若松2D協奏曲

枝豆

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体育祭 溢れ話

いい仕事をした後輩クン

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バスケ部1年、林は首を捻った。

何が起きたんだ?

若松高バスケ部、バスケ馬鹿3人組と言われている2年生先輩が揃って応援団をやるから、体育祭まで部活に少し遅れると言い出した。

先輩達そんなタイプじゃなかっただろ?
応援団?だりいとか面倒っ!とかってタイプだろ?
百歩譲って応援団はまだいい。
部活あるから練習切り上げて先に上がるわ、とかいうタイプだったでしょ!

そうしたらD組の奴等が言い出した。
「今年の応援団、みどりちゃんが絡んだらしい。」

それかー!
それだー!

疾風先輩の「みどりちゃん」推しはバスケ部で知らない奴はいない。
皇先輩を中心に2年の先輩達は度々疾風先輩を揶揄っているからだ。

ただ両片思いっぽい疾風先輩の「みどりちゃん」の情報はあまりない。
吹部でトランペットを吹いているらしい、だけ。
疾風先輩だけじゃない、皇先輩も北斗先輩も、女バスのクミ先輩からもガードされている。
どんなお姫様なんだ?

みどりちゃんを探せ!

バスケ部1年の隠密作戦が始まった。

空手の形っぽいダンスの練習をしているD組応援団の中に疾風先輩はいないし、「みどりちゃん」ぼい人もいない。
それもそのはず。トランペットと大太鼓の2人はどこかで2人で練習しているらしい。

先輩達の目を盗んで2人の練習場所を探していたら、何故か皇先輩にバレて、思いっきり怒られた。

そして、通しリハで初めて2人を見た時には唖然とした。
(あれがみどりちゃん…。)
(疾風先輩がデレまくっている。)
疾風先輩が見たこともない顔で太鼓を叩いていたからだ。

なぁ、あの2人のツーショット撮ったら、スッゲー感謝されんじゃね?

そう思った俺はD組の応援団デモの間、2人のそばで連写しまくった。

時々じっーと疾風先輩の横顔を見つめるみどりちゃん。
その視線に気付いて微笑み返す疾風先輩。

そ、そして!

終了後にハグし合う2人の写真。

こ、これで!

今月、意味不明の「みどりちゃん不足」やらとかでこっちが嫌になるほどに機嫌が悪かった疾風先輩の機嫌が直ってくれるかもしれない!
腹筋100回追加の嵐は止んでくれるかもしれない!

ところが。

1500メートル走をぶっちぎりで優勝した疾風先輩は、待機場所には来ないでみどりちゃんの所に飛んで行っちゃった。
先輩、ゴールはそこじゃありませんから!

審判をしていた顧問が、
「林!あの馬鹿を失格チラつかせて連れ戻せ!」
とか言い出した。

マジかぁ…。これ俺が後で怒られるヤツじゃん。

ハグしてる2人を引き剥がしながら、明日からの地獄の練習を覚悟した。




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