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オマケ
石がないんです1
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石がない!
ダリアン島の港湾整備のために石垣を作らなきゃならないのに、そのための石が揃わない。
その石の名前はゴッツウォールという、ちなみにキッテンの城もゴッツウォールで出来ている。
白く固く、磨き上げると美しい光沢を放つ石だ。
「くそっ!売り惜しみだろうな、きっと。」
とエルが悪態を吐き、
「はあー、それしか考えられん。ラブレフの奴は値を釣り上げる気満々なんだろう。」
とステファンが嘆く。
島の整備を任されているエルとステファン殿下がイラついて頭を抱えること数ヶ月。
トーニャが王太子妃に内定し条約締結の噂が出始めた頃から徐々に流通量は減り続け、比例して値が上がり通常の倍近い値段になってしまった。
本決まりになってから買い付けようと思っても全く手が出ない値段になってしまった。
ゴッツウォールの産地として有名なのは、ラブレフ侯爵領のゴッツ山。石はあるところにはある、それこそ山のように。というか山。
つまり採掘を減らし流通を制限し値を釣り上げているのはおそらくラブレフ侯爵…。
「少し脅して供出させてやるか。」
と話すほどまで2人は切羽詰まっている。
少しと言いながら、2人の話は真っ黒で重たい。
ゴッツ山そのものを国有化するとか、適当に罪をでっち上げてラブレフ侯爵を罪人に仕立て上げるとか…。
ああ、合議制ってホント素晴らしい!!
賢明な公爵様方がこんな制裁をお許しにはならない。
しかし、たかが石、されど石。
ダリアン島の造成は港湾工事が終わらないと先には進めそうもない。
港が出来ないと船が付けられない。道も作れないし家も建てられない。
何より春前までに用水路の建設を終わらせないと、林業や農業の計画が更に1年は遅れてしまう。
それより何より。
トーニャの里帰りの時、ステファンはシュタイン王妃に思いっきりケンカを売ってきたらしい。
カルロ国王陛下とシュタイン国王陛下がなんとか穏便に話をまとめ上げたらしいけれど、王妃同士はバチバチに火花をちらつかせていたとかいないとか。
カトリーナ様とケンカ…。考えただけで身震いがする。
気が弱い王様がなんとか踏ん張ってくださっている間に、王妃様の気まぐれが発動するよりも前になんとかしておかないとトーニャがここに嫁がされた意味がなくなってしまう。
この件について色々と手伝ってくれるダーランド補佐官が幾度もラブレフ侯爵に面会を要請しているけれど、話し合いに至らない。
「他からは買えないの?」
トーニャの疑問は私の疑問でもある。
「他の石ではダメなの?」
私の疑問はトーニャの疑問でもある。
「最高級なんだ。肝要な部分だけでもゴッツウォールで作りたい。ゴッツウォールはゴッツ山でしか採れない。」
とお二人は拘りを見せていらっしゃった。
「私に出来ることある?」
と聞いてみても、
「頼むから何もしないでくれ。」
と言われてしまう。
私そんなに頼りない?
でも、何をしたらいいかわからないから、何もしてあげられない。
ダリアン島の港湾整備のために石垣を作らなきゃならないのに、そのための石が揃わない。
その石の名前はゴッツウォールという、ちなみにキッテンの城もゴッツウォールで出来ている。
白く固く、磨き上げると美しい光沢を放つ石だ。
「くそっ!売り惜しみだろうな、きっと。」
とエルが悪態を吐き、
「はあー、それしか考えられん。ラブレフの奴は値を釣り上げる気満々なんだろう。」
とステファンが嘆く。
島の整備を任されているエルとステファン殿下がイラついて頭を抱えること数ヶ月。
トーニャが王太子妃に内定し条約締結の噂が出始めた頃から徐々に流通量は減り続け、比例して値が上がり通常の倍近い値段になってしまった。
本決まりになってから買い付けようと思っても全く手が出ない値段になってしまった。
ゴッツウォールの産地として有名なのは、ラブレフ侯爵領のゴッツ山。石はあるところにはある、それこそ山のように。というか山。
つまり採掘を減らし流通を制限し値を釣り上げているのはおそらくラブレフ侯爵…。
「少し脅して供出させてやるか。」
と話すほどまで2人は切羽詰まっている。
少しと言いながら、2人の話は真っ黒で重たい。
ゴッツ山そのものを国有化するとか、適当に罪をでっち上げてラブレフ侯爵を罪人に仕立て上げるとか…。
ああ、合議制ってホント素晴らしい!!
賢明な公爵様方がこんな制裁をお許しにはならない。
しかし、たかが石、されど石。
ダリアン島の造成は港湾工事が終わらないと先には進めそうもない。
港が出来ないと船が付けられない。道も作れないし家も建てられない。
何より春前までに用水路の建設を終わらせないと、林業や農業の計画が更に1年は遅れてしまう。
それより何より。
トーニャの里帰りの時、ステファンはシュタイン王妃に思いっきりケンカを売ってきたらしい。
カルロ国王陛下とシュタイン国王陛下がなんとか穏便に話をまとめ上げたらしいけれど、王妃同士はバチバチに火花をちらつかせていたとかいないとか。
カトリーナ様とケンカ…。考えただけで身震いがする。
気が弱い王様がなんとか踏ん張ってくださっている間に、王妃様の気まぐれが発動するよりも前になんとかしておかないとトーニャがここに嫁がされた意味がなくなってしまう。
この件について色々と手伝ってくれるダーランド補佐官が幾度もラブレフ侯爵に面会を要請しているけれど、話し合いに至らない。
「他からは買えないの?」
トーニャの疑問は私の疑問でもある。
「他の石ではダメなの?」
私の疑問はトーニャの疑問でもある。
「最高級なんだ。肝要な部分だけでもゴッツウォールで作りたい。ゴッツウォールはゴッツ山でしか採れない。」
とお二人は拘りを見せていらっしゃった。
「私に出来ることある?」
と聞いてみても、
「頼むから何もしないでくれ。」
と言われてしまう。
私そんなに頼りない?
でも、何をしたらいいかわからないから、何もしてあげられない。
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