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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
8. お願い
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公爵邸に来てから一週間が経った。
生活に困ることはなかったが、とにかく、台本を読むことができない事には先に進めない。
なんとか文字を覚えようと努力したが、五歳の幼女が独学でどうにかなるものではなかった。
ちなみに、私は今、五歳になったばかりで、五歳の誕生日に教会にいって倒れたらしい。
なぜ、教会で倒れたかは教えてもらえないでいた。
倒れた理由を聞くと、なぜか皆、口が重くなるのだ。いったい、何があったのだろう?
それも気になるが、今は文字の件だ。
私は夕食の時、お父様にお願いすることにした。
「お父様、私、文字を覚えたいのです。誰か教えてくれる人をつけてください」
「マリーはまだ五歳だろ、文字を覚えるには早くないか」
「そうね。普通は七歳くらいから習い始めるものですけど、興味があるなら、早くてもかまわないと思うわ」
お父様は難色をしましたが、お母様は賛成してくれるようだ。
「そうか?」
「それに、マリーは最近、五歳と思えない程、しっかり喋れるようになりましたし」
しまった。五歳だというのを忘れて、普通に喋っていた。
五歳児が普通に喋っていたら変だよな。今から子ども口調に直すべきだろうか?
でも、今から変えたら余計に変か……。
それより、役になりきるために、悪役令嬢の口調を練習した方がいいかもしれない。
「確かにそうだが、ほら、文字を読めるようになると、あれのことも知ることになるんじゃないか」
「ああ、そうね。でも、いつまでも避けてはいられないわよ」
あれ、とはなんのことだろう?
どうも、私が文字を読めるようになるのはまずいらしい。
でも、台本を読めない方がもっとまずい。
「お父様、あれ、とは何ですか?」
「あれ、あれか……」
お父様は、話すか話すまいか悩んでいるようだ。
「マリー、落ち着いて聞いてね。マリーが教会で倒れた理由だけど、知りたい?」
「リリヤ!」
「はい、教えてください」
あれとは、私が教会で倒れた理由のことだったのか。
お父様が決断しないので、お母様が話し出してしまった。
リリヤというのは、お母様の名前だ。
ちなみに、お父様はロベルトという。
でも、なぜ、そんなに秘密にする必要があるのだろう?
「そのことを聞くと、またショックで気絶してしまうかもしれないわよ」
「聞いただけで、気絶してしまうようなことなのですか!」
教会ということは、怪談話でもあるのだろうか?
怪談は少し苦手だ。
だが、気になることもまた事実である。私は我慢して聞いてみることにした。
「マリーは、教会でそれを知って気絶してしまったのよ」
「そうですか……。でも、大丈夫です。今度はちゃんと心構えをして聞きます」
「そうか、それなら私から話そう」
お母様でなく、お父様が話してくれるようだ。
生活に困ることはなかったが、とにかく、台本を読むことができない事には先に進めない。
なんとか文字を覚えようと努力したが、五歳の幼女が独学でどうにかなるものではなかった。
ちなみに、私は今、五歳になったばかりで、五歳の誕生日に教会にいって倒れたらしい。
なぜ、教会で倒れたかは教えてもらえないでいた。
倒れた理由を聞くと、なぜか皆、口が重くなるのだ。いったい、何があったのだろう?
それも気になるが、今は文字の件だ。
私は夕食の時、お父様にお願いすることにした。
「お父様、私、文字を覚えたいのです。誰か教えてくれる人をつけてください」
「マリーはまだ五歳だろ、文字を覚えるには早くないか」
「そうね。普通は七歳くらいから習い始めるものですけど、興味があるなら、早くてもかまわないと思うわ」
お父様は難色をしましたが、お母様は賛成してくれるようだ。
「そうか?」
「それに、マリーは最近、五歳と思えない程、しっかり喋れるようになりましたし」
しまった。五歳だというのを忘れて、普通に喋っていた。
五歳児が普通に喋っていたら変だよな。今から子ども口調に直すべきだろうか?
でも、今から変えたら余計に変か……。
それより、役になりきるために、悪役令嬢の口調を練習した方がいいかもしれない。
「確かにそうだが、ほら、文字を読めるようになると、あれのことも知ることになるんじゃないか」
「ああ、そうね。でも、いつまでも避けてはいられないわよ」
あれ、とはなんのことだろう?
どうも、私が文字を読めるようになるのはまずいらしい。
でも、台本を読めない方がもっとまずい。
「お父様、あれ、とは何ですか?」
「あれ、あれか……」
お父様は、話すか話すまいか悩んでいるようだ。
「マリー、落ち着いて聞いてね。マリーが教会で倒れた理由だけど、知りたい?」
「リリヤ!」
「はい、教えてください」
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「そうですか……。でも、大丈夫です。今度はちゃんと心構えをして聞きます」
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