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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

19. 魔力

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 夕食を終えた後は、メイドにお風呂に入れてもらう。

 私としては、メイドに付き添われるのは恥ずかしいのだが、現状は五歳児の幼女に過ぎない。
 一人でお風呂に入ると言っても許してもらえるはずがなかった。
 それに、女優になるなら裸くらいで恥ずかしがっていては駄目だ。
 全身泡だらけにされて、隅々まで洗われながら羞恥心に耐える。
 湯船に浸かっても、その間ずっと、溺れないように凝視されているので、なかなか、気も安まらない。

 お風呂から出たらベッドに潜り込む。
 お子ちゃまなので、早寝である。

 ベッドの中で、今日のことを振り返る。
 結局、書庫には、汚物があっただけで、魔導書はなかった。
 魔法が使える者は多くないし、この家には魔法が使える者はいないようだから、仕方がないことだろう。

 魔導書が手に入らないとなると、クロード先生から聞き出すしかないのだが、簡単には教えてくれそうになかった。
 なんとか、自分一人でどうにかできないだろうか?
 私は、身体強化魔法について考える。

 先生は魔力を放出するのでなく、体の中で循環させると言っていた。

 聞いたのはそれだけだが、それがヒントにならないだろうか?
 そもそも、魔力を感じられなければ、操ることもできない。

 私は、ベッドに寝ながら、自分の中の魔力を探す。

 学生時代に習ったから、体の構造についてはわかっているつもりだ。
 体は、幼女になってしまったが、知識が消えてしまったわけではない。

 なので、頭の天辺から、つま先まで、体の構造を考えながら魔力がないか探っていく。
 といっても、魔力自体、どんなものかよくわからない。これでは探しようがない。

 そこで、私の適性は闇なので、黒い塊をイメージしながら探していくことにした。

 そうすると、頭と、心臓付近、下腹部、両手両足の七箇所にそれらしき物を感じることができた。

「これが魔力かな?」

 もっと良く探ると、それらは繋がっているようにも感じる。
 この繋がっている感じを利用して、循環させればいいのだろうか?

 私は、心臓付近の黒い塊を中心に、他の六箇所と黒い液体を循環させるイメージで、意識を集中させる。
 魔力が体の中を巡っているように感じるが、これでいいのだろうか?

 そう考えているうちに、私は、眠くなって寝落ちしてしまった。

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