人間不信になったお嬢様

園田美栞

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気づいちゃった

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訪問客は彰宏だった。鈴木の言葉に目を丸くしているとドアの向こうから誰かの声が聞こえた。
「お待ちください。まだお嬢様の指示が…」
パタパタと足音が聞こえたかと思うとドアが開いた。
「彰宏さん…」
驚いた顔のまま紗紀子は彼の名を言った。
「あ…」
紗紀子が客の相手しているのを気づかなかったのかかぁっと顔が赤くなった。
「すみません。無礼なことを…」
彰宏がそう誤り、紗紀子は慌てて立ち上がった。一部始終を見ていた朋子はすくっと立ち上がると
「よろしくてよ、私もそろそろお暇しようと思っていたところなの」
と言ってドアノブを捻った。

 「あの方、貴女の思い人なの?」
と玄関で見送る紗紀子に朋子は聞いた。紗紀子の顔が真っ赤に染まり思わず両手を覆ってしまった。
「そ…そんなことないわ」
それを見てクスリと笑った朋子は
「貴女も可愛いところあるのね。冷たい人だと思っていたわ。…じゃあね、あとで情報はまた送るわ」
と言ってヒラヒラと手を振り去って行った。
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