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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

10. 文字と魔法

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 私が気絶した理由は、教会で闇属性持ちであるとわかり、ショックを受けたためだった。
 しかし、悪役令嬢役の今の私には好都合だ。
 闇魔法は謎が多いようだが、どうにか闇魔法を取得できるように頑張ろう。

 だが、今は、魔法の話より、文字の話だ。闇魔法が使えても、台本を読めない事には話にならない。

「それで、文字を教えてくださる方は、つけていただけるのでしょうか?」
「元々その話だったな。そうだな、では誰か教師を頼もう」

 執事やメイドでなく、教師を頼んでもらえるのか。お金もかかるだろうに、ありがたいことだ。
 だが、これで台本を読めるようになる目星も付いた。

 そうなると、やはり気になるのは魔法だ。
 日本には魔法なんてなかったからな。
 そうだ。魔法があるということは、ここは異世界であることが決定的になったわけだ。
 まだ、屋敷から一歩も外に出ていないが、外に出るのが楽しみになった。
 この世界は、どんな世界なのだろう。

 いろいろと、思いを膨らませているとお母様が嬉しいことを言い出した。

「ロベルト、ついでですから、魔法を使える人にして、魔法についても教えてもらったらどうかしら」
 おお、これは、文字だけでなく、魔法も教えてもらえることになるかな?

「魔法もか……。闇に適性のある者はほとんどいなし、闇魔法が使える者は知られていない。他の属性の魔法が使える者に教わっても、魔法は使えるようにはならないと思うぞ」
 お父様は、魔法を教えることには、あまり乗り気ではないようだ。

「それでも、魔法についての一般常識は知っておいた方がよいと思うのよ」
 お母様。ナイスです!

「一般常識としてか。確かに、うちの屋敷には魔法が使える者がいないからその方がいいかもしれんな」
 お父様もお母様も魔法は使えないようだし、貴族でも使えないものが多いと言っていたが、公爵でも使えないとなると、爵位が高ければ使えるというものでもないということか。
 それに、公爵家でも魔法を使える者を一人も雇っていないとなると、本当に使える人は少ないようだ。
 ということは、魔法が使える私は、結構レアケースなんだな。

「マリーはどう思う?」
「魔法も教えてもらえるなら、大変ありがたいです!」

 魔法には憧れるし、そうでなくても、魔法がどんな物か知っておくのは大切なことだろう。

「では、魔法が使える者に教師をお願いしよう」
「ありがとうございます。お父様、お母様」

 私に、魔法も使える家庭教師がつくことに決まったのだった。

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