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嶺上開花
しおりを挟む「難易度高いなぁ」
「何が?」
「これ」
私が指差した先にあるものを岡崎さんが確認する。後ろで私の髪を弄くり倒し、奮闘している岡崎さんは、全くテレビには集中していなかったらしく、きつめの中国語が駆使されるキャットファイトシーンを見て「あぁ」と納得したように頷いた。
「あぁ~、確かに難しそうだよな。お前、あそこまで感情剥き出しにして相手罵るとか出来なさそうだもんな。言われっ放しでピイピイ陰で泣いてるところまで簡単に想像出来るわ」
「そうじゃなくて。というか、なんですか。失礼ですね。私だって言うときはガツンと言ってやりますよ」
「本音は?」
「私には厳しいです」
「正直でよろしい」
「いや、私、口喧嘩のスキルを上げたい訳じゃなくて。言語ですよ。中国語って難しいなぁって。英語とはまた違った独特さがあるし」
「は? 簡単だろ。何言ってんだ」
「そりゃあ、岡崎さんにとっては母国語みたいなものだと思いますから、簡単に聞こえるでしょうけど」
ヒートアップしてきた言葉のぶつかり合いを、もう一度眺める。本当に簡単な挨拶位はわかるけれど、こうして早口になってくると、もう全く聞き取れない。アクセントが強く、迫力に溢れ、目の前でこんなに捲し立てられると、私のようなチキンは硬直して何も言えなくなるに一票だ。
間に挟まれた男性を巡って女性達が喧嘩をしていることから修羅場というのはわかる。が、女性二人が自分の言いたいことを言うだけ吐き出して、突然お互いを抱き締め合い和解し始めたので、何ゆえそうなった? と展開についていけなくなったのだ。
うーん? と首を傾げていると、パッとチャンネルが切り替わり、カートゥー●ネットワークで放映されていそうなアニメが映し出された。
「あっ」
「どうせワケわかんなくなってたんだろ? そんなにあいつらの行く末がどうなるか気になってた?」
「それなりには……ものすごくって訳じゃあないですけど」
「なら、いいだろ。よくある仲間内での痴情のもつれだし」
「あ、やっぱそんな感じなんですね。というか、見たことあるんですか」
「たまたまやってたのをな。アレ再放送だから。結末は三人で仲良くひとつ屋根の下に住んで、和気藹々と皆でヤっていくって大団円だぞ」
「え、えぇ……だ、大団円なのかな、それ」
「な? そこそこドン引きだろ。いくら一夫多妻が認められてるっつってもよぉ、好いた相手をシェアって、俺にしちゃあ、ぜってぇ有り得ねぇんだよな。いつまでも上手いことやっていけるとも思えねぇんだよ」
「え? 岡崎さんなら喜んで引き受けそうなのに。好みのお姉さん達侍らせて、だらしない顔してハーレム作り上げてそうなのに」
「俺、お前にそんな風に思われてんの!? めちゃ心外なんだけど!?」
「だ、だって、意外に、甲斐性も包容力? もすごいあるから」
「……」
「えっと。な、なんか、ご、ごめんなさい」
「んだよ、こちとら、ゆるゆるでだらしなさそうに見えて結構一途って設定で通ってんのによぉ。いい加減に気付きなさいよ。切り替えていきなさいよ。そろそろ自覚を持ちなさいよ!」
「こら、設定とか言わない」
「注意するとこ、そこなの? 後半言ったこと、もうちょい気にしてくんない。そういうとこだぞ」
「ちょっとなに言ってるかわかんない」
「富●? だって考えてもみろや。毎日一番近くで、自分以外の野郎と惚れた女がイチャイチャしてるの、黙って我慢してなきゃなんねぇんだろ。親指咥えてなきゃなんねーんだろ。んなもん、すぐに我慢の限界迎えるわ。焼き切れるわ。数時間ももたねぇわ。目の前で飯あーんしてやってたり、ベタベタしてたり、一緒に風呂入って××プレイしたり、一緒のベッド入って××で×××な××××したり、ほんで朝チュンだろ。ふざけんな!」
「岡崎さん、想像力逞しいですね。リボン千切れましたよ。新しいの取ってきますね」
「あーー! イライラしてきたわ。腸煮え繰り返ってきたわ。自分のイマジネーション能力が憎い」
「どうどう」
「さっきから、冷静で私はなんとも無いです顔してる志紀ちゃんはどうなんだよ。好きな男が友達とダブったらどうすんの。いくらお前でも、そこは」
「私なら潔く身を引きます」
「だよなぁ。やっぱりお前でも譲れないものが……って、は!? なんで!? 引いちゃうの!? 粘ってくんないの!?」
「ひ、引きますよ。なんでそんな驚くかな」
「い、いやだって、そんな簡単に諦められるなら世話ねぇっていうか」
「相手の女性の方が、自分よりもそのひとを幸せに出来るってわかったら、すぐに後ろに下がりますよ。私は」
「……」
「自分が好きになったひとです。誰よりも幸せになってほしいですから」
「……あっそ」
「ていうか、女性視点で見てたんですか?」
「ひとりの人間取り合って、みっともなく声荒げるってとこに感情移入するとこが多くてな。身に覚えもあるし」
「……」
「……」
「……」
「まぁ、そういうこった。お前とは今後関わる様なことはない思想を持ってるタイプの奴等が蔓延るドラマだから、録なこと学べやしねーよ。大人しく中国版シン●ソンズ見てなさい」
「それも大概じゃないですか。放送禁止用語バリバリだし」
キッズ向けの皮を被った大人向けアニメを、二人前後に並んで鑑賞する。僅かに生まれた気まずい空気には気づかないふりをして。
奇抜なデザインのキャラクター達の破天荒でデリカシーに欠けた言動に、たまにウワァと引きつつも、それでも、その好き勝手さがじわじわと面白い。賛否両論はあれども、世界的に有名なアニメになったのも頷ける。この時代になっても、未だに放送が続いているのが何よりもの人気の証拠だ。確かにキャラクターの言動がはっきりしている為、内容も掴みやすい。下に英語字幕も出ているので、単語を読み取ってジョークを理解すれば、ふふっとたまに笑いが漏れた。
耳元にかかった髪をかきあげられたときに、肌を掠めた岡崎さんの指がくすぐったくて少し身動ぐ。
「それにしたってさ、なんでいきなりチャイ語覚えようと思ったの。俺というハイスペ翻訳機がついてっから、そんなに不便はねぇだろ」
「自分で言いますか。否定はしませんけど。……いつまでも頼りきりっていうのも申し訳無いですし。此処で過ごしていく上で、全く話せない、読み書きも出来ないとあれば、今は良くても、後々弊害は出てくる筈なんです。だから、簡単な日常会話位は身に付けておかないとなって」
「……」
「岡崎さん?」
何にも反応がないと不安になり、後ろを振り返ると、口角を小さく緩ませた岡崎さんが私を見下ろしている。
「な、なに笑ってんですか。あ、まさか私には無理だとか思ってます?」
「ちげーよ。良い傾向だなって」
「?」
「いいんじゃね。日本でも言うじゃん。向上心の無いものはなんたらって」
「……岡崎さんって、日本語の読み書きが出来なかったわりには、多方面で知識豊富ですよね」
孤児で路上生活を余儀なくされ、仲間に騙されてこの国に売られ、奴隷の身分に成り果てたと教えてくれた岡崎さんだったが、それにしてはと思う瞬間が、彼と一緒に過ごしていく中で多々ある。戸籍を付与されていないから、人としての当然の権利も与えられない。手酷い扱いを受けてきたのだろうなということは勿論わかる。この時代の奴隷というのが、どういった扱いを受け、どう生き抜いているのか。詳しくは知らないし、岡崎さんも自ら語ることはない。売り物として、あの競りに出されるまでの経緯も。
『どうなるってぇ……買い手のつかねぇ売りモンは、次の市場でもういっぺん出されるか、もう売れる見込みのねぇ連中は殺処分でぇ』
『嘘じゃあねぇよ。専用の施設にあるガス室にぶち込まれて、それでしめぇだ』
『同情は良しな嬢ちゃん。このご時世だ。そういう運命に当たっちまった以上、仕方がねぇんだ。あいつらは、それを受け入れるしかあるめぇよ』
あのとき岡崎さんは、たまたまのハプニングあったから今はこうして此処に居るものの、私が傘をこのひとに渡して、そのまま何事も起こらず立ち去っていたら、岡崎さんは衣笠さんの言っていた、奪われ尽くす運命に、あのまま抵抗もせず従っていた気がする。競りの場で見世物にされた岡崎さんは全てを悟り、諦めたような、本当に何もかもどうでもいいという目をしていた。私はあの赤をよく覚えている。死の間際、おじいちゃんの虚ろとした目とそっくりだったから。
「読めず書けずでも、生きてりゃ、それだけで学べることは多いってこった。育ての親は居ねぇけど、経験が俺を育てたって感じだな」
軽い調子で語る岡崎さんだが、私には重みを感じてならない。
「うし。出来た。ちょっと型崩れしちまったけど」
「お、ほんとだ」
完成した髪型にそっと触れてみると、後頭部に三つ編みのわっかに包まれたお団子が完成していた。リボンも取り付けられ、紐が二本揺れている。
「やっぱこれ位の長さがあれば何でも出来るわ。セ●バー髪作るには十分だな」
「エクスカリバーが欲しくなりますね」
細かい作業は苦手分野と言ってたが、やはり上達が早い。確かにところどころ凸凹はあるが、雑誌を読みながら長い時間をかけてウンウンと唸りながら私の髪を弄くっていた当初に比べれば、彼の言う通り上出来だろう。
満足気に立ち上がった岡崎さんは、珈琲を入れるついでに、紙とペン、そしていつもお昼間のお出かけの際につけている色の入ったレンズの眼鏡を手にして戻ってきた。
私にはミルクと砂糖が入った方の珈琲を寄越してくれた。甘さを少しも加えていない黒い液体の入ったマグを片手に、つらつらと難しい漢字を紙に書き連ねていく岡崎さんの行動に首を傾げ、何してるんですかと尋ねる。
「教えてやるよ」
「へ?」
「独学よりも、喋れる奴に教わった方が効率が良いだろ。耳だけじゃなくて、字も一緒に覚えりゃいい」
「ほ、ほんとですか。でも、私、かなり物覚え悪いですよ。旅館でも色々やらかしが多くて、女将さんの手を煩わせてましたから」
太刀川さんの手も随分焼かせてたなぁ、とスパルタ教育マッマの彼の姿を思い起こすも、それは口には出さなかった。
「ゼロからのスタートっていやぁ、そんなもんだろ。吸収するのに個人差があるってのはわかってる。寧ろ、飲み込み良い奴より、手のかかる奴ほど俺は燃えるね」
「そ、そう言って頂けると正直有難い。ぜひお願いします。しかし、何故眼鏡を」
「こっちの方が雰囲気出るだろうが。頭良さそうに見えるだろうが。先生って言ったら眼鏡だろうがよ。俺の知ってる女性教師は皆眼鏡かけてたぞ」
「形から入るタイプなんですね……(絶対いかがわしいビデオだ……)」
「そうさな~。希望があるなら、保健体育も、手取り足取り腰取り教えてやらんでもな……」
「じゃあ岡崎先生、まずは簡単なあいさつとかから教えてください。ディスイズアペンのレベルからで」
「アッハイ。……それにしても、先生って響きなんかいいな。俺のなかで新しい何かが目覚めそう。……も、もっかいせんせいって言ってみ? もうちょっと甘えたな感じで! あと舌足らずな感じで!」
「気持ち悪いです、先生」
なんやかんやとおふざけもあったが、一度岡崎さんの家庭教師のト●イが始まると、至極真面目に真剣に、軽口もおふざけも無しで取り組んでくれた。紙に書いた単語をひとつずつ丁寧に、そして文法においても一度で理解出来なかった私を咎めることなく、何度も何度も根気よく説明を繰り返してくれた。私が少しでも?な表情を見せたら、すぐに察し、わからなかったところは何処かと岡崎さんから尋ねてくる。
岡崎さんがゆっくりと発音した言葉をあとに続き、同じく声に出すが、発音が難しく上手く出来ない。しかし、こちらも何度も何度も反復練習を繰り返す。このとき口の動きはどうなっているのか、舌はどの位置でどの様に打つのかと、大きな口をかっ開いて解説まで入れてくれる有り難さだ。
しかしながら、こちらの口内に躊躇なく指を突っ込んでくるのは勘弁願いたい。邪な気持ちは無く、教えようという一心で岡崎さんは行っている訳だから、跳ね除けにくい。顔も近いし、岡崎さんの手は私の唾液まみれになってしまうわで集中力が分散されてしまうのは、本当になんとかしたい。
岡崎さんが言った言葉を、拙い発音での真似を繰り返す。そんな私に、真面目な顔だった岡崎さんは突然顔を綻ばせ、私の頭をぽんぽんと撫でた。
「なんかあれだな。赤ん坊みたいだな」
「……発音へたですみませんね」
「馬鹿にしちゃいねーよ。皆、こうしていっこずつ覚えて、でかくなってくんだろ」
尊いわと言いながら、岡崎さんは私の頭を撫でて笑んでいる。
小さい頃から、いいや、それこそ赤ちゃんの頃から、お父さんとお母さんに、こうしてひとつ言葉を覚える度に喜ばれていた。パパとママと初めて呼んでもらえたときの感動は思わず泣いてしまったというエピソードも、お母さんから聞いたことがある。それから数年後、親子の絆に歪みが生まれ、距離を置く結果とはなってしまったが、私は間違いなく生みの親に愛されていたのだ。そこに間違いはないと自覚を持てるぐらいに、私は愛情に満ちた家庭のなかで生を受けた。
だからこそ、親は子を愛するものだという認識は当たり前だと思っていたし、そういうものであると信じて疑わなかった時期もあった。
小学校に上がって、人との関わり合いは少ないものの、色々と複雑な家庭環境があるのだと徐々に知ることは出来たし、私だけではないんだということも学んだ。勿論一般的な、両親と仲が良く、すくすくと元気に育っている普通の子も存在する。けれど、きっと、その世間にとっての普通を作り上げることが、何よりも難しいということも知った。
岡崎さんは生まれてから、ご両親の愛情を知ることも受けることもなく、まともな食事も、寝床も得られることのなかった、私の知る当たり前の普通からは程遠くかけ離れた世界を生きてきたひとだ。それこそ、そんな過酷な環境の中で、子供ひとりがなんとか生き抜く為には!自らで学ばなければならないことも、とてつもなく多かったのだろう。
正直、よくひねくれなかったものだと思う。どうして自分がこんな目にと、何故この様な不当な扱いを受けねばならないのか、自分が何をしたというのだと世間を恨んでも可笑しくない。そう思う。私が岡崎さんの立場なら、きっと言いようもない怒りや悔しさ、全ての憎悪を顔も知らない親や世界にぶつけていた。けれど、岡崎さんは世界や両親への恨み言を漏らすことはなかった。信じられない程に、このひとは真っ直ぐに、ここまで大きくなったのだ。
「今の岡崎さんを」
「ん?」
「岡崎さんのご両親が見たら、どう思うでしょうね」
「……さーな。別に、なんとも思わねぇんじゃね。つか、顔も知らねー奴等のことはぶっちゃけどうでもいいわ。気にしたこともねーわ」
「またそんなひねくれたこと言って。本当は、自分のお父さんお母さんがどんな人だったんだろうって、気になったことは一度位あるでしょう?」
「気になりません。気にしたこともありません。自分等がやりたいことやって、勝手にこさえた餓鬼捨てる連中なんか、気にしてるだけ無駄無駄」
「捨てられちゃったんですか?」
「俺はそう思ってるけど。誰だって嫌だろ。こんな髪と目の色した奴が自分の腹から出てきたら、おぞましいだろ。不気味だろ」
「全世界のお父さんお母さんがそうとは限りませんよ。もし私が岡崎さんカラーで生まれても、私の両親はきっと今と変わらず育ててくれたと思います」
「2Pカラーみたいに言うのはやめてくんない。……お前は良い親に恵まれたんだな」
「はい。不器用ですけど、でも愛情はいっぱいでした。だから、わかりませんよ」
「?」
「岡崎さんのご両親、岡崎さんを捨てたって訳じゃないかもしれないじゃないですか。なにか、やんごとない事情があったのかも」
「志紀ちゃーん、それはあんまりにも脳内お天気すぎよ? 映画とかドラマの見過ぎ。このご時世で考えてみ。堕ろす為の金も、育てる余裕もねえって連中が、お前の考えてる以上に馬鹿みてぇにごろごろ居るんだ。お前のとこでは、なんとかなることもあるんだろうけど、ここじゃあ、荷物抱えられねぇってんなら捨てるって判断が当たり前なのよ」
「……ごめんなさい。やっぱり私の平和ボケですかね。そこそこ波乱万丈な人生歩んでたつもりではいたんですけど、ナマ言いましたね、ごめんなさい」
「謝る必要は無いけども。ちょっとでも俺のこと気遣って言ってくれたんだってことは、よくわかってるし。でも、ほんと気にしてねーから。物心つく前から居ないもんに恋しくなることなんざねーよ」
「でも、ほんとうに、悔しがるかもしれませんね」
「誰が? 何を?」
「優しくて、賢くて、世渡り上手で、皆に頼りにされる、ひとの先頭にも立てる位に立派に育って、こんなにも出来る我が子を、たとえ死んでも手放すべきじゃなかったって」
「……」
「岡崎さん。血を分けた子供と別れるって、例えば何ともないって口では言っても、本人は気づいてないだけで、心の中には、何かしらしこりが生まれるものだと思いますよ」
特に、お腹を痛めて我が子を産み落とす役割を持つ母親は。
数名がかりで取り押さえられ、幼い私と引き離されることになった母の、志紀と叫ぶ金切り声と、死に物狂いの必死の形相は、脳に深く刻まれている。
岡崎さんは眉間に皺を寄せて、明らかに機嫌を損ねた顔をした。わしゃわしゃと勢いよく髪をかき乱し、何も言わずに立ち上がり、背を向けて、「散歩行ってくるわ」と感情のこもらない淡々とした声を投げて、私をひとり部屋に残し出ていってしまった。
絨毯の上に散らばった漢字がびっしりと書き込まれた紙を、一枚手に取る。岡崎さんの心を少しでも抉る、余計なことを言ってしまった自覚はある。でも、単語ひとつ覚えただけで、あんなにも慈しみに溢れた綻びを見せた岡崎さんには、少しでもその情の意味を、これからの為に知って欲しかった。
「(でも、やっぱり私の勝手だったかもしれない)」
あんな顔をさせたかった訳じゃないのに。
なんてやり取りをしてから、はや1ヶ月がたった。1日1日の動きは頗るゆったりとしているのに、特別な動きが無い日常が繰り返されると時が過ぎるのはあっという間で、早くに感じる。宝石箱の音色を聞きながら、すっかり日常の一部となった庭の土いじりは、悩みや不安を紛らわせてくれた。
気温も高くなってきたなぁ。もう夏も間近だと僅かに汗ばんだ服をパタパタと扇ぎ、風を素肌に当たらせる。
岡崎さんの手伝いもあって、広いお庭は瑞々しい緑を取り戻しつつあった。池には虫が棲める環境になり、そろそろ鯉なんかも泳がせてもいいかもしれない。並べられた鉢植えには、ぽつぽつと芽が出て来ており、これからの成長が楽しみだ。季節的に暑くなるから乾燥もしやすくなるだろうし、ぼちぼち水をあげる回数を増やした方がいいのかもしれない。
庭園のお手入れで、ずっと同じ体勢でいた為に体が固くなっている。立ち上がり、両腕を上げ、両足にも力を入れて、ぐっと伸びをする。
宝石箱の音色が止まったのと同じタイミングで、こちらに呼び掛ける様な、誰かの中国語が聞こえてきた。キョロキョロと辺りを見渡すと、邸宅を囲む柵の隙間から、年を重ねたお婆さんが顔を覗かせている。こっちこっち! と手招きをされ、私? と自身を指差すと、そうそうあんた! と何度も頷き、さらに、はやくはやくと呼び掛けられる。そろそろと柵に近付き、腰の曲がったお婆さんと視点を合わせるために、私も腰を屈ませる。
このお婆さんには見覚えがあった。というか、ありすぎた。いつも岡崎さんと食材のお買い物に行くお店のお婆さんだ。岡崎さんを見つけると、嬉しそうにしわくちゃの顔を満面の笑みにし、どれだけ混雑していても構うことはなくお仕事を中断させて、岡崎さんのところまでやってきて、背中をバシバシと親しげに接してくる。明るい性格のお方で、お客さんからも慕われていて、いつも誰かしらに話しかけられている。岡崎さんと同じタイプだ。
いつも岡崎さんの後ろに引っ込んで、おふたりの様子を見守っている私は、このお婆さんときちんと言葉を交わしたことはない。ちらちらとこちらを見ては岡崎さんには何か耳打ちし、それに顔を真っ赤にした岡崎さんが必死にお婆さんに何かを訴えているのを見ているばかりだ。けれど、いつもお店を去る前に、私にもわかるゆっくりな中国語で「またおいで」と声をかけてくれるお婆さんだった。
岡崎さんに何か用事があるのかな。あいにくと今はお出かけされてるんだけど。それらを必死になんとか単語を繋げ、簡単な中国を並べて、拙いながらも何とかお伝えする。ま、まさか1ヶ月足らずで実践に駆り出されるとは。聞き取りづらいだろうに、私の言葉を聞き取ってくれたお婆さんは、違う違うと首を振り、ここまでやって来たその理由を話してくれた。なんとか聞き取れた一部の単語に「えっ」と発声したのは私だ。
ジャラジャラと牌をかき混ぜる音がひどく懐かしく感じる。いつかの時期には、正真正銘私にとっての師匠といっても過言ではないひとと毎日触れていたそれは、麻雀だった。
しかして、あのときとは少し状況は異なる。ここは室内ではなく野外だ。いつも岡崎さんと来るお店は、今日はお休みで閉じられ、そのすぐ前に、ご近所さんがわらわらと集まり、盛り上がりを見せている。なんぞやと覗くと、麻雀だった。
鹿部さんやお菊さん、そして女将さんと戯れに遊んだ麻雀は、面子が面子なので、僅かに厳かさがあり緊張もあったが、ここにはそれらが無い。一巡一手に、歓声があちこちから上がる。ギャラリーがとても多く、休日の盛り上がりを見せている。一勝負を終え、あぁ~! と叫びながら、年配の男性が点棒を大量に卓の上に撒き散らす様に皆が笑う。非常にラフだ。
次は俺だ私だと席を交代し、人が入れ替わる。目の前に空いた席へと背中を軽く押され、意図せず、すとんと卓の一席に腰を下ろすこととなってしまった。若者は珍しいのか、おおおとおじさん達が色めき立ち、よしっと目の前に座っていた人は愉快そうに膝を叩いていた。
ちょ、ちょっと待った! 私、ただでさえまともに話せないのに、と私をこの勝負場に連れてきたお婆さんを振り返ると、がんばって! とグッジョブの仕草と共に、中国語でエールを送られる。た、確かに麻雀は出来るって言ったけど。まさか、こんな本場の(ある意味)ガチの場に放り込まれるとは。数合わせだって言ってたから、私はてっきり……。
麻雀をするには人が足りないから参加してくれないかと言われ、私は慌てた。ご老人のお誘いを無下には出来ない。しかし、岡崎さんの留守に、黙ってお家を出ていく訳にもいかない。なので、何度も何度もせっかくのお誘いをごめんなさいと頭を下げて丁重にお断りしたが、とてつもなくしょんぼりしたお婆さんの表情を見て良心が抉られ、結果今に至る。
ここまで来る道のりで、絶対怒られる……と遠い目をしながら歩いていると、有り難くも、隣で私よりもゆっくりに歩くお人に、きゅっと手を繋がれる。目線を下げると、お婆さんが子供のような笑顔でにこにこしながら、私の手を取っていた。暖かくてしわしわの皮膚。その姿と体温、そして感触に、幼い頃おばあちゃんに手を引かれて歩いたことを重ねてしまい、そっと握り返した。
とにかくも、もう牌を全て並べられてしまった以上は何とかするしかない。でも、本当に大丈夫かな。
自分の番が回ってきて、牌を取り、自分の前に並ばせた配牌らを確認する。通例通り、ドラ稼ぎになりそうだなぁ、と考えて、ひとつ選んだ牌を捨てると、隣のおじさんから突然大声で、チー! と叫ばれ、ビックリする。するりと、捨てたての配牌を掠め取られた。そしてチー牌を横隅に並べるその慣れた所作は勢いが良く、ビシン! と鳴った。私の他二人の勝負師達はなんとも無しに、次々と素早く牌を取りそして捨てていく。
圧倒される。そして、ついていけない。早すぎる。明らかに私の番になると時間がかかっているのだが、早くしろと責める声が上がってこないのが救いだった。私は焦っていた。待たせてはいけない。はやく、はやくしなきゃ、とまともに思考を働かせることも出来ず、いつしか考え無しに一巡を終えてしまう。絶対に鳴いた方がいい手も声を出せず、そのまま見送ってしまう。勿論、牌は自分の采配ミスもあり、ボロボロのバラバラ。弱い弱いとからかわれていた女将さんよりも酷い有り様だ。
緊張し、カチコチになって、負け続ける私に流石に勝負にならないと周りも気づき始めたのか、賑わいが衰えていく。あれだけ盛り上がっていたのに。萎えさせている。だめだ、やっぱりだめだ。交代してもらおうと腰を上げようとしたが、ぐ、と何かが私を引き留めた。そして私を元の位置に戻す。
「(逃げちゃだめだ)」
もう少し、落ち着いて、冷静になれ。大丈夫。大丈夫だから。大丈夫。取って食われる訳じゃない。鹿部さんから教わったことをよく思い出せ。数回深呼吸をして、睨み付けていた卓上から、いったん顔を上げる。
あ、人間だと思った。すとんと自分のなかで何かが落ちる。思えば相手はおじさんというだけで、自分と卓を囲んでいるひとがどんな顔を、どんな表情をしているのか、全くわからなかった。ずっと、模様の描かれた物言わぬ小さな四角形に語りかけるだけで。
『そう。相手の思考を読み取ることも重要とし、観察力を要求される。だからこそ、どこのどいつとも知らねぇ野郎を相手取るにも、卓を囲んで、その打ち方を見りゃあ、それだけで、そいつの性格やら人となりが見えてくる。たとえ、言葉が通じない相手であったとしてもな』
一番大事なこと教えてもらったのに、すっかり抜け落ちていた。岡崎さんだけじゃない、こんなとこ見られたら、鹿部さんにも怒られる。
ぼろ負け続きの一荘戦。これがオーラス。既に私だけマイナス点がえげつないことになっている。散々毟られ、良いカモになった結果だ。ここからの逆転は難しい。私以外の打ち手は、鹿部さん程でなくても、かなり打ち慣れている。けれど、鹿部さんから学んだことを無に帰したくない。一矢だけでも報いたい。
新たに並べられた牌列と視界内に収まる三人を見据える。それから彼らの捨て牌を、打ち方を改めてよく観察し、そして自分の手牌を見つめる。
どくりと心臓が鳴る。まさか、こんな偶然ってあるのか。
そこには私が幾度も睨み続けていた牌列の並び、師から与えられた、詰め麻雀の課題と同じ状況のそれがあった。期限内に終わらせることが出来ず、自らで答えを導きなさいと持ち越されたもの。私の番なのに、牌に手をかけたまま、いつまでも経っても動かない私に、周囲がどうしたどうした、とざわつき始めるのがわかる。
何を切るのが正解なのか、と思考を巡らせる。黙りこくっているなか、聞き慣れた声が私の耳に入ってきた。
「志紀?」
卓を囲むギャラリーの間を掻き分けて、最前列までやってきたのは岡崎さんだった。え? なんで? こんなとこでなにしてんの? と言いたげな顔をしている岡崎さんを見上げる。
そうか、と腑に落ちた。
過去、私の思考を散々悩ませ続けたそれの回答を見つけた。鹿部さんが私に、何を教えようとしていたのかも。
とりあえず新しく手に取った牌をそのまま切り、そのタイミングを待った。捨牌から推測すると、誰か、誰か持っている筈だ。
その時が来るのを我慢強く待ち続け、隣の人が捨てた牌を目視で捉え、今まで喉の奥に引っ込めていたものを吐き出した。
「槓」
あえっ? と、突然に私に牌を取られたおじさんが素っ頓狂な声を上げる。その反応に、へら、と下手くそに笑って見せると、いよいよ本領発揮というヤツかいと言う様に、おじさんはにんまりと笑って、威勢の良い声を上げて気合いを入れ直していた。
俯いているだけじゃ、見えないものがある。どれだけ辛くても、目の前にあるものと向き合わねばならないときがくる。それは私にも、そして岡崎さんにも。
私を誘ってくれたお婆さんと、楽しい一時を一緒に過ごしてくれた人達に見送られ、ぺこりと頭を下げてから、岡崎さんの少し後ろを歩き二人で帰路につく。すっかり夕方になって、烏がカァカァと鳴いている。今からお説教かなぁと身を縮みこませていると、上から降ってきたのは、予想外にも感嘆だった。
「意外だよな」
「はい?」
「麻雀」
出来るんだ、と本当に心から驚いているということがわかる声色の岡崎さんの呟きに「おんなじこと、言われたことあります」と答えた。
「でも、あそこまで打てるとは思ってなかったわ。お前強いんだな」
「い、いやぁ。まさか。たまたまですよ。実際、岡崎さんが来るまでは、もんのすごいボロボロだったし……」
「らしいな。でも、見てるこっちの方が興奮する快進撃だったじゃねぇか。映画化も辞さないって言いたくなる感じの。ギャラリーも、ハリウッドかよって位の大盛り上がりだったし。カモだカモだって舐めてかかってたら、最後に本性見せたラスボスみたいになってたぞ」
「もう、あんなのはあれっきりです。一生分の麻雀運を使いきりました」
鹿部さんの言っていた通りだ。どれだけ負けていても、諦めない限り、逆転の可能性はいくらでもあるって本当なんだな。まさか、こんな形で実感する日がくるとは思いもしなかったけれど。
あの鳴きをしたあと、所謂ツキというものが私に回ってきたらしい。それも特大のツキが。揃いに揃った牌達は面白い位に、なにこれ、ここまで? とちょっと怖くなる高い点数の役を作れと導き続けた。そして、それは特定の相手を狙ったものではなく、三人まとめて一気に点数を搾り取る上がりばかりだった。マイナスがあっという間にプラス点に切り替わり、みるみるうちに膨れ上がっていく点差。
一位なんて取ったの、初めてだ。いっぱいの点棒を差し出すおじさん達はまさに下克上を食らっていたと岡崎さんは語る。
「し、失礼な。皆さん、それでも笑ってらしたじゃないですか」
「そりゃあ、あんなモンぶちかまされたら笑うしかねぇだろうよ。いいんじゃね。良いもん見れたって全員喜んでたじゃねぇか。沸き立った連中に囲まれてるお前、引っ張り出すのどんだけ苦労したか」
「あ、あはは」
「けど、よく面と向かえたな。根はいいオッサン共でも、言動も粗暴で強面揃いだったし」
「最初は怖かったです。ビビり倒してたし。でも、終わってみると楽しかったです」
「そっか」
「はい。いい経験になりました。それにちょっとだけ、聞き取ることが出来る様になった気もします」
「そりゃあ良かった。実践に敵うもんなんざねぇからな」
「岡崎さん」
「んー?」
「黙って出ていってごめんなさい」
「いいよ。話は聞いたし。あの婆さんに押し掛けられたんだろ。俺でも丸め込まれることあるのに、お前が言い負かせる訳ねぇもんな」
「えっ、岡崎さんが口で負けるんですか?」
「おーおー。年の功には敵わねぇわ。あぁ言えばこう言うの頂点だよあれは」
「はは。確かに、どこに行っても、おばあちゃんって強いですよね。口で勝てる気はしないや」
「本当だよ。さっきも別れ際にもぶちかましやがって、ひとのことからかって遊んでんだよ」
「岡崎さん、いつも、あのお婆さんの前だとあたふたしてますよね。何言われてるんですか」
「ひ、ひみつ」
「えー」
「お前も年食ってしわくちゃの婆さんになったら、ああなんのかね」
「さぁ、どうでしょうね」
「楽しみだな」
ぽつりと呟かれた最後のことばに、岡崎さんを見上げる。夕焼けに照らされた横顔、うっすらと浮かぶ笑みは穏やかだ。ほんのりと朱色に染まった灰色の髪は綺麗だなと思う。きゅと唇を結び、私も行く先で沈みつつある夕日を見据えて歩き続ける。
「岡崎さんは」
「んー?」
「麻雀お好きですか?」
「いんや、あんまり」
「ええ。それこそ意外。好きそうなのに」
「やらねえって訳じゃあねぇよ。昔は小金稼ぎに、よく賭け麻雀とかしてたし。ただまぁ、さっきのみたいに、和気藹々と出来る面子じゃあなかったからなぁ。あっちも有り金掛けてる訳だし」
「か、賭け……。鹿部さんも、昔はそうだったって言ってましたね」
「やっぱり? なんとなくそうじゃねぇかって気してたわ。あのオッサン、いかにも雀ゴロって感じするもんな」
「は、はぁ」
「好きか嫌いかで言やぁ、そんなに好きじゃねぇ。まともにはやり合いたくはねぇな。俺、普通にやったらツキが来なくて弱いから、カモられて面白くない」
「ん? 普通に、やったら?」
「おっと口が滑った」
「岡崎さん……」
「い、いやまぁ、これも食ってく為には必要な能力だったってことだよ! まともに遊ぶってときにゃしねぇって。信用無くすし!」
「なら、いいですけど」
「……あとさぁ、さっきから、何で隣歩かねぇの?」
「え?」
「ちょっと離れて、ちょこょこ歩くのはなに。歩くのはやい?」
「雛みたいでしょ」
「いや、どっちかってーとピ●ミンっぽい」
「それじゃあ、いつかチャ●ピーに食べられちゃいますね」
「ばあか、そうならないように、ちゃんとついてこいよ」
くい、と顎で隣を歩けと示されても、やっぱり私はそれに気づかないふりをした。岡崎さんの隣は、歩かなかった。自分からは、いけなかった。
中々隣にやってこない私に、岡崎さんは前を向いたままで後ろに手を伸ばし、知らん振りをしていた私の右手を的確にとらえた。並ばないまでも手を引かれる形になる。はたから見たら、今の私達は仲睦まじく見えるのだろう。
「(いいお父さんになれる)」
例え親からの愛情を知らなくても、岡崎さんなら、きっと。
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