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第一部 ドック編
第17話 カード
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無一文だった俺は、借金をするために銀行に来ていた。今はカードができるまで、カードの利用方法の説明を受けることになった。
「お支払い、送金、受け取り、残高の確認がカードで行えます。操作方法はそちらの冊子でご確認ください。
残高がマイナスになりますと、借入限度額までは自動的に貸付となります。
利息は年率15パーセントです。それを日割りで、一日ごとに借入残高で計算し、借入残高に加算されます。
返済は、入金が有れば自動的に行われ、残高がプラスになれば、返済完了です。
残高のマイナスが借入限度額を超えますと、担保の差し押さえとなりますので注意してください。
それと、カードは身分証明としても利用されます。
ビジネスで初めてお会いした方に、提示する慣習がありますので、ご利用ください」
名刺代わりということか。
向こうがカードを示しているのに、俺がカードを出さなかったから、それで、おっさんもミラクさんも怪訝な表情をしていたのか。
しかし、よくよく考えれば、借りたお金は返さなければならないのだよな。
返せる当てがないぞ。どうしたものかな。
「あの、今更なのですが、返済できる当てがないんですが、どうしたらいいでしょう」
「どの位の借入を予定しているのですか?」
「アシスタントの購入代金三千万Gと宇宙船のライセンスの取得費用、それと十日間の滞在費とその他諸々ですかね」
「それなら三千百万Gも有れば十分ですね。それでしたら、セイヤさんは宇宙船をお持ちなのですから、それでお金を稼いだらどうでしょうか?」
「具体的にはどうすればいいでしょう」
「そうですね。運送会社か旅客会社に船体持ち込みで勤めるのが一つの方法ですが、その場合、セイヤさんの船はどっち付かずなので、改装が必要になるかもしれませんね」
「貨物船とか専門にしないと難しいですか?」
「効率的に運ばないと、燃料代もかかりますからね。赤字になってしまいますよ」
燃料代?魔力は自分で充填すればタダではないのだろうか。それとも、別に燃料がかかるのか。
「それでなければ、個人事業主としてやっていくかですね。
その場合、リスクはあっても単価が高い品物の輸送や要人の護送などになるでしょうか。
冒険者として、未開領域の資源探査や新しい航路の探索なんて仕事もありますね。
危険度は高くなりますが、傭兵という選択肢もあります。
どちらにしろ、個人でやっていくなら、ギルドに加入することをお勧めします」
「ギルドですか?」
「仕事の仲介や斡旋、資源や情報の買取も行なっています。
そして、何より、航路外を航行する場合、ギルドに入っていないと海賊に間違われる場合があります。冒険者をやる場合には必須ですね」
ちょっと待ってくれ、ロストプラネットって航路外だよな。
つまり、セレストに帰る場合は航路外を航行するわけで、海賊に間違われる可能性がある。
これは、キルドに加入しておく必要があるな。
「わかりました。ギルドに加入してやっていきたいと思います」
「そうですか、頑張ってくださいね」
「すみません、こんなことを聞いてしまって」
「いいんですよ。返済計画のご相談も仕事のうちですから」
仕事の相談をしているうちにカードができたようだ。
「それでは、こちらがセイヤさんのカードになります」
「ありがとうございます」
俺はミラクさんからカードを受け取る。
「そして、こちらがチハルさんのチップです」
チハルの前に出されたのは、マイクロチップか? 五ミリ角位の電子部品だった。
チハルはそれを受け取ると、左手の甲に押し込んだ。
「え。痛くないの?」
「問題ない」
チハルは左手の甲を俺に見せる。
そこは少し赤くなっているものの、傷などはなく、血が出た様子もない。どうなっているんだ?
俺は、チハルの手を掴んで、まじまじと見つめてしまった。
「キャプテン、見過ぎ」
「あ、ごめん」
俺は慌てて手を離すと、チハルは手を引っ込めて、そっぽを向いてしまった。
「んんっ。何かご質問はありますか?」
ミラクさんに咳払いされてしまった。
「あ、大丈夫です」
「それでは以上になります。ご利用は計画的にお願いしますね」
「わかりました。では失礼します」
俺たちは、無事、目的を果たし、銀行を出た。
「お支払い、送金、受け取り、残高の確認がカードで行えます。操作方法はそちらの冊子でご確認ください。
残高がマイナスになりますと、借入限度額までは自動的に貸付となります。
利息は年率15パーセントです。それを日割りで、一日ごとに借入残高で計算し、借入残高に加算されます。
返済は、入金が有れば自動的に行われ、残高がプラスになれば、返済完了です。
残高のマイナスが借入限度額を超えますと、担保の差し押さえとなりますので注意してください。
それと、カードは身分証明としても利用されます。
ビジネスで初めてお会いした方に、提示する慣習がありますので、ご利用ください」
名刺代わりということか。
向こうがカードを示しているのに、俺がカードを出さなかったから、それで、おっさんもミラクさんも怪訝な表情をしていたのか。
しかし、よくよく考えれば、借りたお金は返さなければならないのだよな。
返せる当てがないぞ。どうしたものかな。
「あの、今更なのですが、返済できる当てがないんですが、どうしたらいいでしょう」
「どの位の借入を予定しているのですか?」
「アシスタントの購入代金三千万Gと宇宙船のライセンスの取得費用、それと十日間の滞在費とその他諸々ですかね」
「それなら三千百万Gも有れば十分ですね。それでしたら、セイヤさんは宇宙船をお持ちなのですから、それでお金を稼いだらどうでしょうか?」
「具体的にはどうすればいいでしょう」
「そうですね。運送会社か旅客会社に船体持ち込みで勤めるのが一つの方法ですが、その場合、セイヤさんの船はどっち付かずなので、改装が必要になるかもしれませんね」
「貨物船とか専門にしないと難しいですか?」
「効率的に運ばないと、燃料代もかかりますからね。赤字になってしまいますよ」
燃料代?魔力は自分で充填すればタダではないのだろうか。それとも、別に燃料がかかるのか。
「それでなければ、個人事業主としてやっていくかですね。
その場合、リスクはあっても単価が高い品物の輸送や要人の護送などになるでしょうか。
冒険者として、未開領域の資源探査や新しい航路の探索なんて仕事もありますね。
危険度は高くなりますが、傭兵という選択肢もあります。
どちらにしろ、個人でやっていくなら、ギルドに加入することをお勧めします」
「ギルドですか?」
「仕事の仲介や斡旋、資源や情報の買取も行なっています。
そして、何より、航路外を航行する場合、ギルドに入っていないと海賊に間違われる場合があります。冒険者をやる場合には必須ですね」
ちょっと待ってくれ、ロストプラネットって航路外だよな。
つまり、セレストに帰る場合は航路外を航行するわけで、海賊に間違われる可能性がある。
これは、キルドに加入しておく必要があるな。
「わかりました。ギルドに加入してやっていきたいと思います」
「そうですか、頑張ってくださいね」
「すみません、こんなことを聞いてしまって」
「いいんですよ。返済計画のご相談も仕事のうちですから」
仕事の相談をしているうちにカードができたようだ。
「それでは、こちらがセイヤさんのカードになります」
「ありがとうございます」
俺はミラクさんからカードを受け取る。
「そして、こちらがチハルさんのチップです」
チハルの前に出されたのは、マイクロチップか? 五ミリ角位の電子部品だった。
チハルはそれを受け取ると、左手の甲に押し込んだ。
「え。痛くないの?」
「問題ない」
チハルは左手の甲を俺に見せる。
そこは少し赤くなっているものの、傷などはなく、血が出た様子もない。どうなっているんだ?
俺は、チハルの手を掴んで、まじまじと見つめてしまった。
「キャプテン、見過ぎ」
「あ、ごめん」
俺は慌てて手を離すと、チハルは手を引っ込めて、そっぽを向いてしまった。
「んんっ。何かご質問はありますか?」
ミラクさんに咳払いされてしまった。
「あ、大丈夫です」
「それでは以上になります。ご利用は計画的にお願いしますね」
「わかりました。では失礼します」
俺たちは、無事、目的を果たし、銀行を出た。
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