するかもしれないのですから。」
小包の中身。それは拳と同じくらいの大きさもある、特大の魔石だった。これほどの鉱石に魔法を籠めるとなると、エスカートでもかなりの労力だ。
売れば国の半分を買ってしまえるほどの値である。
つまり、それを差し出すほどに重要な話であるということだ。
言葉通り、国の行く末を決める可能性のある話を。
具体的には春の良く晴れた心地よい気温と同じといえばわかるだろうか。魔動具で室温を一定に整え、さらに程よく空調を利かせてたまにそよぐ風を肌で受け止めれば、まるで王宮内だけは春を一足早く迎えているようであった。
ここまで心地よくされれば、執務中であるにもかかわらず、ついつい眠たくなって欠伸を欠いてしまっても、誰にも文句は言われないのではないか。
執務机で3つほどの書類の山からまた一枚、処理する書類を手にしては、頭を掻きつつ文面に目を通す傍らに、男はそんなことを考えていた。
この王宮内に置いて、この男に意見できるものなどそういるわけではないが、だからと言って仕事を放り出しては、自分を信じてついてきてくれている者たちを裏切ることになってしまう。
目の前に積まれた紙束は側近や部下、そのまた下の部下たちがせっせと書き上げてくれた、いわば努力の結晶のようなものだ。それがどれほどの出来であったとしても、決して投げ出して火にくべてしまっていいものではない。
そうは言っても眠たくなるものは仕方がない。王宮内はとても居心地がいいように作られてはいるが、仕事中はそれが負担になることがある。特に男はそう感じていた。
男はため息をつき、手にした書類を一度机の上に置き、柔らかな椅子から立ち上がる。
今この場には男以外には誰もいない。部屋の外には3人ほど見張りが立っているが、音は聞こえても中の様子を窺うことはできない。
男は長い間書類の確認をしていて凝り固まった肩や首をゆっくりと回してコリをほぐし、疲れた目を指で揉みほぐす。
どうやらまた時間を忘れて仕事をしていたようだ。しばらく近くばかりを見ていたせいか、少し視界がぼやけている。
男はテラスにつながる窓の外を見る。
外はまだ日が落ちてはいなかったが、それでももう少しすれば遠くの山々に隠れてしまうほどだ。
少しばかり赤く染まった空が、疲れた目にはとても眩しく見えた。
「もう、こんな時間か。」
男は自分の左腕に付けている小さな時計に目を向ける。
アース連合と研究所の共同開発で作られた小型の時計は、とても軽く、どこでも正確な時刻を確認できるということもあって、男のように忙しい日々を過ごす者にはとても人気が高かった。
まだまだ貴族でも手が出にくい高額なものではあるが、あと数年もすればそれも随分と変わっていくだろう。
アース連合が世界中に影響を与えてからもうずいぶん経つが、それでもまだ50年も経っていない。男が生まれる前ではあるけれど、それでもこの世界の歴史からすればほんの一瞬の事なのだ。
それでもそれまでの緩やかな発展とは明らかに違う速さで、この世界の全てが一新されていった。男もそんな激動の中を歩いている。今はまだ誰も持っていなくとも、ほんの数年すれば誰もが手にしているだろうことは、これまでの事から推測することができた。
男は机の隅に置いておいたティーカップを持ち、テラスに続く窓を開ける。外の冷気が部屋の中に入り込んできて、今まで心地よかった室温が一気に低下する。
あまりの寒さに体が引き締まり、先ほどまでの眠気が風で吹き飛ばされてしまったようだった。
「やはり、外は冷えるな。」
今着ている服は決して薄着ではなく、生地も上等なものを使用していて、重いと感じるほどに厚い。ただ、それでも防寒に関しては何の工夫もしておらず、ただただ華やかさを追求しただけのものであるがゆえに、外の寒さに耐えられるようなものではなかった。
それでも男は寒いテラスに出て、テラスの中央に置かれたテーブルとイスの前まで行き、2つあるイスのうちの一つにゆっくりと腰を下ろす。
イスは金属で作られているため、氷のように冷たく、とてもじゃないが寛げるようなものではなかった。
しかし、男はほんの少し身じろぎした程度で、優雅に座りなおし、持っているティーカップの中に入れられている冷めた紅茶を口に含んだ。
「・・・あいつは、もっと大変な思いをしているのだろうか。」
男はテラスから見下ろすことのできる街を眺め、その先にある平原や森や山を眺める。
今頃どこにいるのかわからない義弟の事を考え、それから天を仰ぐ。
「いや、もしかしたら、それほど大変でもないかもしれないな。少なくとも、ここにいるよりは生きやすかろう。」
フッと笑ってティーカップを机の上に置き、再び街を眺めた。
まだ日は落ち切っていないが、それでも街には徐々に明かりがつき始めている。直に夜の闇を明るく照らすことだろう。
男はそんな街を眺めることが好きで、街を一望することができるこのテラスも、男の数少ないお気に入りの一つだった。
コンコンコン。
部屋の扉を叩く音が響き、その後から外で待つ騎士の声が届いた。
「エレア様がいらしております。お通ししてもよろしいでしょうか?」
騎士の言葉に男は少しだけ首を傾げた。
はて、彼女がここに来る理由でもあったか。面会の予定は当分なかったはずだが。
もちろん予定がなかったからといって容易に追い返せる相手でもない。本来なら事前に予定を合わせておいてから面会するのがマナーなのだが、彼女はそんな回りくどいやり方を好まない。そしてそんな振る舞いをしても誰も咎めることができない。結果、彼女は本当に重要な話し合い以外で予定を合わすための伺いを立てることはほとんどない。
そんなことだから、彼女には話し相手がほとんどいないのだが。それを気にすることもなければ、むしろ寄ってこないでほしいとさえ思っているのだから始末に置けない。
男も何度か注意をしたが、聞き入れたことなど数えられるくらいしかない。もともと貴族ではなかったのだから仕方のない部分もあるが、それにしても随分と図太い神経をしているものだ。
男は早々に立ち上がってテラスから部屋の中に戻り、窓の鍵を閉める。
「通してくれ。」
騎士に応答すると、待ってましたとばかりにいち早く扉が開かれ、観音開きした扉の向こうから豪奢なドレスを着た少女が入ってきた。
笑顔を見せれば誰もが振り返り、ときめいてしまうのではないかというくらいに大人びた少女は、優雅な動作で部屋の中に入り、軽くお辞儀して見せた。
「お会いできて嬉しく思います。ウォルトス第一王子。」
「其方の願いであれば、断ることもできないだろう。エレア=エスカートよ。」
男は社交的な笑みを見せながら、仕方がないから入れてやっただけだという言い方をして、それを聞いた外の騎士がびくっとした。
直球ではないにしろ、直球に限りなく近い言葉遣いであり、そんな言葉を貴族や王族がすることはほとんどない。まして同格以上の者に対する言葉ではない。最悪軽くない刑に処されることもあるのだ。騎士が震えるのも無理はないだろう。
それでもエレアは顔色一つ変えずに、すました表情で軽く低頭した。
「お忙しいところ、本当に申し訳ありません。ですが、私も早急な要件であったゆえ、お許しいただければと存じます。」
エレアの言葉を聞いて少しだけ胸をなでおろした騎士は、これ以上は立ち入れないとして、静かに扉を閉める。
ただ、その際に扉の外に控えていたエレアの連れてきた侍女と、部屋の外で待機していたらしいウォルトスの執事が入室してきた。
互いに未婚故に、2人きりで話をするわけにはいかないのだ。執事はおそらくエレアの来訪を騎士から伝え聞いて飛んできたのだろう。平然としているが、額にうっすらと汗がにじんでいることからそれを察することができた。
「まずはおかけください。ルノアール。紅茶を。」
「すぐにご用意いたします。」
執務室の中央にある向かい合わせのソファーの扉側の方に座るように促してから、執事に紅茶を入れるように指示をした。
エレアはすぐにソファーの中央に座り、後ろに控えた侍女から小包を受け取った。
「今回は急な訪問でしたので、お詫びの品として、こちらをご用意しました。気に入っていただけると嬉しいのですが。」
エレアは小包をソファーの間にある大きな机に静かに置き、中央まで滑らせた。
ウォルトスが覚えているだけでもこうしてお詫びの品を用意していることなどほとんどない。いくつか浮かぶ場面では、例外なく大変な思いをしていた。
「ルノアール。小包の中を確認してくれ。」
「よろしいのですか?」
本来ならば贈り物を貰ったその場で確認することは、あまり褒められたことではないのだが、それでも今確認しておかなければいけないような直感をウォルトスは感じ取った。
その証拠に、ルノアールに目を向けられたエレアはほんの少し微笑んだだけで、咎めるようなことはなかったからだ。
基本的にそんなことをするエレアではないが、それでも貴族としての教養を身につけられてはいるのだ。フリでも貴族としてのふるまいはできる。
そんな彼女が全く動じず、むしろ先を促すようにするということは、今回の話は本当に急を要するものであるらしい。
小包の中身いかんによっては、ただでさえ忙しいのに動かざるを得なくなってしまうかもしれない。
ウォルトスはじっと身構え、ルノアールの言葉を待つ。
「・・・こ、これは。」
ルノアールが小包の中を除いた瞬間、驚きに目を見開いた。
「何が入っていた?」
「ご覧になった方がよろしいかと。」
ルノアールはすぐに身を低くして小包をウォルトスが除きやすい位置に持っていく。
「・・・急に話を聞きたくなくなってきたのだが、許していただけるかな?」
「ダメですよ。今回のお話は、今後の王国を左右するかもしれないのですから。」
小包の中身。それは拳と同じくらいの大きさもある、特大の魔石だった。これほどの鉱石に魔法を籠めるとなると、エスカートでもかなりの労力だ。
売れば国の半分を買ってしまえるほどの値である。
つまり、それを差し出すほどに重要な話であるということだ。
言葉通り、国の行く末を決める可能性のある話を。
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