復讐するならストーカーの彼とともにやり遂げましょう。憎しみの連鎖にはお気をつけて

正体

「来たね」現れたのは佳代子の前の彼氏だった。

「亮介…」佳代子の顔を見て気まずいのか北川の方しか見ない。

「何の用だ？俺は忙しいんだ。話なら手短にしてもらいたいね」ドカッと椅子に座ると怒った口調で、板倉は言った。

「じゃあ、手短に話すよ」

と北川はにこりと笑って言った。様々な証拠品と見える写真を机の上に並べた。佳代子と亮介は前のめりになってそれらを覗き込んだ。佳代子のマンションの陰に写る人物はどう見ても亮介だった。

「どこでお前…」

驚いた口調で亮介は言った。その表情を見て北川はにやりと笑った。

「僕は何でもお見通しだよ。あんたの行動、別れた後でも近くをウロウロしていたようだね」

「ち…違うんだ。それには訳があって…」

おどおどした表情と声で亮介は言った。佳代子はまさかこの人物がと顔を青ざめた。表情が笑っているのは北川だけだった。

「訳？よりを戻したいとかそういうこと？」

「…」

「前にも言ったよね？君とは終わってんだ。僕たちの邪魔はしないでほしいな」

「…」ちらりと亮介は佳代子のほうを見た。佳代子の目は鋭く睨みつけていた。パッと視線をそらし、亮介は「わかった」と言ってその場からあっさり離れていった。