57 / 167
第一部 初仕事編
第57話 レアメタル
しおりを挟む
セレストを出発して、ワープ4で四日間、漂流した貨物船を見つけた地点についた。
「さて、前回漂流船を見つけて地点に着いたが、これからどっちに探しに向かえばいいんだ?」
「漂流船の動きから、航跡の予測を立てた」
「おお、チハルは優秀だな」
「漂流船の航跡はこれ、二百年前はこの辺りになる」
ブリッジのスクリーンに航宙図を映し出し、チハルが説明する。
「そこまで、ワープ2で一日」
「ワープ4で行かないのか?」
「航路外の未知の領域、慎重に進む」
「わかった、じゃあそれで進もう」
翌日、漂流船が二百年前に通っただろうと思われる地点、つまり、ゲートがあるかもしれない場所に到着した。
「予測地点に着いたが、ゲートらしきものはないな」
「予測に誤差はある」
「後は地道に探して行くしかないのか」
「でも、これだけ絞れていれば発見できる可能性が高いわよ」
「まあ、ゲートが見つからなくても、主目的はレアメタルの採取だからな」
「なんで、そう否定的なのよ!」
「現実的なんだ。どこかの王女様のように夢ばかり見ていられないんだよ」
「そうですか、悪かったわね、夢見がちで」
「二人とも歪み合ってないで、この後どうするんですか?」
「ん? どうすればいいんだ、適当に飛んでいれば行き当たる物なのか?」
「無人機を出して捜索することを推奨する」
「じゃあ、チハル、それでよろしく」
「了解した」
無人機を、前後、左右、上下の六機飛ばす。
無人機が何か見つけるまで暫く待ちだな。
どれ位かかるだろう。というか、一日二日で見つかる物なのか?
しかし、その心配は杞憂だった。
僅か五分後にはレアメタル発見の知らせが次々届いていた。
「こんなにあるとは、びっくりよね。流石は未開の地だわね」
「何か馬鹿にされている気分なんだけど」
「そんなことないわよ。ゴールドラッシュ状態なんだからいいじゃない。さあ、採取に向かいましょう!」
「そうだな。チハル、どこか適当な所に向かってくれ」
「了解、右にあるコスモメタル400の岩塊に向かう」
船を岩塊のそばまで移動させる。
その岩塊は縦横高さ十メートル位あるだろうか。
「そのままじゃ倉庫に入らないよな」
「貨物船を持って来ればよかったわね」
「あれはまだ荷物が入ったままだし、整備しないと危険だろ」
「そうだったわね。でも、これだけレアメタルがあるなら、早く貨物船を用意した方がいいかもしれないわよ」
「でも、ゲートを見つけるまでは、貨物船のことは秘密にしたいんだろ」
「そうなのよね。悩ましいところよね」
「シャトルポッドで行って、分割しながら運び入れるしかない」
「仕方がない、シャトルポッドで出るか」
「じゃあ私も出るわよ」
「ステファも出てくれるのか、なら、チハルと俺と三機でいけるか」
「あの、シャトルポッドは四機ありますよね?」
「ああ、そうだけど、リリスたちはライセンスを持ってないだろ。操縦はさせられないよ」
「ライセンスが必要なのですか……。セイヤ様はお持ちなのですね」
「前回とったんだ。まあ、俺がとったのはシャトルポッドでなく宇宙船のだがな」
「そうでしたか。そのライセンスは私でも取れるものなのでしょうか?」
「シャトルポッドなら二日でとれる」
「そうなのですか、チハルさん」
「ドックに寄ったら取ればいい」
「セイヤ様、どうでしょうか?」
「チハルが勧めるなら問題ないのだろうが、リリスが無理にシャトルポッドの操縦をしなくてもいいんだぞ」
「いえ、少しでもセイヤ様のお役に立ちたいのです」
「その気持ちだけで十分なんだがな。まあ、兎に角、今回は操縦させられないから、船で留守番よろしく」
「はい、仕方ないですね。わかりました」
結局、俺とステファとチハルの三人がシャトルポッドで出て、シャトルポッドの装備で、コスモメタル400の岩塊を適当な大きさに砕いては、ハルクの倉庫に運んで積めていく。
それが終われば、次の岩塊に移動して同じことの繰り返しだ。
二日もそれを繰り返すと船の倉庫は満杯になった。
「コスモメタル400に、SSS、TrXもあったなんて、レアメタルの宝庫じゃない」
「後はこれを売りに行けばいいわけだな」
「ギルドに事前連絡した方がいい」
「ああ、そうか。チハル、ギルドに繋いでくれる」
チハルがギルドとの通信回線を繋ぐ。
『はい、こちらギルド、第2857ドック出張所です』
「アンジェラさんですか、先日はお世話になりました。セイヤです」
『セイヤさんでしたか、どうかされましたか?』
「レアメタルの買取をお願いしたいんですが」
『そうですか、それでしたら、ドックの方にお願いします。到着予定は何時ごろですか』
「大体一週間後です」
『え、そんなに遠くに行かれたのですか。わかりました。気をつけてきてくださいね』
「はい、それでは失礼します」
俺は通信を切った。
「じゃあデルタ、ドックに向かってくれ」
『了解。発進します』
「いくらで売れるか楽しみですね」
リリスは嬉しそうだ。笑顔が可愛い。
「そうだな、期待しすぎるのもいけないが、楽しみなことは確かだな」
「そっちはそれでいいでしょうけど、この調子だとゲートの方はいつになることやら」
ステファはため息をついていた。
「ステファにもちゃんと分け前をやるぞ」
「当たり前よ!」
どうも、ステファのご機嫌は斜めのようだ。
ゲートを見つけることに、一攫千金以外の目的があるのだろうか?
ゲートの繋がる先は多分セクション2である。ステファの国であるシリウス星系に行くにはちょうどいい。
もしかして、ステファは国に帰りたいのだろうか?
ステファの立場を考えると聞いていいものか微妙なので、そのまま黙っていることにした。
「さて、前回漂流船を見つけて地点に着いたが、これからどっちに探しに向かえばいいんだ?」
「漂流船の動きから、航跡の予測を立てた」
「おお、チハルは優秀だな」
「漂流船の航跡はこれ、二百年前はこの辺りになる」
ブリッジのスクリーンに航宙図を映し出し、チハルが説明する。
「そこまで、ワープ2で一日」
「ワープ4で行かないのか?」
「航路外の未知の領域、慎重に進む」
「わかった、じゃあそれで進もう」
翌日、漂流船が二百年前に通っただろうと思われる地点、つまり、ゲートがあるかもしれない場所に到着した。
「予測地点に着いたが、ゲートらしきものはないな」
「予測に誤差はある」
「後は地道に探して行くしかないのか」
「でも、これだけ絞れていれば発見できる可能性が高いわよ」
「まあ、ゲートが見つからなくても、主目的はレアメタルの採取だからな」
「なんで、そう否定的なのよ!」
「現実的なんだ。どこかの王女様のように夢ばかり見ていられないんだよ」
「そうですか、悪かったわね、夢見がちで」
「二人とも歪み合ってないで、この後どうするんですか?」
「ん? どうすればいいんだ、適当に飛んでいれば行き当たる物なのか?」
「無人機を出して捜索することを推奨する」
「じゃあ、チハル、それでよろしく」
「了解した」
無人機を、前後、左右、上下の六機飛ばす。
無人機が何か見つけるまで暫く待ちだな。
どれ位かかるだろう。というか、一日二日で見つかる物なのか?
しかし、その心配は杞憂だった。
僅か五分後にはレアメタル発見の知らせが次々届いていた。
「こんなにあるとは、びっくりよね。流石は未開の地だわね」
「何か馬鹿にされている気分なんだけど」
「そんなことないわよ。ゴールドラッシュ状態なんだからいいじゃない。さあ、採取に向かいましょう!」
「そうだな。チハル、どこか適当な所に向かってくれ」
「了解、右にあるコスモメタル400の岩塊に向かう」
船を岩塊のそばまで移動させる。
その岩塊は縦横高さ十メートル位あるだろうか。
「そのままじゃ倉庫に入らないよな」
「貨物船を持って来ればよかったわね」
「あれはまだ荷物が入ったままだし、整備しないと危険だろ」
「そうだったわね。でも、これだけレアメタルがあるなら、早く貨物船を用意した方がいいかもしれないわよ」
「でも、ゲートを見つけるまでは、貨物船のことは秘密にしたいんだろ」
「そうなのよね。悩ましいところよね」
「シャトルポッドで行って、分割しながら運び入れるしかない」
「仕方がない、シャトルポッドで出るか」
「じゃあ私も出るわよ」
「ステファも出てくれるのか、なら、チハルと俺と三機でいけるか」
「あの、シャトルポッドは四機ありますよね?」
「ああ、そうだけど、リリスたちはライセンスを持ってないだろ。操縦はさせられないよ」
「ライセンスが必要なのですか……。セイヤ様はお持ちなのですね」
「前回とったんだ。まあ、俺がとったのはシャトルポッドでなく宇宙船のだがな」
「そうでしたか。そのライセンスは私でも取れるものなのでしょうか?」
「シャトルポッドなら二日でとれる」
「そうなのですか、チハルさん」
「ドックに寄ったら取ればいい」
「セイヤ様、どうでしょうか?」
「チハルが勧めるなら問題ないのだろうが、リリスが無理にシャトルポッドの操縦をしなくてもいいんだぞ」
「いえ、少しでもセイヤ様のお役に立ちたいのです」
「その気持ちだけで十分なんだがな。まあ、兎に角、今回は操縦させられないから、船で留守番よろしく」
「はい、仕方ないですね。わかりました」
結局、俺とステファとチハルの三人がシャトルポッドで出て、シャトルポッドの装備で、コスモメタル400の岩塊を適当な大きさに砕いては、ハルクの倉庫に運んで積めていく。
それが終われば、次の岩塊に移動して同じことの繰り返しだ。
二日もそれを繰り返すと船の倉庫は満杯になった。
「コスモメタル400に、SSS、TrXもあったなんて、レアメタルの宝庫じゃない」
「後はこれを売りに行けばいいわけだな」
「ギルドに事前連絡した方がいい」
「ああ、そうか。チハル、ギルドに繋いでくれる」
チハルがギルドとの通信回線を繋ぐ。
『はい、こちらギルド、第2857ドック出張所です』
「アンジェラさんですか、先日はお世話になりました。セイヤです」
『セイヤさんでしたか、どうかされましたか?』
「レアメタルの買取をお願いしたいんですが」
『そうですか、それでしたら、ドックの方にお願いします。到着予定は何時ごろですか』
「大体一週間後です」
『え、そんなに遠くに行かれたのですか。わかりました。気をつけてきてくださいね』
「はい、それでは失礼します」
俺は通信を切った。
「じゃあデルタ、ドックに向かってくれ」
『了解。発進します』
「いくらで売れるか楽しみですね」
リリスは嬉しそうだ。笑顔が可愛い。
「そうだな、期待しすぎるのもいけないが、楽しみなことは確かだな」
「そっちはそれでいいでしょうけど、この調子だとゲートの方はいつになることやら」
ステファはため息をついていた。
「ステファにもちゃんと分け前をやるぞ」
「当たり前よ!」
どうも、ステファのご機嫌は斜めのようだ。
ゲートを見つけることに、一攫千金以外の目的があるのだろうか?
ゲートの繋がる先は多分セクション2である。ステファの国であるシリウス星系に行くにはちょうどいい。
もしかして、ステファは国に帰りたいのだろうか?
ステファの立場を考えると聞いていいものか微妙なので、そのまま黙っていることにした。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福論。〜飯作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
西園寺若葉
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜
出汁の素
ファンタジー
アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。
これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。
そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。
のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。
第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。
第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。
第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。
第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。
1章20話(除く閑話)予定です。
-------------------------------------------------------------
書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。
全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。
下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?
ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。
アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。
15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる