亡国の王子に下賜された神子

枝豆

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双子の街

面倒

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「この街で誰にも会わず、どこにも寄らずにただ突き抜ける事は出来る?」
面倒ごとはなるべくなら避けたいと思ってそう言ったのだけれど…。

「…出来ない事もない、しかし…。」
レオの返答の歯切れは悪い。

「祖父や叔父に会わずにこの街をただ通り抜けるというのは…。」
ブランにとっては気が引ける、レオはそう言いたいんだろう。

「じゃあ、ブランの人がいる方の道を進む、で良いんじゃない?」
と言えば、
「残念ですが、神子様。どちらの街にもブランの家はあります。」
とサイラス様に言われてしまった。

「本当に何もかも等分したのか…。」
とレオが呟く。
「ったく馬鹿馬鹿しい。なんで旅人が街に気を遣わねばならないのか。」
とベネット教授は呆れた顔を隠さない。

「二手に別れる?」
「二手に?」
「神子、神子の守護者と。」

ダメだ、ダメだ、と皆が口を揃える。
「何が起きるかわからない。サキカと離れる事は出来ないし、したくない!」
レオにさえ反対されてしまった。

うーん、困ったなぁ。

「入れないなら、進まなければいい。」
そう言い出したのがレオだった。
「この街は神子が通るべき街ではなかった、我々はそのまま踵を返して隣の街を目指そう。」
「えっ?遠回りするの!?」

別に急ぐ旅ではないけれど…。
恐れをなして逃げたと思われるのは悔しい気もする。
面倒だから避けたっと知れ渡るのは構わないんだけども。

「僭越ながら、私が先に参りますよ。」
そう言ってくれたのがファッジだった。
「私もブランです。とりあえず領主の治める街のブランを訪ねましょう。」

対外的に「領主」の存在は絶対だから、ファッジが領主の方を優遇しても問題はない、この街の分断には響かないのでないか?というのがファッジの意見だ。
立ち寄らない非礼を許して欲しい、そう伝えるつもりだと。

レオはしばらく考えて、
「出来るなら素通りはしたくないとも伝えて欲しい、叔父か祖父かは分からないけれど、必ずブランなら解決策を見出してくれる筈だと信じている、と。」

この街で暮らすブランの者ならば何か手立てを考えてくれるに違いない、と?
レオがそこまで信じきれる程にブランの結束が固いんだ…。

レオが書いた手紙を携えて、ファッジが一足先にブランさんを訪ねる事になった。

「誰か同行させましょう。ファッジ殿は一旦街に入ればここへ戻って来る事も難しくなるかもしれませんし、戻れても逆の街には入れません。最悪ファッジさんだけでこの街を通り過ぎる事になるかもしれません。」
サイラス様がそう申し出てくれる。

教会に住む者だけが一度入ってもこの教会に戻れる。だって家だもの。
一度教会に戻ればリセットされて、もうひとつの街にも行けるそうだ。

なんだか面倒そうな街…。
ツイルの街への私の印象はこれだった。
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