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二年目、六歳
第90話 新しい火口を作るの。
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レイニィは、爆炎龍の背中に乗り火山の反対側を目指していた。
そこに新しく火口を作り、集落への被害を抑えるためだ。
「ところで、お前は神なのか?」
爆炎龍が目的地に向けて飛びながらレイニィに問いかけた。
「いえ。あたしは人間なの。何故、そんなことを聞くの?」
「もう一人の娘が、お前のことをそう呼んでいただろう」
「(お姉神様のことか……)そう呼ばれているだけなの。恥ずかしいからやめてもらいたいの」
「本当にそうなのか? 隠していてもわかるのだぞ」
「うーん。実は『希少世放神』なんて変な称号が付いていますが、人間であることは間違いないですよ」
「そうなのか?」
(『希少世放神』なんて聞いたことがないが、なんだかんだ言って、結局、神なんじゃねーか! 危ねえー。いきなり攻撃しなくて正解だったぜ。俺様、ナイス判断)
爆炎龍は、最初は安眠を妨害され怒って飛び出してきたが、レイニィの魔力が底知れないのを感じ、攻撃を躊躇った。
そのため、文句を言うに留めたものの、いきなり攻撃されるのではと、実は、内心冷や冷やだった。話のわかる相手で良かったと胸を撫で下ろしていた。
「そういえば、職(ジョブ)を得るために、龍と仲良くなる試練があるの。爆炎龍さん。友達になってほしいの」
「友達か? かまわんぞ」
「やったの。そうなの。自己紹介がまだだったの。私は、港町ライズの領主の娘でレイニィなの。よろしくお願いなの」
「レイニィだな。俺様は、爆炎龍。それが名前でもあるな」
「そうなの? なら、バクさんと呼ばせていただくの。その方が友達ぽいの」
「バクさん……」
「気に入りませんの?」
「そんなことはないぞ。バクさんだな。よし、わかった」
(相手は神だからな、下手に機嫌を損ねる真似はしない方がいいだろう)
爆炎龍はレイニィに逆らわないことにした。
「ところで、試練と言ったが、お前はどんな職に付きたいのだ?」
「お天気キャスターなの!」
「そうか――。まあ、頑張れよ」
(お天気キャスター? 聞いたことがないが、天気を運ぶ仕事か? つまり天気を操るのだな。流石、神はやることが違うな)
「頑張るの!」
話をしているうちに山の反対側に到着した。
「あの大岩を退けるか、破壊すれば新しく火口ができるはずだ。できそうか?」
「うーん。やってみないとなんとも言えないの」
「では、やってみてくれ」
「わかったの。あれだけの大岩を取り除くとなると……」
レイニィはどうしたらいいか考え出した。
爆炎龍は、しめしめと思っていた。
実は、今寝床に使っている横穴は、噴火の度に溶岩が流れ込み、寝心地が良くなかった。
そのため、新しく火口を作ろうとしたが、目の前の大岩をどうすることもできずに諦めていたのだった。
火砕流を押し戻せる者なら、どうにかできるだろうと、レイニィに話を上手く持って行ったのである。案外ちゃっかり者の爆炎龍であった。
爆炎龍が内心でほくそ笑んでいるころ、レイニィは必死に大岩の除去方法を考えていた。
(あれだけの大岩、ちょっとやそっとでは動きそうにありませんね。それに、地中に埋もれている部分がどこまであるかわからないし。下手をしたら隠れている部分の方が大きいかもしれません。となると、どうしたらいいだろう。
そうだ。バクさんは火山のエネルギーを糧にしていると言っていました。魔法で火山のエネルギーを集めることができれば、大岩を吹き飛ばすこともできるかもしれません)
「バクさん。試しにやってみるの」
「おう。考えがまとまったか。期待しているぞ。頑張ってくれ」
「それではいくの!」
レイニィは、魔法で火山のエネルギーは大岩の下に集めていく。
そう、噴火に必要なエネルギーのほとんどをその一点に集中させた。
それは、爆炎龍にもわかった様だ。
「おい! 何をしている? 尋常じゃないエネルギーが集まっているぞ」
「大岩の部分を噴火させるの」
「噴火って……。おい、待て――」
爆炎龍が止めたが、一息遅かった。
「破局噴火(ウルトラプリニー)!」
“ドーン!!”
一瞬で火山の四分の一が吹き飛んだ。
そこに新しく火口を作り、集落への被害を抑えるためだ。
「ところで、お前は神なのか?」
爆炎龍が目的地に向けて飛びながらレイニィに問いかけた。
「いえ。あたしは人間なの。何故、そんなことを聞くの?」
「もう一人の娘が、お前のことをそう呼んでいただろう」
「(お姉神様のことか……)そう呼ばれているだけなの。恥ずかしいからやめてもらいたいの」
「本当にそうなのか? 隠していてもわかるのだぞ」
「うーん。実は『希少世放神』なんて変な称号が付いていますが、人間であることは間違いないですよ」
「そうなのか?」
(『希少世放神』なんて聞いたことがないが、なんだかんだ言って、結局、神なんじゃねーか! 危ねえー。いきなり攻撃しなくて正解だったぜ。俺様、ナイス判断)
爆炎龍は、最初は安眠を妨害され怒って飛び出してきたが、レイニィの魔力が底知れないのを感じ、攻撃を躊躇った。
そのため、文句を言うに留めたものの、いきなり攻撃されるのではと、実は、内心冷や冷やだった。話のわかる相手で良かったと胸を撫で下ろしていた。
「そういえば、職(ジョブ)を得るために、龍と仲良くなる試練があるの。爆炎龍さん。友達になってほしいの」
「友達か? かまわんぞ」
「やったの。そうなの。自己紹介がまだだったの。私は、港町ライズの領主の娘でレイニィなの。よろしくお願いなの」
「レイニィだな。俺様は、爆炎龍。それが名前でもあるな」
「そうなの? なら、バクさんと呼ばせていただくの。その方が友達ぽいの」
「バクさん……」
「気に入りませんの?」
「そんなことはないぞ。バクさんだな。よし、わかった」
(相手は神だからな、下手に機嫌を損ねる真似はしない方がいいだろう)
爆炎龍はレイニィに逆らわないことにした。
「ところで、試練と言ったが、お前はどんな職に付きたいのだ?」
「お天気キャスターなの!」
「そうか――。まあ、頑張れよ」
(お天気キャスター? 聞いたことがないが、天気を運ぶ仕事か? つまり天気を操るのだな。流石、神はやることが違うな)
「頑張るの!」
話をしているうちに山の反対側に到着した。
「あの大岩を退けるか、破壊すれば新しく火口ができるはずだ。できそうか?」
「うーん。やってみないとなんとも言えないの」
「では、やってみてくれ」
「わかったの。あれだけの大岩を取り除くとなると……」
レイニィはどうしたらいいか考え出した。
爆炎龍は、しめしめと思っていた。
実は、今寝床に使っている横穴は、噴火の度に溶岩が流れ込み、寝心地が良くなかった。
そのため、新しく火口を作ろうとしたが、目の前の大岩をどうすることもできずに諦めていたのだった。
火砕流を押し戻せる者なら、どうにかできるだろうと、レイニィに話を上手く持って行ったのである。案外ちゃっかり者の爆炎龍であった。
爆炎龍が内心でほくそ笑んでいるころ、レイニィは必死に大岩の除去方法を考えていた。
(あれだけの大岩、ちょっとやそっとでは動きそうにありませんね。それに、地中に埋もれている部分がどこまであるかわからないし。下手をしたら隠れている部分の方が大きいかもしれません。となると、どうしたらいいだろう。
そうだ。バクさんは火山のエネルギーを糧にしていると言っていました。魔法で火山のエネルギーを集めることができれば、大岩を吹き飛ばすこともできるかもしれません)
「バクさん。試しにやってみるの」
「おう。考えがまとまったか。期待しているぞ。頑張ってくれ」
「それではいくの!」
レイニィは、魔法で火山のエネルギーは大岩の下に集めていく。
そう、噴火に必要なエネルギーのほとんどをその一点に集中させた。
それは、爆炎龍にもわかった様だ。
「おい! 何をしている? 尋常じゃないエネルギーが集まっているぞ」
「大岩の部分を噴火させるの」
「噴火って……。おい、待て――」
爆炎龍が止めたが、一息遅かった。
「破局噴火(ウルトラプリニー)!」
“ドーン!!”
一瞬で火山の四分の一が吹き飛んだ。
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