種の期限

ながい としゆき

文字の大きさ
上 下
3 / 23
一日目

しおりを挟む
 こうして地球の再生方法が決定された。次の課題はどのようにして各種族に伝えるかだ。
 特に問題なのは人間達である。現在の地上では、超がつくほどのリアリズムが社会の主流となっており、スピリチュアルとオカルトが混同し、敬遠もしくは拒否される傾向にある。宗教に対しても、近年では怪しい新興宗教団体や教義を過激化したテロ組織が乱立して社会を混乱させているため、神々とつながりのある者達までもが色眼鏡で見られてしまい、社会的な信用が弱くなっているのが現状である。
 悪魔達の狡猾な所業に神々もなすすべがない。
「まず国が動かないことには・・・」
「ただ知らせるだけでは、世の中がますます混乱してしまうぞ」
地上からも仲間達の声が次々に届いているため、神々の心に高次エネルギーを持つ魂達の苦戦がリアルに伝わってきている。
「まずは国の中心に近い者の元に、私の息子達や過去の預言者達を送り、各国の首脳に伝えるよう促そう」
天地創造の神の提案にも神々の不安は簡単に拭うことができなかった。
「見えるものしか信じない者達が、我々の言葉を果たしてどこまで理解することができるだろうか」
「彼らの起こす奇跡を見てもまだ信じないだろうか。それほどまでに人間達は心を曇らせてしまったのだろうか」
「そうでないことを願いたいが・・・」
 人間の心が現実を直視しすぎるあまり、神々から離れてしまっていることが大きな壁となって立ち塞がってしまう。
「それでは、国の中枢が動かない時や動きが鈍い時は、それぞれの聖地や教会・寺院などのゆかりのある地に送り、民にも知らせることにしよう」
 それでも、どれだけの人間達が耳を傾けるかは神々をもってしても依然として未知数であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

長く短い真夏の殺意

神原オホカミ【書籍発売中】
SF
人間を襲わないはずのロボットによる殺人事件。その犯行の動機と真実―― とある真夏の昼下がり、惨殺された男性の死体が見つかった。 犯人は、人間を襲わないはずの執事型ロボット。 その犯行の動機と真実とは……? ◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。 ◆無断転写や内容の模倣はご遠慮ください。 ◆文章をAI学習に使うことは絶対にしないでください。 ◆アルファポリスさん/エブリスタさん/カクヨムさん/なろうさんで掲載してます。 〇構想執筆:2020年、改稿投稿:2024年

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

太陽の花が咲き誇る季節に。

陽奈。
SF
日本が誇る電波塔《東京スカイツリー》 それは人々の生活に放送として深く関わっていた。 平和に見える毎日。そんなある日事件は起こる。 無差別に破壊される江都東京。 運命を惑わされた少女の戦いが始まろうとしている。

エスカレーター・ガール

転生新語
SF
 永遠不変の一八才である、スーパーヒロインの私は、決戦の直前を二十代半ばの恋人と過ごしている。  戦うのは私、一人。負ければ地球は壊滅するだろう。ま、安心してよ私は勝つから。それが私、エスカレーター・ガールだ!  カクヨム、小説家になろうに投稿しています。  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330660868319317  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5833ii/

170≧の生命の歴史

輪島ライ
SF
「私、身長が170センチない人とはお付き合いしたくないんです。」 そう言われて交際を断られた男の屈辱から、新たな生命の歴史が始まる。 ※この作品は「小説家になろう」「アルファポリス」「カクヨム」「エブリスタ」に投稿しています。

No.5 トウトリノス

羽上帆樽
SF
別れると、出会い 仮想空間も、物語も、形式的にはすべて終わった。しかし、始まりが明確でない以上、終わりもまた明確でない。円周上にいるとき、向かい側は常に見える。

日本昔話村

たらこ飴
SF
 オカルトマニアの唐沢傑は、ある日偶然元クラスメイトの権田幻之介と再会する。権田に家まで送ってくれと頼まれた唐沢は嫌々承諾するが、持ち前の方向音痴が炸裂し道に迷ってしまう。二人が迷い込んだところは、地図にはない場所ーーまるで日本昔話に出てくるような寂れた農村だった。  両親が若い頃に体験したことを元にして書いた話です。

処理中です...