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許さない
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ガシャンと背中が鉄格子のに当たる音が響く。怒りのこもる、力任せに葵の首を絞めつけた。彼の細い首はミシミシと音を立て、亮介を掴んでいた手は段々と力をなくしていく。
「やめ…」辛うじて出た声で葵は残った力で亮介を睨んでいった。段々と葵の顔が赤くなっていく。
「やめて」佳代子も亮介の腕を掴み引き離そうとした。だが、女の力では亮介に叶うはずがなく蹴飛ばされた。「安心しろ。こいつが終わったら愛してやるから」ニヤリと笑った。佳代子は涙を流して首を振った。
「そこまでだ!」と声がし、黒井が現れた。鉄格子の南京錠を開けたのだった。黒井は亮介の後ろから彼をなぎ倒しすぐさま葵は解放され、佳代子は愛する人の元へ駆け寄った。よろよろと葵は腰を下ろした。
「…大丈夫…」器官にどっと空気が流れ込み咽ながら答える葵にホッとし、抱きついた。幸せそうな二人を見て安心しながら小山が亮介の上に跨った。「遅くなってごめんな。あれ中々開かなくて、ピッキングしても難しかったんだ」黒井は葵の傍にしゃがんでそう言っては笑った。朦朧とした表情で笑う葵は身体の力が抜け立つのも困難だった。もう少し自分が強ければこんなことにならなかったはずなのにと自分を責めてしまう。
「…ありがとう」
彼は力のない表情でにこりと笑った。
「やめ…」辛うじて出た声で葵は残った力で亮介を睨んでいった。段々と葵の顔が赤くなっていく。
「やめて」佳代子も亮介の腕を掴み引き離そうとした。だが、女の力では亮介に叶うはずがなく蹴飛ばされた。「安心しろ。こいつが終わったら愛してやるから」ニヤリと笑った。佳代子は涙を流して首を振った。
「そこまでだ!」と声がし、黒井が現れた。鉄格子の南京錠を開けたのだった。黒井は亮介の後ろから彼をなぎ倒しすぐさま葵は解放され、佳代子は愛する人の元へ駆け寄った。よろよろと葵は腰を下ろした。
「…大丈夫…」器官にどっと空気が流れ込み咽ながら答える葵にホッとし、抱きついた。幸せそうな二人を見て安心しながら小山が亮介の上に跨った。「遅くなってごめんな。あれ中々開かなくて、ピッキングしても難しかったんだ」黒井は葵の傍にしゃがんでそう言っては笑った。朦朧とした表情で笑う葵は身体の力が抜け立つのも困難だった。もう少し自分が強ければこんなことにならなかったはずなのにと自分を責めてしまう。
「…ありがとう」
彼は力のない表情でにこりと笑った。
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