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ぶっ壊してやる

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 目を覚ますとどこにいるのか全く分からなかった。体の振動や音から車の中にいることがわかる。だが、手足を拘束され目隠し、口枷をされ身動きの取れない佳代子はどこへ連れていかれるのかという恐怖で身体が硬直していた。

「気づいたか」

聞き覚えのある声がし、その主の声に耳を傾けた。目隠しを外され隣に座る人物を横目に見れば亮介だった。目を見開き、後ろ手に拘束された手を解こうとした。

「そんな握りしめて握りしめて怯えるなよ。なぜあいつと別れない?それに結婚しただと?ふざけるな。君はキレイだ。ウエディングドレスも似合っている。今日俺のために着てくれたのか?」

フッと笑いながら彼は言った。車の中は二人きり。運転しているのは亮介だった。

「何か話したいことがあれば話せ。もうあれからかなり遠いところまできたぜ。もう君を追って来る者はいないな」そう言って口枷を外した。

「帰して」佳代子は隣に座る男を睨みつけた。

「なぜあんな奴と復縁したんだ。俺は待っていた。あいつの正体をばらしたのは俺だぞ。それに二度と俺に対抗するなよ」そう言って亮介は車のスピードを上げた。高速道路でもない一般道でいつどこで事故るかわからない恐怖が佳代子を襲う。亮介は笑っていた。

「一緒にどこかで死ぬか?それもありだな」奇妙な笑い声が車両の中を包み込んだ。

「わかった!言うこと聞くから…」車両をぬって爆走するのを止めたくて佳代子はそう叫んだ。口元をにやつかせ、亮介はスピードを緩めた。やがて車がたどり着いた場所は一軒家だった。
「え?」驚いた顔を見せる佳代子に
「俺たちの家だよ」と言った。
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