10 / 104
一年目、五歳
第10話 風向風速計を作るの。
しおりを挟む
『お天気キャスター』を目指すレイニィは、天気予報をするために、気象観測をしようと思ったが、この世界には温度計などの観測機器がなかった。
本人の感覚だけで記録することも無意味であるわけでは無いが、客観的な数値化されたデータが欲しい。
レイニィは観測機器の作成から始めることにした。
これを広めれば、広範囲からのデータを得られることになるし、女神様との約束である、異世界の技術を広めることにもなる。一石二鳥だ。
先ずは温度計を作ろうと思ったが、材料集めの段階で早速頓挫した。
ガラスがなかった。いや、ガラスはあったのだが透明でなかった。
透明なガラスを作るか、何か他の素材を見つけなければならない。
すぐには見つけられないだろうと踏んだレイニィは、ガラスを使わない温度計以外の観測機器から作ることにした。
「風向風速計ならガラスを使わなくてもできるだろうから、それから作ってみましょう」
「風向風速計ですか? どんなものでしょう?」
「風の向きと強さを測る器具よ」
「これでは駄目なのですか?」
スノウィは右手の人差し指を少し舐めて天に掲げた。
「それでも大体はわかるけれど、人によって捉え方が違ってきてしまうでしょう。誰でも、いつでも、同じ条件のデータが記録できる様にしたいのよ。そうでないと、比較したときに意味が無くなってしまうから」
「なるほど。それで、材料は何が必要ですか?」
「板と棒かな。加工できれば木材でも金属でもいいけれど――」
「それならミスティ様の所に行ってみましょうか!」
「お姉ちゃんのところ?」
「錬金術師ですから、色々な材料が揃ってますよ。適当なものがなかったとしても、どこに行けば手に入るか紹介してくれるかもしれません」
「お姉ちゃんの部屋に入れてもらったことがないんだけど、入れてもらえるかしら?」
「ちゃんと説明すれば大丈夫ですよ。さあ、行ってみましょう」
レイニィとスノウィは姉のミスティの部屋を訪れる。
「ミスティお姉ちゃんいる。レイニィなの」
ドアが開いてミスティが顔を出す。
「あらレイニィ、どうかしたの?」
「お姉ちゃんにお願いがあるの」
「何かしら?」
「風向風速計を作りたいから、その材料が欲しいの」
「風向風速計? どんなものかしら?」
「風の吹く向きと強さを調べる道具なんだけど、棒とか板が必要なの」
「棒とか板ねえ。どんものができるか絵に描ける?」
「描けると思うの」
「じゃあ入って絵を描いて」
ミスティはレイニィ達を部屋に招き入れた。
「うわー。何かいっぱいなの」
「そういえばレイニィは私の部屋に入るのは初めてだったかしらね」
「そうなの。初めてなの。色々あるの」
「勝手に触っては駄目よ」
「わかったの!」
レイニィは、家族にまだ前世の記憶の事を言い出せずにいた、そのため、ミスティの前では子供言葉だ。
スノウィも、それに気付いたが、何も言うことはなかった。
「じゃあ、ここに座って、この紙に描いてみて」
「はい。
先ずは、縦にモップの柄の様な棒があるの。
次に、弓矢の羽が大きくなった物を横向きに、風が吹いたらその方向に向きが変えられる様に縦棒の先端に付けるの。
縦棒の途中に、方角がわかる様に目印の細い棒を付けるの。
これで風向計の部分は完成なの。
次に、風力計の部分なんだけど。
矢の棒の部分に、直交になる様に細い棒を横向きに付けるの。
その横棒に、手のひらサイズの板を吊り下げるの。
その板には、縦に指の太さくらいの切れ目を、中央に、上から八分目位まで入れておくの。
風が吹くと、この板がこう傾くから、傾き加減が判る様に、矢の後ろ部分に薄い円盤を四分の一にしたものを、下向きに板の切れ目に入る様に付けて、傾き加減の目印を付けるの。
あとは、矢のバランスをとって、先端にお守りを付ければ、完成なの!」
「成る程、これで風の方向と強さを測るのね。よく考えられているわ。これはレイニィが考えたの?」
「ん、まあそんな感じなの」
「凄いわ! レイニィ。あなた天才よ。これぐらいの材料なら探せば出てくると思うから少し待っていて」
「はい!」
レイニィは、本当は自分で考えた物でなく、前世の記憶にあった物なので、ミスティに褒められても申し訳ない気持ちになっていた。
スノウィは、普通の五歳児が、こんな物を考え付くはずがないのに、天才で済ませてしまうミスティを微笑ましく見ていた。
本人の感覚だけで記録することも無意味であるわけでは無いが、客観的な数値化されたデータが欲しい。
レイニィは観測機器の作成から始めることにした。
これを広めれば、広範囲からのデータを得られることになるし、女神様との約束である、異世界の技術を広めることにもなる。一石二鳥だ。
先ずは温度計を作ろうと思ったが、材料集めの段階で早速頓挫した。
ガラスがなかった。いや、ガラスはあったのだが透明でなかった。
透明なガラスを作るか、何か他の素材を見つけなければならない。
すぐには見つけられないだろうと踏んだレイニィは、ガラスを使わない温度計以外の観測機器から作ることにした。
「風向風速計ならガラスを使わなくてもできるだろうから、それから作ってみましょう」
「風向風速計ですか? どんなものでしょう?」
「風の向きと強さを測る器具よ」
「これでは駄目なのですか?」
スノウィは右手の人差し指を少し舐めて天に掲げた。
「それでも大体はわかるけれど、人によって捉え方が違ってきてしまうでしょう。誰でも、いつでも、同じ条件のデータが記録できる様にしたいのよ。そうでないと、比較したときに意味が無くなってしまうから」
「なるほど。それで、材料は何が必要ですか?」
「板と棒かな。加工できれば木材でも金属でもいいけれど――」
「それならミスティ様の所に行ってみましょうか!」
「お姉ちゃんのところ?」
「錬金術師ですから、色々な材料が揃ってますよ。適当なものがなかったとしても、どこに行けば手に入るか紹介してくれるかもしれません」
「お姉ちゃんの部屋に入れてもらったことがないんだけど、入れてもらえるかしら?」
「ちゃんと説明すれば大丈夫ですよ。さあ、行ってみましょう」
レイニィとスノウィは姉のミスティの部屋を訪れる。
「ミスティお姉ちゃんいる。レイニィなの」
ドアが開いてミスティが顔を出す。
「あらレイニィ、どうかしたの?」
「お姉ちゃんにお願いがあるの」
「何かしら?」
「風向風速計を作りたいから、その材料が欲しいの」
「風向風速計? どんなものかしら?」
「風の吹く向きと強さを調べる道具なんだけど、棒とか板が必要なの」
「棒とか板ねえ。どんものができるか絵に描ける?」
「描けると思うの」
「じゃあ入って絵を描いて」
ミスティはレイニィ達を部屋に招き入れた。
「うわー。何かいっぱいなの」
「そういえばレイニィは私の部屋に入るのは初めてだったかしらね」
「そうなの。初めてなの。色々あるの」
「勝手に触っては駄目よ」
「わかったの!」
レイニィは、家族にまだ前世の記憶の事を言い出せずにいた、そのため、ミスティの前では子供言葉だ。
スノウィも、それに気付いたが、何も言うことはなかった。
「じゃあ、ここに座って、この紙に描いてみて」
「はい。
先ずは、縦にモップの柄の様な棒があるの。
次に、弓矢の羽が大きくなった物を横向きに、風が吹いたらその方向に向きが変えられる様に縦棒の先端に付けるの。
縦棒の途中に、方角がわかる様に目印の細い棒を付けるの。
これで風向計の部分は完成なの。
次に、風力計の部分なんだけど。
矢の棒の部分に、直交になる様に細い棒を横向きに付けるの。
その横棒に、手のひらサイズの板を吊り下げるの。
その板には、縦に指の太さくらいの切れ目を、中央に、上から八分目位まで入れておくの。
風が吹くと、この板がこう傾くから、傾き加減が判る様に、矢の後ろ部分に薄い円盤を四分の一にしたものを、下向きに板の切れ目に入る様に付けて、傾き加減の目印を付けるの。
あとは、矢のバランスをとって、先端にお守りを付ければ、完成なの!」
「成る程、これで風の方向と強さを測るのね。よく考えられているわ。これはレイニィが考えたの?」
「ん、まあそんな感じなの」
「凄いわ! レイニィ。あなた天才よ。これぐらいの材料なら探せば出てくると思うから少し待っていて」
「はい!」
レイニィは、本当は自分で考えた物でなく、前世の記憶にあった物なので、ミスティに褒められても申し訳ない気持ちになっていた。
スノウィは、普通の五歳児が、こんな物を考え付くはずがないのに、天才で済ませてしまうミスティを微笑ましく見ていた。
1
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説
内政チートをやってみよう!……まあぼっちですが。
カナデ
ファンタジー
誰も立ち入らない深い森の中の小さな集落。住人はリザティア以外は全てが老人だったが、とうとうたった一人になってしまった。
これからどうしよう? ここから、森から出て外の世界へ行く?
……いいえ。この集落で一人で暮らします! ぼっちだけど、内政チートで! 相棒のシルバー(狼)と精霊たちとともに!
これは前世の記憶を持った少女が、でも自分が何故異世界転生だか転移したか何も分からないので、異世界へ飛び込まずに、森の中でのんびりと自由に暮らすことを目標にして生活していくお話です。
いつしか集落にも住人が増え、内政チートの本領発揮、となるか?(そんな感じです)
完結まで連載予定ですので、どうぞよろしくお願いします<(_ _)>
**この話は、他サイトさんで連載していた同タイトルの話(未完)の大幅改稿版となっています**
第2章から、書き直し、書き下しの部分が改稿部分より増え、話も追加で新たに入れます。
大分改稿前とは変わると思いますが、ご了承ください。
3/1 HOT32位 3/2HOT 22位 3/5HOT16位 3/7HOT14位 ありがとうございます!
3/7 お気に入り 1000 ありがとうございます!
最恐魔女の姉に溺愛されている追放令嬢はどん底から成り上がる
盛平
ファンタジー
幼い頃に、貴族である両親から、魔力が少ないとう理由で捨てられたプリシラ。召喚士養成学校を卒業し、霊獣と契約して晴れて召喚士になった。学業を終えたプリシラにはやらなければいけない事があった。それはひとり立ちだ。自分の手で仕事をし、働かなければいけない。さもないと、プリシラの事を溺愛してやまない姉のエスメラルダが現れてしまうからだ。エスメラルダは優秀な魔女だが、重度のシスコンで、プリシラの周りの人々に多大なる迷惑をかけてしまうのだ。姉のエスメラルダは美しい笑顔でプリシラに言うのだ。「プリシラ、誰かにいじめられたら、お姉ちゃんに言いなさい?そいつを攻撃魔法でギッタギッタにしてあげるから」プリシラは冷や汗をかきながら、決して危険な目にあってはいけないと心に誓うのだ。だがなぜかプリシラの行く先々で厄介ごとがふりかかる。プリシラは平穏な生活を送るため、唯一使える風魔法を駆使して、就職活動に奮闘する。ざまぁもあります。
貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
神々の仲間入りしました。
ラキレスト
ファンタジー
日本の一般家庭に生まれ平凡に暮らしていた神田えいみ。これからも普通に平凡に暮らしていくと思っていたが、突然巻き込まれたトラブルによって世界は一変する。そこから始まる物語。
「私の娘として生まれ変わりませんか?」
「………、はいぃ!?」
女神の娘になり、兄弟姉妹達、周りの神達に溺愛されながら一人前の神になるべく学び、成長していく。
(ご都合主義展開が多々あります……それでも良ければ読んで下さい)
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しています。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる