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一年目、五歳
第4話 教会に行こう。
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部屋の扉が開け放され、一人の男が部屋の中に向けて声を掛ける。
「レイニィお嬢様、準備はできたか? そろそろ出発しないと時間に遅れるぞー」
「アイス! いつも言っているでしょ。扉を開ける前に、ノックして、ちゃんと許可を取るようにと」
アイスと呼ばれた男に対して、部屋の中にいた女性が、目の前に座っている女の子の髪を整えながら注意をする。
「スノウィは、いちいち細かいんだよ」
アイスはスノウィに文句を言う。アイスは、座って髪の毛を整えられている女の子、レイニィの護衛である。
「そんなことだから、いつまで経っても彼女の一人もできないのよ!
はい、お嬢様、できましたよ。いつもに増して可愛らしいですよ」
スノウィは女の子の背後から両脇に手を添えて立たせてあげる。
スノウィはレイニィの侍女だ。
そして、この女の子レイニィが、元少女の転生者だ。
既にレイニィは五歳になっていて、今日は、これから教会に仮職(プレジョブ)を受けに行くところである。
「そんなこと、スノウィには関係ないだろ」
アイスは、ぶつくさ文句を言うが、そこにレイニィが歩み寄る。
「どぉう、アイス。かあいい?」
「レイニィお嬢様、可愛いですよー」
レイニィの問いかけに、アイスが相好を崩す。
「ロリコン!」
スノウィがボソリと呟く。
「ああ? 今なんか言ったか!」
アイスがスノウィに突っかかろうとするが、それをレイニィの一言が遮る。
「じかん、ないんでしょ。もういこうー」
「そうですねー。遅れないように行きましょうねー」
スノウィはレイニィを連れて部屋を出ていく。
「おい、俺を置いて行くなよ!」
アイスも部屋の扉を閉め、その後を追った。
レイニィがスノウィに連れられて玄関ホール着くと、そこにはレイニィの兄弟が待っていた。
「レイニィ可愛くなったわね。そのドレスもよく似合っているわ!」
「ありがとー、おねぇーしゃん」
始めに声を掛けたのは、この家の長女である姉のミスティだった。
「レイニィ可愛いよ」
「お姫様みたいだな」
「そうかなー? えへへ」
続けて、二人の兄、長男のクールと次男のドライが声を掛ける。
みんなに褒められてレイニィはニコニコだ。
そこにレイニィの両親が現れた。父親のゲイルと母親のウインディだ。
ゲイルは、この地方、港町ライズの領主をしていた。
つまり、レイニィは領主の娘であった。
「レイニィ。支度はできたか? うん。可愛いくできたな。では行くとするか」
「レイニィ。可愛いわよ。手を繋いで行きましょう。ミスティ達はお留守番よろしくね」
「私も一緒に行って、レイニィの晴れ姿を見たかったわ!」
レイニィ大好きミスティが、とても残念そうに嘆いた。
「そんなに大勢で押し掛けたら教会に迷惑でしょ。それでなくてもうちは領主ということで護衛が付いて大所帯なのだから。それに晴れ着姿なら今見ているじゃない」
「違うわよ、お母様。晴れ着姿ではなくて、晴れ姿よ。レイニィならきっと神の祝福を受けるはずよ。こんなに可愛らしいんですもの!」
「本当、ミスティは親バカならぬ姉バカね。神に祝福を受ける人なんて数年に一度もいないのよ」
「レイニィの可愛さは数十年に一度のレベルだわ。いや、数百年に一度かも!」
ミスティは、レイニィの可愛さに酔いしれていた。
「はぁー。ミスティは放っておいて行きましょう、レイニィ」
「あい、おかぁしゃま。みんにゃ、いってきましゅ」
レイニィは繋いでいない方の手を振って玄関を出て行った。
教会への移動は馬車で二十分程だ。
大人なら歩いても行けない距離ではないが、子供のレイニィにはきついだろう。
馬車の中はレイニィと両親、それと侍女のスノウィの四人だ。
護衛のアイスが御者と並んで御者席に座り、他に二名が馬に騎乗し馬車の前後を護衛している。
「レイニィ、教会で何をするかわかっているかな?」
「あい! おとぅしゃま。神しゃまにお祈りちて、ジョブをもりゃう」
「そうだな。よくわかっているな。偉いぞ」
「どんなジョブがもらえるかしら。楽しみね」
「あい、たのちみ」
「どんなジョブだとしても、その後の努力次第だからな。そのことを忘れてはいけないよ」
「あい!がんばりゅ!」
「おおー。良い返事だ。レイニィはお利口さんだな。これはミスティではないが、神の祝福を受けても不思議ではないな」
「まあ、あなたったら。余りレイニィにプレッシャーを掛けないでください。レイニィ。ミスティやお父さんの言ったことは気にしないで気楽にしていいのよ」
「レイニィにプレッシャーを与える気はないのだがな。緊張しなくても大丈夫だぞ、レイニィ」
「あい、おとぅしゃま。おかぁしゃま」
馬車の中では、ほのぼの家族の会話が続いていた。
同乗していたスノウィは微笑みながら、それを見守っていた。
「レイニィお嬢様、準備はできたか? そろそろ出発しないと時間に遅れるぞー」
「アイス! いつも言っているでしょ。扉を開ける前に、ノックして、ちゃんと許可を取るようにと」
アイスと呼ばれた男に対して、部屋の中にいた女性が、目の前に座っている女の子の髪を整えながら注意をする。
「スノウィは、いちいち細かいんだよ」
アイスはスノウィに文句を言う。アイスは、座って髪の毛を整えられている女の子、レイニィの護衛である。
「そんなことだから、いつまで経っても彼女の一人もできないのよ!
はい、お嬢様、できましたよ。いつもに増して可愛らしいですよ」
スノウィは女の子の背後から両脇に手を添えて立たせてあげる。
スノウィはレイニィの侍女だ。
そして、この女の子レイニィが、元少女の転生者だ。
既にレイニィは五歳になっていて、今日は、これから教会に仮職(プレジョブ)を受けに行くところである。
「そんなこと、スノウィには関係ないだろ」
アイスは、ぶつくさ文句を言うが、そこにレイニィが歩み寄る。
「どぉう、アイス。かあいい?」
「レイニィお嬢様、可愛いですよー」
レイニィの問いかけに、アイスが相好を崩す。
「ロリコン!」
スノウィがボソリと呟く。
「ああ? 今なんか言ったか!」
アイスがスノウィに突っかかろうとするが、それをレイニィの一言が遮る。
「じかん、ないんでしょ。もういこうー」
「そうですねー。遅れないように行きましょうねー」
スノウィはレイニィを連れて部屋を出ていく。
「おい、俺を置いて行くなよ!」
アイスも部屋の扉を閉め、その後を追った。
レイニィがスノウィに連れられて玄関ホール着くと、そこにはレイニィの兄弟が待っていた。
「レイニィ可愛くなったわね。そのドレスもよく似合っているわ!」
「ありがとー、おねぇーしゃん」
始めに声を掛けたのは、この家の長女である姉のミスティだった。
「レイニィ可愛いよ」
「お姫様みたいだな」
「そうかなー? えへへ」
続けて、二人の兄、長男のクールと次男のドライが声を掛ける。
みんなに褒められてレイニィはニコニコだ。
そこにレイニィの両親が現れた。父親のゲイルと母親のウインディだ。
ゲイルは、この地方、港町ライズの領主をしていた。
つまり、レイニィは領主の娘であった。
「レイニィ。支度はできたか? うん。可愛いくできたな。では行くとするか」
「レイニィ。可愛いわよ。手を繋いで行きましょう。ミスティ達はお留守番よろしくね」
「私も一緒に行って、レイニィの晴れ姿を見たかったわ!」
レイニィ大好きミスティが、とても残念そうに嘆いた。
「そんなに大勢で押し掛けたら教会に迷惑でしょ。それでなくてもうちは領主ということで護衛が付いて大所帯なのだから。それに晴れ着姿なら今見ているじゃない」
「違うわよ、お母様。晴れ着姿ではなくて、晴れ姿よ。レイニィならきっと神の祝福を受けるはずよ。こんなに可愛らしいんですもの!」
「本当、ミスティは親バカならぬ姉バカね。神に祝福を受ける人なんて数年に一度もいないのよ」
「レイニィの可愛さは数十年に一度のレベルだわ。いや、数百年に一度かも!」
ミスティは、レイニィの可愛さに酔いしれていた。
「はぁー。ミスティは放っておいて行きましょう、レイニィ」
「あい、おかぁしゃま。みんにゃ、いってきましゅ」
レイニィは繋いでいない方の手を振って玄関を出て行った。
教会への移動は馬車で二十分程だ。
大人なら歩いても行けない距離ではないが、子供のレイニィにはきついだろう。
馬車の中はレイニィと両親、それと侍女のスノウィの四人だ。
護衛のアイスが御者と並んで御者席に座り、他に二名が馬に騎乗し馬車の前後を護衛している。
「レイニィ、教会で何をするかわかっているかな?」
「あい! おとぅしゃま。神しゃまにお祈りちて、ジョブをもりゃう」
「そうだな。よくわかっているな。偉いぞ」
「どんなジョブがもらえるかしら。楽しみね」
「あい、たのちみ」
「どんなジョブだとしても、その後の努力次第だからな。そのことを忘れてはいけないよ」
「あい!がんばりゅ!」
「おおー。良い返事だ。レイニィはお利口さんだな。これはミスティではないが、神の祝福を受けても不思議ではないな」
「まあ、あなたったら。余りレイニィにプレッシャーを掛けないでください。レイニィ。ミスティやお父さんの言ったことは気にしないで気楽にしていいのよ」
「レイニィにプレッシャーを与える気はないのだがな。緊張しなくても大丈夫だぞ、レイニィ」
「あい、おとぅしゃま。おかぁしゃま」
馬車の中では、ほのぼの家族の会話が続いていた。
同乗していたスノウィは微笑みながら、それを見守っていた。
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