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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
116. 天使
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サラを召喚することにより、ジャックキラーであるモリス刑事を追い払うことに成功した。
これで、ヒロインの治療に集中できる。……と思ったのだが。
「お嬢様、これは一体? ここはどこなのですか? それに、ララエル様の体が透けてますよ!」
まあ、そうね。サラとしては、気がついたら突然違う場所だったのだから、疑問に思うのももっともだ。
だけど、今はそれに一つ一つ答えてはいられない。
「サラ、臭い! 少し離れていて」
「えっ、クンクン。すみませんでした」
サラは服の臭いを嗅ぐと、自分でもドブ臭いのがわかったのだろう、慌てて私から距離を取った。
さて、これで本当にヒロインに集中できる。
どんどんと闇の魔力を送り込み、ついには光の魔力を余すことなく闇の魔力で染め上げた。
ふー。ヨミの眠りは上手くいった。これでヒロインは大丈夫だろう。次はララエルだ。
「ララエル、お待たせ、あなたも治療するわ」
「マリー様、残念ながら、私に人の魔法は効きません」
「そんな! それじゃあどうするの?」
「大丈夫です。私は天使ですからこんなことで死ぬことはありません」
あ、ララエルは天使だったのか。
このタイミングで正体を明かされると思っていなかったが、神の使いの天使だったのね。
なら、やっぱりプロデューサーは神様だろうか?
「でも、このままじゃ体が消えちゃいそうよ」
「心配しないでください。天使はこの体が消えても天界に帰るだけですから」
「馬鹿ね! それを人は死ぬって言うんじゃない」
「ははは、もう、この体は持たないようです。天界に戻ったらプロデューサーに怒られちゃいますね」
「ララエル!!」
ララエルは光の粒になって空に登っていった。
「お嬢様、ララエル様はどうなったのです?!」
「ララエルは天界に帰ったわ」
「それって……」
サラは困惑した表情をしていたが、それ以上聞いてくることはなかった。
「サラ、警察を……、やっぱり騎士団を呼んできて」
「騎士団ですね。わかりました」
ジャンクキラーのこともあるので、警察を無条件で信用することはできない。それに元近衛隊長のこともある。
それなら、王宮がコントロールしやすい騎士団に後のことは任せてしまった方がいいだろう。
サラが出ていき、一人現場に残された私の周りに僕《しもべ》たちが寄ってくる。
「みんなもよく頑張ったわね。ありがとう」
「ニャァー」
「カァー」
「ヒヒーン、ペロぺロ」
だからノアール、私を舐めるんじゃない!
これで、ヒロインの治療に集中できる。……と思ったのだが。
「お嬢様、これは一体? ここはどこなのですか? それに、ララエル様の体が透けてますよ!」
まあ、そうね。サラとしては、気がついたら突然違う場所だったのだから、疑問に思うのももっともだ。
だけど、今はそれに一つ一つ答えてはいられない。
「サラ、臭い! 少し離れていて」
「えっ、クンクン。すみませんでした」
サラは服の臭いを嗅ぐと、自分でもドブ臭いのがわかったのだろう、慌てて私から距離を取った。
さて、これで本当にヒロインに集中できる。
どんどんと闇の魔力を送り込み、ついには光の魔力を余すことなく闇の魔力で染め上げた。
ふー。ヨミの眠りは上手くいった。これでヒロインは大丈夫だろう。次はララエルだ。
「ララエル、お待たせ、あなたも治療するわ」
「マリー様、残念ながら、私に人の魔法は効きません」
「そんな! それじゃあどうするの?」
「大丈夫です。私は天使ですからこんなことで死ぬことはありません」
あ、ララエルは天使だったのか。
このタイミングで正体を明かされると思っていなかったが、神の使いの天使だったのね。
なら、やっぱりプロデューサーは神様だろうか?
「でも、このままじゃ体が消えちゃいそうよ」
「心配しないでください。天使はこの体が消えても天界に帰るだけですから」
「馬鹿ね! それを人は死ぬって言うんじゃない」
「ははは、もう、この体は持たないようです。天界に戻ったらプロデューサーに怒られちゃいますね」
「ララエル!!」
ララエルは光の粒になって空に登っていった。
「お嬢様、ララエル様はどうなったのです?!」
「ララエルは天界に帰ったわ」
「それって……」
サラは困惑した表情をしていたが、それ以上聞いてくることはなかった。
「サラ、警察を……、やっぱり騎士団を呼んできて」
「騎士団ですね。わかりました」
ジャンクキラーのこともあるので、警察を無条件で信用することはできない。それに元近衛隊長のこともある。
それなら、王宮がコントロールしやすい騎士団に後のことは任せてしまった方がいいだろう。
サラが出ていき、一人現場に残された私の周りに僕《しもべ》たちが寄ってくる。
「みんなもよく頑張ったわね。ありがとう」
「ニャァー」
「カァー」
「ヒヒーン、ペロぺロ」
だからノアール、私を舐めるんじゃない!
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