亡国の王子に下賜された神子

枝豆

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ハマの儀式

禍とはなんぞや?

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「禍って何?」

禍があまり良くない存在だというのはわかる。
この世界の人が消し去って欲しいくらいには、迷惑な存在なんだとはわかるけど。

「禍とは…一口には説明が難しいのですが…。」

禍は自然の中に普通に存在している。その名の通り、禍々しいまがまがしい存在。
禍は人や植物、動物の成長を妨げ、その存在さえも危うくしかねない。

作物ならば小さかったり、実があまりならなかったり。人や動物ならば病に罹りやすくなったり。

「どこにでも普通にあるものなのですが…。」
当たり前に身近にあるので、一言で説明は難しいのかもしれない。

この世界を安定される為に禍を取り除く。
それが4人の神がこの世界にもたらされた目的で、それを託されたのが人間。

なんとなく、放射能とか大気汚染物質とかそんな物を想像した。
人が取り除けるとは全く持って思わないけれど。
あっ、二酸化炭素とか?
酸素を吸って二酸化炭素を吐く動物、二酸化炭素から酸素を作る植物。
地球の均衡は二酸化炭素が増えて崩れかけていた。

「うーん、なんとなくのイメージができそう…な気がしました。なんとなくですけど。」

そう伝えると、あまり深く考えず、感じて欲しいとも言われた。

「この世界の生命は綿だと思えばいい。」
レオがそう言い出した。
「綿?」
「ああ、綿。溢れた水を綿で吸い取る。」
「ああ、なるほど。」

綿が吸い取った水は消えてなくなる訳では無く、綿が抱え込んでいるだけ。
しかし濡れたところはそのうちに乾く。
世界中に溢れた禍を生命が吸い取る。少量ならば呼吸をするように身体から出入りを繰り返すけれど、なくなる事は無い。
そして限界を越えると水は吸い取れなくなるし、場合によっては溢れてしまう。


溢れる前にどこかに絞り出す。その受皿になるのが、神の息吹とかの因子を持つ特殊な生命。
バケツに絞り出すみたいなものだ。

「うん、掴めてきた…かも。」

そのバケツに溜まった水を捨てる事ができるのが…神子?つまりは私?

「でもどうやって…?」
結局はそこに行き着くのだけれど。


先代の神子はヨーシャーの新成人に託されて、その人は世界の禍を祓う事を全うされたそうだ。
この世界で生き、子を成して、寿命を迎えた。

「血の濃い子や孫はドュシエやイレイエが出来ました。しかし年月を経てイレイエ出来る者は現れなくなったのです。
今はヨーシャーの皇妃とその産んだ姫だけがドュシエが出来ると言われています。」

無害な形に変えられる人が世界に2人しかいない!?

「しかも完全に無害とは言えません。形あるものはいつかは壊れるものです。
鉛や錫の入れ物に入れて保管しております。」

あっ!そうか。
前の神子が亡くなってから200年経つ。孫くらいまではイレイエ出来ていたとしても…。ざっと100年分はただ貯められているだけ。

「…できる気がしないんですけど。」
「やっていただかなければなりません。」

…ってそんな無茶な!







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