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一年目、五歳
第59話 元勇者と相談するの。
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レイニィは仕方なく元勇者に協力して技術革新を程々に進めることにした。
「それで、何か希望はあるの?」
「希望?」
「こんな技術を発展させたいとかいう希望よ」
「そうだな。陸蒸気なんかがいいんじゃないかな!」
「陸蒸気? なにそれ?」
「百年後には陸蒸気がなかったのか? こう、車輪があって、煙を上げながら、鉄の線路の上を走る……」
「蒸気機関車のことか。観光用に走ってるのは聞くけど、見たことないわ。みんな電車かディーゼル機関車に変わっちゃったから」
「まじで無いのか?! 時代の流れは早いな。そうなると、その電車かディーゼル機関車だけど、電車というのは名前からして電気で動くんだろ? そうなると、こちらで出来るのはディーゼル機関車になるのか?」
「うーん。ディーゼル機関車のエンジンを作るのは私には無理だわ――。でも、電車のモーターならどうにかなるかも」
「ちょっと待ってくれ、こっちの世界には電気がないんだよな?」
「無いわ。でも、電気の代わりに魔力で動くモーターが作れるかもしれないわ」
「電気の代わりに魔力を使うのか――。それでうまくいけばいいが……」
「やってみないと、なんとも言えないわね。明日から実験してみるから。一週間後に結果を聞きに来てちょうだい」
「一週間後だな! わかった」
「お嬢様。少しよろしいですか」
「なに。スノウィ」
「少々お耳を」
スノウィはレイニィに耳打ちする。
「うーん。まあ。それもそうね。えーと。坂下さん」
「おう。なんだ改まって」
「モーターの開発にあたり、研究開発費の負担をお願いします」
「金を出せということか。構わんが、どれくらいだ?」
「そうですね。多分、ミスリルと魔石が大量に必要になるはずです」
「ミスリルか――。現物の提供でも構わないか?」
「それは構いませんが、お持ちなのですか?」
「持ってるぞ。ここに出そうか?」
「ここに出すって、どこから?」
「これでも、元勇者だからな。女神様の加護でアイテムボックスが使えるんだ」
「チート野郎!」
「何か言ったかな?」
「いえ、素晴らしい加護をお持ちで、羨ましいですわ――」
「取り敢えず、一抱え出しておくよ」
元勇者はミスリルの延棒を一山、テーブルの上に出した。
ミッシ!
テーブルが軋む音がする。
「ありがたくいただいておきますわ。おほほほほ」
何故か悪役お嬢様口調で、レイニィはお礼を述べた。
一方、スノウィはどうやって運ぼうか、頭を悩ませるのであった。
「ところであんた、元の世界に戻ってどうするの。戻っても百年後の世界よ。知り合いも生きてはいないだろうし、生活様式も随分と変わっているわよ」
「それでも構わないんだ。向こうの世界に戻れれば、その時点で死んでしまっても。そうすれば、向こうの世界で転生出来る。輪廻の輪に入れれば、いつかどこかで約束を果たすことが出来るかもしれないんだ」
「随分と気の長い話なのね。その約束というのが気になるけど。いつ、どこで、誰と、どんな約束をしたの?」
「それは話せないな。相手のこともあるから――」
「相手はこの世界にいないんだから、いいじゃない」
「そうは、いかないよ」
「義理堅いのね――」
「そうだ。お姉さんには人違いをしてすまなかったと、謝っておいてくれ」
「わかったわ。それじゃあ一週間後に」
レイニィは、元勇者と別れ、レストランで限定スイーツを平らげてから、店に戻ったのだった。
ミスリルの延棒は、布で包み、レイニィの魔法で、浮かせて持って帰ることにした。
「それで、何か希望はあるの?」
「希望?」
「こんな技術を発展させたいとかいう希望よ」
「そうだな。陸蒸気なんかがいいんじゃないかな!」
「陸蒸気? なにそれ?」
「百年後には陸蒸気がなかったのか? こう、車輪があって、煙を上げながら、鉄の線路の上を走る……」
「蒸気機関車のことか。観光用に走ってるのは聞くけど、見たことないわ。みんな電車かディーゼル機関車に変わっちゃったから」
「まじで無いのか?! 時代の流れは早いな。そうなると、その電車かディーゼル機関車だけど、電車というのは名前からして電気で動くんだろ? そうなると、こちらで出来るのはディーゼル機関車になるのか?」
「うーん。ディーゼル機関車のエンジンを作るのは私には無理だわ――。でも、電車のモーターならどうにかなるかも」
「ちょっと待ってくれ、こっちの世界には電気がないんだよな?」
「無いわ。でも、電気の代わりに魔力で動くモーターが作れるかもしれないわ」
「電気の代わりに魔力を使うのか――。それでうまくいけばいいが……」
「やってみないと、なんとも言えないわね。明日から実験してみるから。一週間後に結果を聞きに来てちょうだい」
「一週間後だな! わかった」
「お嬢様。少しよろしいですか」
「なに。スノウィ」
「少々お耳を」
スノウィはレイニィに耳打ちする。
「うーん。まあ。それもそうね。えーと。坂下さん」
「おう。なんだ改まって」
「モーターの開発にあたり、研究開発費の負担をお願いします」
「金を出せということか。構わんが、どれくらいだ?」
「そうですね。多分、ミスリルと魔石が大量に必要になるはずです」
「ミスリルか――。現物の提供でも構わないか?」
「それは構いませんが、お持ちなのですか?」
「持ってるぞ。ここに出そうか?」
「ここに出すって、どこから?」
「これでも、元勇者だからな。女神様の加護でアイテムボックスが使えるんだ」
「チート野郎!」
「何か言ったかな?」
「いえ、素晴らしい加護をお持ちで、羨ましいですわ――」
「取り敢えず、一抱え出しておくよ」
元勇者はミスリルの延棒を一山、テーブルの上に出した。
ミッシ!
テーブルが軋む音がする。
「ありがたくいただいておきますわ。おほほほほ」
何故か悪役お嬢様口調で、レイニィはお礼を述べた。
一方、スノウィはどうやって運ぼうか、頭を悩ませるのであった。
「ところであんた、元の世界に戻ってどうするの。戻っても百年後の世界よ。知り合いも生きてはいないだろうし、生活様式も随分と変わっているわよ」
「それでも構わないんだ。向こうの世界に戻れれば、その時点で死んでしまっても。そうすれば、向こうの世界で転生出来る。輪廻の輪に入れれば、いつかどこかで約束を果たすことが出来るかもしれないんだ」
「随分と気の長い話なのね。その約束というのが気になるけど。いつ、どこで、誰と、どんな約束をしたの?」
「それは話せないな。相手のこともあるから――」
「相手はこの世界にいないんだから、いいじゃない」
「そうは、いかないよ」
「義理堅いのね――」
「そうだ。お姉さんには人違いをしてすまなかったと、謝っておいてくれ」
「わかったわ。それじゃあ一週間後に」
レイニィは、元勇者と別れ、レストランで限定スイーツを平らげてから、店に戻ったのだった。
ミスリルの延棒は、布で包み、レイニィの魔法で、浮かせて持って帰ることにした。
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