人間不信になったお嬢様

園田美栞

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真紀子は私の友人

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そんな時
「久しぶり」と声が聞こえてきた。
 紗紀子の前にやってきたのは結城真紀子だった。真紀子と紗紀子は幼馴染だった。結城家とは親同士も仲が良く、昔から瑠奈という女の子と共に三人で遊んでいた。真紀子は見た目も外見もさばさばしたような人で、強気な子で今日のパーティーでは黒色のドレスを着ている。真紀子はにこっと笑って紗紀子にシャンパングラスを手渡した。それを受け取ってグラスに口をつけた彼女を見て微笑んで
「よかった、紗紀子ちゃん元気そうで。この頃忙しくてなかなか会えなかったの。今日は楽しみましょう」
と言った。どんよりしていた気持ちが真紀子の顔を見た途端パッと晴れた。このシャンパンがおいしく感じる。
「今日、来ないって思ってた。あれがあったから」
真紀子のその言葉に思わず泣きたくなってしまう。
「瑠奈ったら酷いな、結局自分のことしか考えてなかったんだね」
「悪いのは私なんだもの。瑠奈ちゃんの気持ち全く知らなかった…」
俯いて言う紗紀子に呆れた風にため息をついて言った。
「貴女が引き下がったらダメじゃない。でもおかげで相手も酷い男だって分かっただけでもいいじゃない?このままずるずる引き摺ってても貴女は泣いてしまうもの。私はそんなの見たくない」
コクンと頷いた紗紀子の気持ちに同調しながらにこりと笑った。

 竹田瑠奈は紗紀子たちとは違い、辻倉家のお手伝いとして実家のために生計を立てていた。実家に母や妹たちを残してこの屋敷にやった彼女は紗紀子と同い年ということもあり仲良くなった。丸顔で大きな瞳は可愛かったのを覚えている。
「瑠奈ちゃんね」
笑顔で出迎えた紗紀子は目の前に立つ見たことのないくたびれた恰好をした5歳の女の子を可哀そうに思った。すぐに彼女の手を引き自分の部屋に招き入れ、要らなくなった着物を着せたり、ほかの召使に頼んで彼女の髪を綺麗にしてみたりしていた。目の前の鏡に映る自分の姿を見て驚いた表情を見せた。可愛くて大きな目がさらに大きくなった瑠奈を見て紗紀子は「成功ね」と嬉しくなった。
 そんな二人を真紀子はあまり快く思ってなかった。
(所詮庶民なんでしょ?)
瑠奈が自分たちと同等に遊ぶことが納得いかなかった。だけど大好きな一番の親友の紗紀子が楽しそうにしていればそれでいいとも思っていた。
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