9 / 42
葵
しおりを挟む
3人が住むマンションの一室で葵は大声を上げた。
「それはほんとか?」
夕飯を食べていた黒井は頷いた。
「たまたま会っただけだよ。あの女は使えるだろう」
葵は何か考える素振りを見せた。あの女と言えば結構男好きとしても有名だ。散々いろんな男を掻っ攫って、カップルを壊して回ったりする女。別にその男が好きという訳でもなくただ別れさせてそれで満足するといった奴なんだそうだ。
「何とか、いい流れにさせるために仕掛けてみるか」
黒井は何かを企んでいるのは明らかだ。だが、そんなことしていいのか。それであの子を手に入れられてもその女はどう動くのだろうか。まさか自分たちの邪魔までするのか。葵はそんな不安に駆られた。
「亮介はあの子と喧嘩したことがある。それに、彼女を最近見かけたんだ…」
頭を押さえていた葵はぽつりとそんなことを言いだした。亮介というあの髭の男と喧嘩別れすればいい。過去のことを穿り返して、葵自身が録音したものを匿名であの子に送り、そこから喧嘩に発展すればいいじゃないか。卑怯かもしれないけれど、自分自身が手を汚すことなく事実を伝えただけなのだから。周りは他にいろんなことをやっているはず。自分の方が手緩い方法だろう。
「なにがあった?」と黒井達が前かがみになると
「さっきも言ったろ?浮気を疑われたとかなんとか…」小さな声で言う葵に小山は「それだ!」と大声を上げた。
「さらに決定的なものを作るんだよ。でっち上げたっていい。板倉のことを好きだと言い出す奴がいたら格好の餌食だ」
「ちょ…お前ら何考えてんだよ…」
慌てた口調で言う葵に小山はいいからと確信付いたような顔をして見せた。本当にそれでいいのだろうかという不安はすぐに吹っ飛び、三人の計画は夜の暗い時間まで続き、彼らの笑い声はやまなかった。
「じゃあ、かけてみっか」
と小山は楽しそうに言い出し、板倉亮介に電話をかけた。黒井がご飯行きたそうにしていると自分はいかない雰囲気を醸し出し、隣に座っていた黒井は驚いていた。それを見た葵は笑いをこらえるのに必死だった。
「それはほんとか?」
夕飯を食べていた黒井は頷いた。
「たまたま会っただけだよ。あの女は使えるだろう」
葵は何か考える素振りを見せた。あの女と言えば結構男好きとしても有名だ。散々いろんな男を掻っ攫って、カップルを壊して回ったりする女。別にその男が好きという訳でもなくただ別れさせてそれで満足するといった奴なんだそうだ。
「何とか、いい流れにさせるために仕掛けてみるか」
黒井は何かを企んでいるのは明らかだ。だが、そんなことしていいのか。それであの子を手に入れられてもその女はどう動くのだろうか。まさか自分たちの邪魔までするのか。葵はそんな不安に駆られた。
「亮介はあの子と喧嘩したことがある。それに、彼女を最近見かけたんだ…」
頭を押さえていた葵はぽつりとそんなことを言いだした。亮介というあの髭の男と喧嘩別れすればいい。過去のことを穿り返して、葵自身が録音したものを匿名であの子に送り、そこから喧嘩に発展すればいいじゃないか。卑怯かもしれないけれど、自分自身が手を汚すことなく事実を伝えただけなのだから。周りは他にいろんなことをやっているはず。自分の方が手緩い方法だろう。
「なにがあった?」と黒井達が前かがみになると
「さっきも言ったろ?浮気を疑われたとかなんとか…」小さな声で言う葵に小山は「それだ!」と大声を上げた。
「さらに決定的なものを作るんだよ。でっち上げたっていい。板倉のことを好きだと言い出す奴がいたら格好の餌食だ」
「ちょ…お前ら何考えてんだよ…」
慌てた口調で言う葵に小山はいいからと確信付いたような顔をして見せた。本当にそれでいいのだろうかという不安はすぐに吹っ飛び、三人の計画は夜の暗い時間まで続き、彼らの笑い声はやまなかった。
「じゃあ、かけてみっか」
と小山は楽しそうに言い出し、板倉亮介に電話をかけた。黒井がご飯行きたそうにしていると自分はいかない雰囲気を醸し出し、隣に座っていた黒井は驚いていた。それを見た葵は笑いをこらえるのに必死だった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる