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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
76. 目覚めたそこは……
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目を覚ますと、真っ暗だった。
死んでしまったのだろうか。
真っ暗だが、体は動く。呼吸もしている。
生きてる!
なら、ここはどこだろう?
真っ暗のなかに寝かされている。周りには壁があるようだ。
ゴツン!
「あいたたた!」
起き上がろうとして、額を天井にぶつけた。
天井がこんなに低いのか?
いや、この感じ、天井というより天板? 箱の中?
あー。棺の中かー!
『ヨミの眠り』で仮死状態の私は、死んだものとして棺に入れられているのだろう。
まさか、既に埋葬されている?!
そうなれば、外に出ることができない。
やがて、棺の中の酸素がなくなって、窒息死することになる。
「誰か! 誰かいないの! 私は生きているわ! ここから出して!」
大声を上げ、棺の天板を叩く。
音の響きから、埋められてはいないようだ。
ならばと、足も使って天板を蹴り上げる。
ドン、ドン。ドン、ドン。
何度かやっているうちに、天板がずれ、隙間ができてきた。
明かりも差し込んでくる。
「誰かいないの?! ここから出して!」
再び、大声で叫ぶ。
「棺から声が!」
「キャー」
外が騒がしくなってきた。
「マリー、生きているのか?」
しばらくすると、外からお父様の声がした。
「お父様! 私は生きていますわ。ここから出してください」
「おお、マリー! 本当に生き返ったのか! おい、バールを持ってこい」
すぐに、バールのようなもので、棺の天板はこじ開けられて、私は外に出ることができた。
「マリー!」
「お父様!」
私はお父様に抱きしめられる。
「髪の毛は白くなったが、温かい。呼吸もしているし、心臓の鼓動も聞こえる。本当に生き返ったのだな」
「髪の毛? 本当だ。白くなってる……」
魔法の影響だろうか?
幽霊やゾンビじゃなく、ちゃんと生き返っているよね? ね?
「だが、胸を刺されていたのに、どうやって生き返ったのだ」
「それは、闇魔法を使いましたわ」
「闇魔法? マリーは死者蘇生魔法が使えたのか!」
「そうではありません。怪我を治すために仮死状態にする魔法です」
「そんな魔法が有ったのか」
「王宮の書庫に有った、闇の魔導書に載っていましたわ。それより、ハインリッヒ王子はどうされました。ここは王都の屋敷ですよね?」
「王子にも魔法をかけたのか?」
「はい、私より傷は深かったでしょうが、それほど変わらず回復して仮死状態が解けると思うのですが」
「そりゃまずい! 王子は既に埋葬されている」
「早く掘り起こさないと、仮死状態が解けてそのままにすれば、今度は窒息死してしまいますわ」
私たちは馬車に乗り王族が埋葬されている霊廟まで急ぐことになった。
死んでしまったのだろうか。
真っ暗だが、体は動く。呼吸もしている。
生きてる!
なら、ここはどこだろう?
真っ暗のなかに寝かされている。周りには壁があるようだ。
ゴツン!
「あいたたた!」
起き上がろうとして、額を天井にぶつけた。
天井がこんなに低いのか?
いや、この感じ、天井というより天板? 箱の中?
あー。棺の中かー!
『ヨミの眠り』で仮死状態の私は、死んだものとして棺に入れられているのだろう。
まさか、既に埋葬されている?!
そうなれば、外に出ることができない。
やがて、棺の中の酸素がなくなって、窒息死することになる。
「誰か! 誰かいないの! 私は生きているわ! ここから出して!」
大声を上げ、棺の天板を叩く。
音の響きから、埋められてはいないようだ。
ならばと、足も使って天板を蹴り上げる。
ドン、ドン。ドン、ドン。
何度かやっているうちに、天板がずれ、隙間ができてきた。
明かりも差し込んでくる。
「誰かいないの?! ここから出して!」
再び、大声で叫ぶ。
「棺から声が!」
「キャー」
外が騒がしくなってきた。
「マリー、生きているのか?」
しばらくすると、外からお父様の声がした。
「お父様! 私は生きていますわ。ここから出してください」
「おお、マリー! 本当に生き返ったのか! おい、バールを持ってこい」
すぐに、バールのようなもので、棺の天板はこじ開けられて、私は外に出ることができた。
「マリー!」
「お父様!」
私はお父様に抱きしめられる。
「髪の毛は白くなったが、温かい。呼吸もしているし、心臓の鼓動も聞こえる。本当に生き返ったのだな」
「髪の毛? 本当だ。白くなってる……」
魔法の影響だろうか?
幽霊やゾンビじゃなく、ちゃんと生き返っているよね? ね?
「だが、胸を刺されていたのに、どうやって生き返ったのだ」
「それは、闇魔法を使いましたわ」
「闇魔法? マリーは死者蘇生魔法が使えたのか!」
「そうではありません。怪我を治すために仮死状態にする魔法です」
「そんな魔法が有ったのか」
「王宮の書庫に有った、闇の魔導書に載っていましたわ。それより、ハインリッヒ王子はどうされました。ここは王都の屋敷ですよね?」
「王子にも魔法をかけたのか?」
「はい、私より傷は深かったでしょうが、それほど変わらず回復して仮死状態が解けると思うのですが」
「そりゃまずい! 王子は既に埋葬されている」
「早く掘り起こさないと、仮死状態が解けてそのままにすれば、今度は窒息死してしまいますわ」
私たちは馬車に乗り王族が埋葬されている霊廟まで急ぐことになった。
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