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伊藤珠希 5
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夏祭り当日
私は早く着すぎてしまった。
「よ」
と紺色の浴衣を着た連くんが私に気づき隣に立った。
「他は?」
私はまだと首を振った。
「そっか」
何か話そうかと思うけれどなにも出てこない。私は巾着の紐を握りしめ、下を向いていた。
何か着信音が鳴り、連くんは持っていたスマホを耳に当てた。
電話を切り、連くんは私に
「なんか向こうは合流して先に行ってるって」
「そうなのね」
「俺たちも行こうか」
と言ってきた。そっと光るスマホを見ると
「がんばって」
と碧ちゃんから来ていた。
祭りは人が多く迷子になりそうだった。先を歩く連くんの後ろを付いている私は自分だけが舞い上がっているみたいでばかばかしく思えた。
「迷子になるなよ」
といくらか人がひいた所で連くんは手を差し出してきた。
「え?」
とした顔をしていると、
「嫌ならいいけど」
と手を下ろしそうになった。私は慌ててその手を握り、隣を歩いた。近くで見たのは何回もあるけど一番ドキドキした。
それからお祭りを楽しみ、最後の花火まで私達は一緒にいた。
私は帰り際に連くんに告白した。ずっと言おうか悩んでいたけれど、モヤモヤするくらいならと思い切っていってみることにした。
彼は片手を顔に当て
「ありがとう」
と言った。
「嬉しいよ、よろしくな」
とにこっと笑って連くんはそう答えた。
私は早く着すぎてしまった。
「よ」
と紺色の浴衣を着た連くんが私に気づき隣に立った。
「他は?」
私はまだと首を振った。
「そっか」
何か話そうかと思うけれどなにも出てこない。私は巾着の紐を握りしめ、下を向いていた。
何か着信音が鳴り、連くんは持っていたスマホを耳に当てた。
電話を切り、連くんは私に
「なんか向こうは合流して先に行ってるって」
「そうなのね」
「俺たちも行こうか」
と言ってきた。そっと光るスマホを見ると
「がんばって」
と碧ちゃんから来ていた。
祭りは人が多く迷子になりそうだった。先を歩く連くんの後ろを付いている私は自分だけが舞い上がっているみたいでばかばかしく思えた。
「迷子になるなよ」
といくらか人がひいた所で連くんは手を差し出してきた。
「え?」
とした顔をしていると、
「嫌ならいいけど」
と手を下ろしそうになった。私は慌ててその手を握り、隣を歩いた。近くで見たのは何回もあるけど一番ドキドキした。
それからお祭りを楽しみ、最後の花火まで私達は一緒にいた。
私は帰り際に連くんに告白した。ずっと言おうか悩んでいたけれど、モヤモヤするくらいならと思い切っていってみることにした。
彼は片手を顔に当て
「ありがとう」
と言った。
「嬉しいよ、よろしくな」
とにこっと笑って連くんはそう答えた。
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