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王都ヨーシャー
旅立ち
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私とレオの旅立ちが慌しく決まった。
「お世話になりました。」
と丁寧にお礼を言った。
ナモンさんを始めとした神官さん達に見送られて馬車に乗り込んだ。
この馬車はレオのお父様が用意してくださったもので、濃紺の車体に金の模様が描かれている。
この世界ではかなりモダンなもののようだけれど、日本の私の感覚でいうとかなりクラシカルにも思えた。
車とかはないこの世界、日本でいうと何時代になるのかな?
旅にあたり、私は2人旅を想像していたんだけど、それは許されなかった。
私にはリマ、レオにはファッジという男の人が付けられた。
「リマは何歳なの?」
「15…くらいかと。」
孤児だったリマは自分の事を知らない。
気付いたら教会で暮らしていたらしく、その前の記憶は曖昧なのだそうだ。
旅に同行するにあたり、神子となった私には本当は沢山のお供が付くはずだった。
それを私は丁寧に辞退したんだけど、ナモンさんも譲ってくれなくて。
押し問答の末に、神殿で私の世話をしてくれたリマだけを連れて行くことでお互いに妥協した。
「リマの暮らし方を変えてしまってごめんなさい。せめてお友達として同行してね。」
日本人一般庶民の私に侍女とか召使いは要らない。
せめてリマにも旅を楽しんで貰いたいと思う。
「そんな恐れ多い…。」
ってリマには随分と遠慮されてしまったけれど、最終的にレオが頼んでくれて、リマはどうにか飲み込んでくれた。
「ファッジも。」
「…ええ。有り難くお受け致します。」
ファッジはイェオリ国にいたブランの一族の若者で、19歳。
旅の途中でたまたまレオのお父様を頼り、イェオリでの居場所を模索していたそうだ。
「偶然とは思えず、神の導きを感じました。」
とファッジさんは言う。
「そんな大層なモノなの?」
「ええ、物凄く。」
とファッジは言う。
まあ、ほんのひと時身を寄せた家の息子がある日突然「神子の守護者」になって、神子を連れて旅をすることになった。
「叔父から同行を頼まれた時は心から嬉しくそして誇らしく思いました。」
だって。
…なんか思っていたのとは違う気がする。
ブランの旅は重い…。
もっと気軽に旅を楽しめば良いのに。
私の感覚では「修学旅行」や「観光旅行」なんだけど…。
なんて言えない…か。
少しずつ少しずつ仲良くなれたら良いなぁ。
「お世話になりました。」
と丁寧にお礼を言った。
ナモンさんを始めとした神官さん達に見送られて馬車に乗り込んだ。
この馬車はレオのお父様が用意してくださったもので、濃紺の車体に金の模様が描かれている。
この世界ではかなりモダンなもののようだけれど、日本の私の感覚でいうとかなりクラシカルにも思えた。
車とかはないこの世界、日本でいうと何時代になるのかな?
旅にあたり、私は2人旅を想像していたんだけど、それは許されなかった。
私にはリマ、レオにはファッジという男の人が付けられた。
「リマは何歳なの?」
「15…くらいかと。」
孤児だったリマは自分の事を知らない。
気付いたら教会で暮らしていたらしく、その前の記憶は曖昧なのだそうだ。
旅に同行するにあたり、神子となった私には本当は沢山のお供が付くはずだった。
それを私は丁寧に辞退したんだけど、ナモンさんも譲ってくれなくて。
押し問答の末に、神殿で私の世話をしてくれたリマだけを連れて行くことでお互いに妥協した。
「リマの暮らし方を変えてしまってごめんなさい。せめてお友達として同行してね。」
日本人一般庶民の私に侍女とか召使いは要らない。
せめてリマにも旅を楽しんで貰いたいと思う。
「そんな恐れ多い…。」
ってリマには随分と遠慮されてしまったけれど、最終的にレオが頼んでくれて、リマはどうにか飲み込んでくれた。
「ファッジも。」
「…ええ。有り難くお受け致します。」
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だって。
…なんか思っていたのとは違う気がする。
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