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第二章
第52話 死に戻り
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夕食後、私はシリーを自室に呼び出した。
「シリー、ちょっと聞きたいことがあるの。二回目、ってなんだと思う」
「二回目、ですか? 随分と漠然としていますね」
本当にね。どうせ教えてくれるなら、詳しく教えてくれればいいのに。
「今日枢機卿の孫のラン司祭から言われたの」
「神託ですか。ということは、ゲーム関係ですね」
「ゲームで、二回目! もしかすると。『鑑定』」
私は、自分の過去を鑑定した。
「そういうことか」
「何かわかりましたかお嬢様」
「私が学院の入学式典に出席したのは、今日で二回目だわ」
「どういうことですか?」
「一回目は学院入学後二日目にヒロインが死亡しているの。そしてその直後、時間が、学院の入学式典終了後に戻っているわ。多分このゲーム、途中でヒロインが死ぬとスタート時点からやり直しになるんだわ。所謂、死に戻りね」
「そんなことが起こっていたのですか」
「何か違和感のようなものを感じていたけど、そのせいね。一回目の記憶がなかったけれど、鑑定で記憶が確認できてよかったわ」
「そうですか、私は何も感じませんでしたが」
「シリー、あなた、仮にも女神なのですから、あなただけ記憶が残っていても不思議ではないのよ」
「そう言われましても。無いものは無いです」
私は呆れて言葉も出ない。
「そうなると、ヒロインに記憶が残っているかが重要ね」
「直接、本人に聞いてみますか」
「聞かなくても、鑑定すればわかりそうな気もするけれども、今日の様子からみて、多分、記憶があるわね」
「様子が変でしたか」
「ええ、一回目と違う行動を取る前に考え込んでいたわ。取った行動は違ったのだけれども、結果としては大差なかったわ」
「そうなると、明日、またヒロインは死にますかね」
「それは、どうだろう。できれば阻止しないと、このまま同じ時間の繰り返しになってしまうわ」
「ちなみに、なぜヒロインは亡くなられたのですか」
「うーむ。トレス様が私を殺そうとして、巻き添えを食らって死んだ。みたい」
「トレス様がお嬢様を殺そうとしたのですか、どうしてですか」
「多分、ヒロインを虐めたから。それと、自分の秘密がバレないように」
「そうなると、今後も狙われ続けることになりそうですね」
「そうなるわね。何か良い解決法はないものかしら」
「直接話し合われてはどうでしょう」
「それもね、どうだろう。ヒロインを虐めている理由が、イベント強制力だと説明しても信じてもらえないわよね。きっと。それと、こちらが秘密を知っていると、確信しているようすでもなかったから、返って藪蛇になりかねないわ」
「そうですか」
「とりあえず明日はようすをみてみるわ。一回目はトレス様とヒロインが一緒に行動していたけれど、今日は別々に行動していたし。何か変わるかも。仮にヒロインが死んでも、多分また元の時間に戻るだろうから」
「死ぬのが自分じゃないといい加減ですね」
「仕方がないじゃないの。人は誰しも自分が一番なのだから」
「そんなことを言っていると、エンジンポイントが減りますよ」
エンジンポイント。そんなものがあったっけ。すっかり忘れていたわ。
「わかったわ、できる限りヒロインが死なないように助けるわ」
しかし厄介だ。近づけば虐める可能性があり。かといって、遠ざかれば死んでしまう可能性がある。
兎に角、ヒロインが生きていなければ先に進めない。多少のことは諦めてもらうほかないが。そうなると、いつトレス様に命を狙われるかわからない。あっちを立てれば、こっちが立たず。とはこのことである。
そういえば、魔銃なんてものがあったのか。前回は突然のことで鑑定できなかったが、次は忘れずに鑑定して、魔術回路をコピーしよう。
何か、毒物も使っていたから、それも鑑定しておかなければ。
兎に角、面倒なことになったものである。
「シリー、ちょっと聞きたいことがあるの。二回目、ってなんだと思う」
「二回目、ですか? 随分と漠然としていますね」
本当にね。どうせ教えてくれるなら、詳しく教えてくれればいいのに。
「今日枢機卿の孫のラン司祭から言われたの」
「神託ですか。ということは、ゲーム関係ですね」
「ゲームで、二回目! もしかすると。『鑑定』」
私は、自分の過去を鑑定した。
「そういうことか」
「何かわかりましたかお嬢様」
「私が学院の入学式典に出席したのは、今日で二回目だわ」
「どういうことですか?」
「一回目は学院入学後二日目にヒロインが死亡しているの。そしてその直後、時間が、学院の入学式典終了後に戻っているわ。多分このゲーム、途中でヒロインが死ぬとスタート時点からやり直しになるんだわ。所謂、死に戻りね」
「そんなことが起こっていたのですか」
「何か違和感のようなものを感じていたけど、そのせいね。一回目の記憶がなかったけれど、鑑定で記憶が確認できてよかったわ」
「そうですか、私は何も感じませんでしたが」
「シリー、あなた、仮にも女神なのですから、あなただけ記憶が残っていても不思議ではないのよ」
「そう言われましても。無いものは無いです」
私は呆れて言葉も出ない。
「そうなると、ヒロインに記憶が残っているかが重要ね」
「直接、本人に聞いてみますか」
「聞かなくても、鑑定すればわかりそうな気もするけれども、今日の様子からみて、多分、記憶があるわね」
「様子が変でしたか」
「ええ、一回目と違う行動を取る前に考え込んでいたわ。取った行動は違ったのだけれども、結果としては大差なかったわ」
「そうなると、明日、またヒロインは死にますかね」
「それは、どうだろう。できれば阻止しないと、このまま同じ時間の繰り返しになってしまうわ」
「ちなみに、なぜヒロインは亡くなられたのですか」
「うーむ。トレス様が私を殺そうとして、巻き添えを食らって死んだ。みたい」
「トレス様がお嬢様を殺そうとしたのですか、どうしてですか」
「多分、ヒロインを虐めたから。それと、自分の秘密がバレないように」
「そうなると、今後も狙われ続けることになりそうですね」
「そうなるわね。何か良い解決法はないものかしら」
「直接話し合われてはどうでしょう」
「それもね、どうだろう。ヒロインを虐めている理由が、イベント強制力だと説明しても信じてもらえないわよね。きっと。それと、こちらが秘密を知っていると、確信しているようすでもなかったから、返って藪蛇になりかねないわ」
「そうですか」
「とりあえず明日はようすをみてみるわ。一回目はトレス様とヒロインが一緒に行動していたけれど、今日は別々に行動していたし。何か変わるかも。仮にヒロインが死んでも、多分また元の時間に戻るだろうから」
「死ぬのが自分じゃないといい加減ですね」
「仕方がないじゃないの。人は誰しも自分が一番なのだから」
「そんなことを言っていると、エンジンポイントが減りますよ」
エンジンポイント。そんなものがあったっけ。すっかり忘れていたわ。
「わかったわ、できる限りヒロインが死なないように助けるわ」
しかし厄介だ。近づけば虐める可能性があり。かといって、遠ざかれば死んでしまう可能性がある。
兎に角、ヒロインが生きていなければ先に進めない。多少のことは諦めてもらうほかないが。そうなると、いつトレス様に命を狙われるかわからない。あっちを立てれば、こっちが立たず。とはこのことである。
そういえば、魔銃なんてものがあったのか。前回は突然のことで鑑定できなかったが、次は忘れずに鑑定して、魔術回路をコピーしよう。
何か、毒物も使っていたから、それも鑑定しておかなければ。
兎に角、面倒なことになったものである。
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