亡国の王子に下賜された神子

枝豆

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穢れた国

ブラン神官の願い

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ロキ達は私の返事も待たずに部屋から出て行くために歩き始めた。
それを茫然と見送っていると、ロキが立ち止まって振り返った。
「…来ないのか?ここにいると死ぬぞ?」
そういうとまた歩き出す。

ついて行くしかない、仕方ない。
後ろ髪を引かれている思いはあるけれど、レオはここから出ることを決めたらしい。
繋いだままの手を引っ張られて連れ出され、ロキの後に続いた。
逡巡していたミアさんだったけれど、教授がそれが当然だと言うようにミアさんも連れ出した。

「ロキ、あなたに頼みたい。ここにパジェットという司祭と、セドリック王子がいるはずだ。
会わせてはもらえないか?」

黙って後ろをついてきていたブラン神官がいつの間にかロキと並んで話しかけている。

「パジェット司祭には会わせられるが、セドリック王子は無理だ。」
「何故ですか?」
ブラン神官が聞き返す。するとロキは
「セドリック王子は…禍にやられた。
何かを悔いて嘆いて、やめろと言ったのに感情を揺れ動かして。
そもそも王族には因子持ちが多い。おそらくセドリック王子もそうだったんだと思う。」
と答えた。

…セドリック王子が禍にやられた?

「なら、尚更会わせて欲しいわ。」
と頼んだ。

セドリック王子をこちら側に引き込めるかもしれない、と教授は言っていた。
私もそうなって欲しいと思う。
浄化する事で、少しでも何か考えを改めてくれたら…と思う。

レオが何か言いたげに私を見つめているけれど、何も言わない。

「…そうだな。あなたが本当に神子なのか確かめてみなければならない。
…偽物に惑わされるのはゴメンだ。」

「それから…。」
「まだあるのか?欲深いな。お前も禍にやられるぞ。」
ブラン神官に呆れた視線をロキは投げた。
だけどブラン神官は怯まなかった。

「大切な事です。地下水が沸いているような場所はありませんか?」
「…あるわけがない。ここは大きな岩盤をくり抜いて作った場所だ。」
「小さくても良いんです。水滴が染み出しているような場所でもいい。」

「クドイ!そんな場所はない!」
ロキさんが初めて苛立った様子を見せた。

ないの?
それじゃあの神器を水に浸す事が出来ないじゃない!
無いなら…なんて考えてもいなかった。

…どうしよう。
チラリとレオを見た。
「それも後だ。とりあえずパジェット司祭とセドリックに会いに行こう。」
と耳打ちされる。

「…そうね、それしか無いわね。」
とりあえずひとつずつだ。

「もう喋るな。」
ロキさんに釘を刺されて、私達は黙るしか無くなってしまった。





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