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古川蓮 2

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 そして春、俺は歩いて校門に向かうと後ろから「よ!」と飛んできたやつがいた。

そいつは中学の同じ部だったやつであのパワフルな男だった。名は竹林洸太。クラスも同じだった。

「蓮、お前もサッカー部に入るか?」

「あ~」

俺はやめとくと断ろうとしたが、洸太は俺の手を引き、走った。

「ちょ…お前どこ行くんだよ…」

たどり着いたところはサッカー場だった。先輩たちが場内を走り回っている。

「だから俺はやらないって」

そう言ったが「またまた~、興味がないふりをして」と笑っている。

「じゃあ、蓮は何部に入るんだ?」

「のんびりと文化部でいいよ」

「サッカー出来るのに?」

もったいない、それにお前はおじいちゃんかよ。という表情をされた。

 お前が興味を持ったところに俺も入るわとなぜか洸太もついてきた。吹奏楽、美術、英語に演劇色んな所を回ってきたがどれも興味がわかなかった。

「これで決まんなかったらマジでサッカーやろうぜ」

隣を歩く洸太はずっとそう言っていた。夏に汗ダラダラ掻きながら走るのはカッコ悪いだろとどうでもいいことを言いながら校内歩き回った。

「…それにしてもさ~、お前気づいてないのか?」

校内マップを見ながら歩く俺に洸太は言った。

「なにが?」

「さっきから女子の視線だよ」

「は?」

「…やっぱりか。まあ、蓮のそのそっけない態度も悪くないな」

「言ってる意味が分かんないんだけど」

「周りの女子、お前見てキャーキャー言ってるぜ。お前はやっぱり気づかないか。なんでそんな鈍感なんかな~」

「気のせいじゃないか?」

「んなわけあるか!」と大きな手で俺の頭を叩いた。

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