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一年目、五歳
第24話 試練についてなの。
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「何をしているんだ?」
レイニィの練習の様子を見に来たエルダは、様子を見守っていたスノウィに聞いた。
「エルダ様。最初、お嬢様は、玉を飛ばして遊んでいたのですが、的が欲しいと言って、あの木に玉をぶつけ始めました」
そこには幹が削り取られ、倒れた一抱えほどの木があった。
「その木が倒れる音を聞きつけて、ドライ様とアイスがやって来て、倒れた木と、お嬢様の飛ばしている玉を見て、良い訓練になると言って、玉で自分たちを攻撃する様におっしゃったのです」
「それで、こういう状況なのか――」
レイニィが複数の玉を操り、ドライとアイスを四方八方から攻撃している。二人は剣で玉を弾いているが、複数箇所からの同時攻撃に、全てを防ぎ切れていない。
レイニィがあの木を倒したのと同じ力で玉を操れば、二人は無傷ではいられないだろう。
「はーい。終了。もう終わりだ!」
「あ、先生なの」
「いやーまいった。これじゃあレイニィに敵わないぞ。兄としての面目が立たん」
「いい訓練になりましたね。なかなかこんな訓練できないですよ」
「まったく、何やってるんだか。レイニィは何でそうすぐに魔法を攻撃に使おうとするかな」
「でも先生、魔法で攻撃できないと試練が達成できないの」
「試練? そういえばレイニィの試練について未だ聞いてなかったな。
レイニィ。試練について教えてくれるか」
「それじゃあ、試練が書かれた紙、お部屋から取ってくるの」
「わざわざ取りに行かなくても、神様に願えば手元に来るだろ」
「え、そんなことできるの? やってみるの!」
レイニィは封筒が手元に来る様に神様に祈った。天から光が降り注ぎ、封筒が舞い降りた。
「本当なの。凄いの! 神父さんが失くしても戻って来るって言ってたけど、このことだったの!」
レイニィは手にした封筒から試練が書かれた紙の束を取り出し、エルダに渡した。
「はい、これなの」
「何でこんな紙の束が、その封筒に入っている?」
「そう言われてもわからないの。神の封筒だからなの?」
エルダがビックリしているところを見ると、アイテムボックスの様に亜空間に荷物を収納する魔法はないのだろうか? とレイニィは考えていた。
「うん。まあ、そうか――。それにしても、この量は……。流石に上級職だな」
エルダは封筒のことは深く追求せず、紙の束を捲って内容を確かめる。
「何々。魔力を感知する、評価C。魔力の操作を覚える、評価B+。土魔法を使う、評価C。既に達成しているものもあるな。
火魔法、水魔法、風魔法、光魔法、……。空間魔法に古代魔法の復活、新魔法の創造まであるのか__。こりゃ大変だ」
既に達成しているものも、極めれば、これから評価が上がる。
エルダはなおも紙の束を捲る。
「ああ、討伐系の試練もあるのか。大蟻(ジャイアントアント)の討伐、評価S。
評価Sじゃないか! 凄いな。まあ、あれだけのクィーンアントなら当然か。
討伐系の試練があるんじゃ、攻撃魔法は必須か……。
他には何があるんだ。
世界樹の枝で杖を作る。
龍と仲良くなる。
神の域に達する。
……。
これ、達成出来るのか?」
「でも、頑張るしかないの」
「そうだな。私も出来るだけの事は協力するよ」
「ありがとうなの」
「差し当たって、土魔法の次は風魔法かな――」
昼食の後、午後から風魔法に取り組むことになった。
レイニィの練習の様子を見に来たエルダは、様子を見守っていたスノウィに聞いた。
「エルダ様。最初、お嬢様は、玉を飛ばして遊んでいたのですが、的が欲しいと言って、あの木に玉をぶつけ始めました」
そこには幹が削り取られ、倒れた一抱えほどの木があった。
「その木が倒れる音を聞きつけて、ドライ様とアイスがやって来て、倒れた木と、お嬢様の飛ばしている玉を見て、良い訓練になると言って、玉で自分たちを攻撃する様におっしゃったのです」
「それで、こういう状況なのか――」
レイニィが複数の玉を操り、ドライとアイスを四方八方から攻撃している。二人は剣で玉を弾いているが、複数箇所からの同時攻撃に、全てを防ぎ切れていない。
レイニィがあの木を倒したのと同じ力で玉を操れば、二人は無傷ではいられないだろう。
「はーい。終了。もう終わりだ!」
「あ、先生なの」
「いやーまいった。これじゃあレイニィに敵わないぞ。兄としての面目が立たん」
「いい訓練になりましたね。なかなかこんな訓練できないですよ」
「まったく、何やってるんだか。レイニィは何でそうすぐに魔法を攻撃に使おうとするかな」
「でも先生、魔法で攻撃できないと試練が達成できないの」
「試練? そういえばレイニィの試練について未だ聞いてなかったな。
レイニィ。試練について教えてくれるか」
「それじゃあ、試練が書かれた紙、お部屋から取ってくるの」
「わざわざ取りに行かなくても、神様に願えば手元に来るだろ」
「え、そんなことできるの? やってみるの!」
レイニィは封筒が手元に来る様に神様に祈った。天から光が降り注ぎ、封筒が舞い降りた。
「本当なの。凄いの! 神父さんが失くしても戻って来るって言ってたけど、このことだったの!」
レイニィは手にした封筒から試練が書かれた紙の束を取り出し、エルダに渡した。
「はい、これなの」
「何でこんな紙の束が、その封筒に入っている?」
「そう言われてもわからないの。神の封筒だからなの?」
エルダがビックリしているところを見ると、アイテムボックスの様に亜空間に荷物を収納する魔法はないのだろうか? とレイニィは考えていた。
「うん。まあ、そうか――。それにしても、この量は……。流石に上級職だな」
エルダは封筒のことは深く追求せず、紙の束を捲って内容を確かめる。
「何々。魔力を感知する、評価C。魔力の操作を覚える、評価B+。土魔法を使う、評価C。既に達成しているものもあるな。
火魔法、水魔法、風魔法、光魔法、……。空間魔法に古代魔法の復活、新魔法の創造まであるのか__。こりゃ大変だ」
既に達成しているものも、極めれば、これから評価が上がる。
エルダはなおも紙の束を捲る。
「ああ、討伐系の試練もあるのか。大蟻(ジャイアントアント)の討伐、評価S。
評価Sじゃないか! 凄いな。まあ、あれだけのクィーンアントなら当然か。
討伐系の試練があるんじゃ、攻撃魔法は必須か……。
他には何があるんだ。
世界樹の枝で杖を作る。
龍と仲良くなる。
神の域に達する。
……。
これ、達成出来るのか?」
「でも、頑張るしかないの」
「そうだな。私も出来るだけの事は協力するよ」
「ありがとうなの」
「差し当たって、土魔法の次は風魔法かな――」
昼食の後、午後から風魔法に取り組むことになった。
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