ホスト異世界へ行く

REON

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第一章 ホストと勇者達

綺麗なお兄さん(白魔術師 リサ)

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昨日の朝、私は学校へ急いでいた。

「遅れちゃう!」

と言っても授業じゃなくて部活の朝練に。
前日の深夜まで友達とグループトークで盛り上がってしまい、朝ハッと目が覚めた時にはもう普段なら朝食を摂っている時間だった。

私が所属しているのはバスケ部……のマネージャー。
残念なことに身長の低い私は、それなりに強豪校の選手にはなれなかった。

でもマネージャーの仕事に不満はない。
頑張るみんなのために私にもできることがあるのは嬉しい。
グループトークで盛り上がってたのもバスケ部の友達だった。

「みんな寝坊しないで起きられたかなぁ」

走りながら独り言を言う私のスクールバッグの中では、普段から持ち歩いている救急セットがカタカタ音を鳴らしていた。

「ギリセー……え?」

学校はもう目の前。
間に合ったと思った瞬間、地面がグニャリと歪んだ。

「よくぞ参られた。伝説の勇者よ」

……はい?
おじさん誰?

ここはどこ?
つい今まで目の前に見えてた学校は?
なに?え?夢?

怖い。なにこれ。
夢だよね?こんなの現実のはずないよね?
夢なら早くさめて。怖いよ。

「異世界召喚」

え?

『異世界召喚!?』

そんなゲームの世界じゃあるま……あれ?
このお兄さんいつから居たの?
いま気付いたんだけど。

あれ?よく見ればお兄さん以外にも居る。
中学生?高校生?の男子と、スーツを着たお姉さん。
あ、転んで起き上がった時みたいな体勢のお兄さんも居た。

え、え。
ちょっと待って。
鎧を着た人が沢山居るけど、どこの国の人?

「どうぞ勇者になってこの世界をお救いください」

はい?
そんなの

「なりたくない( ˙-˙ )スンッ」
『ェェエエ工!?』

言ったー!
綺麗なお兄さんハッキリ言ったー!
なんか偉いっぽい人に躊躇なく言ったー!

綺麗なお兄さんも日本人……だよね?
銀色の髪と銀色の目って凄いなぁ。
似合ってるけど。

分からないけど綺麗なお兄さんがどうにかしてくれそう。
誰かと待ち合わせしてるなら早く帰らなきゃだよね。
私も朝練に遅れちゃうから早く帰りたい。

「……ホストですか?」
「正解。真(シン)と申します。日常に刺激が欲しくなった時には是非」

えー!
綺麗なお兄さんホストなの!?
言われてみれば漫画のキャラに居そうだけど、でもホストって言うと……女の人を騙してお金を稼いでる人だよね?

女の人に沢山お金を遣わせて、お金がなくなったら風俗で働かせて、最後はクス〇漬けにして海外に……怖ぁぁ!ホスト嫌ぁぁ!女を弄ぶなんて最低!

なんか偉いっぽい人にステータスを見せるよう言われて早く帰りたいと思いながら言われた通りにすると、目の前にノートパソコンくらいのサイズの画面が出てきた。

え、なにこれ。
どうなってるの?
ゲームのパラメータみたいなのが書いてあるけど。

特殊恩恵ってものを聞かれて確認すると

《特殊恩恵》
白魔術師
勇者一行

と書かれていた。

これを教えたらもう良いんだよね?
帰らせてくれるんだよね?
どうやって来たのかも分からないけど。

「わ、私は白魔術師と勇者一行です」

私の前に言った男子とお姉さんも勇者一行って言ってた。
白魔術師って言うのがわからないけど、二人と一緒だから大丈夫だよね?

「えっと俺のは……ん?勇者しか書いてない」
「貴殿が勇者!魔王を討伐して世界をお救いください!」

え?眼鏡のお兄さんが勇者?
え?綺麗なお兄さんが勇者じゃないの?
あれ?なんで私そう思ったんだろう。

「プラチナブロンドの方の特殊恩恵をお聞きしても?」
「俺?遊び人」
「遊び、はい?」
「遊び人って書いてある」

(<●>_<●>)!!
綺麗なお兄さんは〝遊び人〟。
……やっぱり最低。

「ホストで遊び人……そのままですね」
「心外だなぁ。よし、五年後大人になってから会おうか。その頃には俺みたいな男が必要になってるかもよ?」

軽っ。
五年後どころか今この瞬間にも会いたくなかったよ。
女を騙して泣かせる男なんて最低。

ああもう。
それより早く帰らせて。
夢なら早くさめて。
朝練に遅れ

「……まさか帰れない?」

……え?おじさん頷いた?
帰れないの?
え?意味が分からないんだけど。

だって私たち何も関係ない。
聞かれもしなかったのに召喚?されて、もう帰れない?

ヤダよ帰れないなんて。
お父さんお母さん助けて。怖いよ。
誰か助け……

「よし分かった。俺たちを召喚したのは誰だ」
「そこの王宮魔導師たちが召喚の儀を」
「全員並べ。一発ずつ殴らせろ」

お兄さん綺麗。
女を弄ぶ最低な人のはずなのに綺麗。
え、いや、ちょっと待って!

「遊び人ホスト!駄目だから!」

行っちゃ駄目!
喧嘩して怪我したらどうするの!
私の救急セットは病院みたいに充実してないんだからね!

「気持ちは分かるけど落ち着け遊び人ホスト!」
「遊び人ホストでも大人なんですから堪えてください!」
「国際問題になったらどうするの!もう女の子誑かして遊んでる場合じゃなくなるのよ!?」

待って待って!
なんでこんなに力が強いの!?
四人がかりでも止められないって怪獣か何か!?

「まあ良いや( ˙-˙ )スンッ」

……止まっ……た?
恐る恐る顔を見上げると、遊び人ホストの表情から怒りが消えていて安心した。

ホッとしたのも束の間、遊び人ホストは偉いっぽいおじさんの前に行ってスッと手を出す。

「おっさん。お手あてちょうだい」
「ん?お手あてとは?」
「俺この世界でおっさんのヒモになる」
『ェェエエ工!?』

(<●>_<●>)!?
ヒモってこんな風になるものなの?
働かない男の人が女の人の家に転がりこんで養って貰うのがヒモじゃないの?

遊び人ホスト……。
考えも行動もぶっ飛んでて私にはついていけない。
むしろ遊び人ホストは異世界の人って言われた方が「でしょうね」って納得できる気がする。

戻れないって知って怖かったのにこの人の所為で薄れた。
誰よりも何よりもこの人が一番危なっかしい。





「あの二人……デキてる!?」

出店を満喫してから先に休憩をしているシンとサクラさんの所へ戻ろうと思ったら、二人で仲良くベンチに座ってて戻り難い雰囲気。

「いや。そういうのじゃないと思う」
「え?」

苦笑したヒカルに首を傾げ、リクにも苦笑される。
そういうのってどういうの??
……ああ……そういうことか。

「もう少し出店を見ようかな」
「うん」
「そうしましょう」

サクラさんは大人だから動じてないように見えてたけど、そんなはずがないよね。
この国の都合で異世界に召喚されてなにも思わない訳じゃないし、大人だからこそ我慢してたこともあったんだろう。

私たちには言えないことでもあの人には話せる。
話せると言うか、つい話したくなってしまう。
私も昨晩そうだったから分かる。

話したあとは元気になってくれると良いな。





昨日ギルドへ食事に行ったあと遊び人ホストは騎士団の副団長さんと宿舎に戻って、ヒカルとサクラさんと私は騎士団の団長さんに付き添われて勇者宿舎に戻った。

同じ宿舎だけど部屋はみんな別々。
酔って寝ていたヒカルのことは団長さんが部屋まで抱えて行ってくれて、サクラさんと私も自分の部屋に行った。

そのあとは討伐が終わるまで私の身の回りのお世話をしてくれるらしいお姉さんが来て、宿舎での生活に関することやこの国のことを長々と説明された。

長々と聞かされたあとはお風呂。
部屋にお風呂があるんだけど、服を脱ぐのも髪や体を洗うのも拭くのでさえも全部お姉さんがやろうとしてきて、その都度自分でできるから良いと断るのが疲れてしまった。

なんかもう本当に漫画の世界。
王女さまかお姫さまかって扱いが逆に辛い。
服を着せようとするのを断って、下着を見て衝撃を受けて、本当にもう踏んだり蹴ったり。

お風呂のあとは見慣れない夕食が部屋まで届けられ、残すのは気が引けたけど込み上げてしまう味にギブアップ。
食事のあとは自由時間にしてくれるのかと思えば服屋さんが来てサイズを測って行き、今度こそ自由時間かと思えばお姉さんと見知らぬおじさんが来て、討伐までの期間に行う勉強や練習などのことまで細かく説明された。

一気に言われても覚えられない。
でも一つハッキリしたのは、召喚祭というものが終わった翌日から勇者と勇者一行は魔王討伐のための勉強と訓練に時間を費やすと言うこと。

そんなことを言われても。
それが正直な気持ち。

白魔術師と言われても魔法の使い方なんて知らない。
魔法なんて使えないって言ったけど、特殊恩恵が白魔術師だからやり方さえ覚えたら使えるようになるんだって。

当たり前のように言われたけど私には当たり前じゃない。
日本では魔法なんて物語の中にしかなかったんだから。

適性のある属性魔法は使えるから大丈夫。
勇者なんだから大丈夫。

そうじゃない。
そう言うことじゃなくて、討伐なんて行きたくない。
勇者にもなりたくない。

どうして私の意見を聞いてくれないの?
勇者なんてなりたくないし戦いたくないのに、どうして勝手にで話をすすめるの?
この世界の都合で勝手に召喚したのに、どうして勇者ならやって当然みたいな顔をしてるの?

そんな私の気持ちを置き去りに、お姉さんやおじさんはこの国や勇者の素晴らしさを熱心に語り続けた。


就寝時間まで続いたそれ。
最後はもう私も言っても無駄なんだと何も言わなくなった。

日本ではまだテレビを見たりして過ごしていた時間。
色々あって疲れてるのに眠れず宿舎をこっそり抜け出した。

「リサか?」

とぼとぼ歩いていると後ろから呼ばれて振り返る。

「遊び人ホスト。何やってるの?」
「買い物。リサこそ何やってるんだ。一人で危ないだろ」
「王宮内は王宮関係者しか居ないじゃん」
「じゃんって言われても知らないけど」

ああ、そっか。
遊び人ホストは勇者じゃないから説明されてないんだ。

「国王さまたちが暮らしてるお城と、勇者宿舎と、騎士団や魔導師団の宿舎と、さっきご飯を食べたギルドがある敷地を引っ括めて王宮地区って言うんだって。その王宮地区に暮らせる人は国に仕える人だけって言ってた」

さっき聞いたこの国のことを立ち話で遊び人ホストに話す。

「私たちが今居る此処はブークリエって国の王都の中にある王宮地区。一般の国民が住んでるのは門を出た先の王都地区で、王都地区の中でも貴族だけが住む地域とかの区切りがあるんだって。国王の居るこの王都以外にも何々領ってついた地域が幾つもある大きな国みたい。私たちの国で言うと1都1道2府43県で日本って国になるのと一緒」

王都地区の話は王宮地区の話と違って詳しく話してくれなかったけど、国の作りとしては日本と変わらないのは理解できた。

「へー。偉いな。もう勉強したのか」
「勉強したって言うか無理矢理聞かされた」
「無理矢理?」
「就寝時間まで国のこととか魔王のこととか……色々」

褒めてくれたのは嬉しいけど勉強した訳じゃない。
有無を言わさず聞かされただけで。

「少しこの辺を散歩しながら話すか」
「え?良いの?」
「気晴らしに出て来たんだろ?俺はまだ何も聞かされてないから気晴らしついでに散歩しながら教えてくれよ」
「分かった。任せて」

王宮を散歩しながら覚えたばかりの知識を話す。
あいだあいだで相槌を返してくれる遊び人ホストに、お姉さんとおじさんから聞かされたことだけじゃなく、お風呂で大変だったことや食事が食べられなかったことまで話した。

「じゃあゆっくり出来るのも明日までか」
「時間的にはそうだね。明日も今日みたいに長々と聞かされるならゆっくり出来ないけど」

明後日にはもう召喚祭。
こちらの都合は一切関係なしに決められている。

「まだ眠くないか?」
「うん」
「風邪ひくといけないから俺の部屋で話そう」
「え……遊び人ホストの部屋で?」
「心配しなくても女子高生に手を出す趣味はない」

子供扱い。
ムーっとする私に遊び人ホストはクスっと笑った。


「えー!広っ!」

騎士団宿舎の最上階。
遊び人ホストの部屋は私の部屋よりも広かった。

「好きな場所に座れよ。リコリの果実水でも飲むか?」
「飲む!」

ずっと抱えて歩いていた紙袋から遊び人ホストは瓶を出し、グラスに注いでくれたのを私に手渡す。

「勇者宿舎の部屋はどんなのなんだ?」
「ここよりも狭い。でも建物自体は向こうが立派かな」
「狭いのか」
「この部屋に比べたらって意味ね。部屋にトイレもお風呂も付いてるし、日本に居た時の私の部屋より全然広いよ」

一般家庭の部屋と比べるのは烏滸がましい広さはある。
ただ遊び人ホストの部屋はそれ以上に広いからと表現しただけで。

「まあ一人で使う部屋じゃないとは俺も思った」
「だよね。本来はどんな人が使うの?」
「護衛が必要な要人とか。飛び抜けて身分の高い人はさすがに城に泊らせるらしいけど」

私が先に椅子に座ると遊び人ホストもソファに座る。
この距離は一応気をつかってくれてるんだろう。

「VIP待遇だね。部屋は」
「ありがたいことに。おっさんから貰ったお手あてじゃ家は買えないって聞いた時は野垂れ死ぬの覚悟したし」

あれ?もしかして騎士団の人たちは最初からここに住まわせるつもりだったことを聞いてない?

「大して貰えなかったの?」
「いや。渡された時はこの世界の金の価値が分からなかったから最低限だけ寄越したんだと思ってたけど、後で副団長から詳しく聞いたら相当くれてた。団長が家は買えないって言ったのも俺が爵位を持ってないからって理由らしい」

ってことは爵位があれば買える位の金額をくれたってこと?
この国で家を買うのに幾らかかるか知らないけど、太っ腹って言葉で済まされる話じゃない。

「あのおじさんやるね」
「やるな。最初は俺を野垂れ死にさせる気かと思って全身の体毛を毟ってやろうかと思ったけど」

全身ってことはあの立派な髭も毟られてたのかと思うと、無くなった姿を想像して笑ってしまった。

「騎士さんって男の人だけ?女騎士は居ないのかな」
「俺もそう思って聞いたんだけど、女騎士も居るらしい」
「聞いたんだ。それ系が好きなの?」
「じゃなくて、リサとサクラは護衛に同性の騎士が居てくれた方が多少は安心なんじゃないかと思って。この宿舎には男しか居ないけど女騎士専用の宿舎も別にあるんだと」

ゲームやアニメの影響で女騎士が好きなのかと思えば。
なんか遊び人ホストは私が最初に持ったイメージと違う。
女の人の扱いに慣れてるのは事実だけど、女の人を誑かして泣かせる男じゃなさそう。

そんな酷い奴なら私の話は聞いてくれなかったと思う。
気晴らしついでなんて言ってたけど、本当は話を聞きたかったんじゃなく私の気晴らしに付き合ってくれたんだろう。


あんたらのその都合がコイツらの今までの平和な生活を奪ったことはもちろん、家族や恋人や友人のような大切な人までも失う結果になったことを生涯忘れるな


「私ね、あれちょっと嬉しかった」
「あれ?」
「国王さまに怒ってくれたでしょ?この世界の都合で私たちから平和な生活を奪ったことはもちろん、大切な人まで失う結果になったことを生涯忘れるなって。この国の人は私たちが勇者になることが当然みたいな雰囲気だったから、遊び人ホストがハッキリ言ってくれて嬉しかった」

この国の人たちは自分勝手。
もちろん全部が自分勝手じゃないだろうけど、勇者に関しては召喚すれば討伐してくれるものと考えてたんだと思う。

あのお姉さんとおじさんもそう。
特殊恩恵に勇者がつく私にをくれなかった。

「それ団長たちも言ってたな。俺が言って初めて気付いて今は反省してるって。前回の勇者召喚から数百年が経ってて文献や物語の中の勇者しか知らないから、勇者たちも別の世界で生活をしてる人だってことを考えたことがなかったって」

それに気付いてくれた人が居たなら少し救われる。
この国の人も大変だから仕方なかったとは私には言えないけど、私も伝記の中の人が別世界で生活をしてるなんて考えたことがないし、この国の人にとっても勇者はアニメのスーパーヒーローが現実世界に現れたみたいな感覚なんだろう。

「そろそろ帰ろうかな」
「リコリの果実水飲んだら満足したか」
「ポーション並に」
「リコリ様々だな。宿舎の前まで送る」
「ありがとう。ごちそうさま」

話せて良かった。
話を聞いてくれて嬉しかった。
少しだけ気持ちが落ち着いた。

「ねえねえ、手を繋いでも良い?」
「急に懐いたな」
「女を誑かして海外に売る男じゃなさそうだから」
「それ偏見が過ぎるだろ」
「だってホストって聞いたから」
「ホストはマフィアじゃないぞ?」

勇者宿舎に送って貰いながら手を繋ぐ。
身体が大きいだけあって手も大きい。

「手なんて繋がれたの久々」
「え?お客さんとは繋がないの?」
「腕を組まれても手はないな」
「そうなんだ」

私は手を繋ぐ方が安心するけど。

「じゃあ手は私が繋いであげるね?」
「そりゃどうも」
「寂しくなったらいつでも言って」
「制服を脱げる歳になったらな」
「この国は15歳で成人して結婚もできるらしいよ?」
「それも無理矢理聞かされた情報か」
「うん。早いよね」

もう日本に帰れないなら私たちもこの国の憲法(?)に従って生きることになるのかな。
お酒も15歳から呑めるらしいし、この異世界の成人は早い。

「寿命の差もあるんじゃないか?」
「寿命の差?」
「モンスターとか魔王の居る世界なら平均寿命短そうだし」

そうかも。
日本では道を歩いててモンスターに遭遇する機会はないけど、この異世界ではそれで命を落とす人も居るだろうから。

「この異世界で生きていけるかなぁ」
「そのために強くなれよ」
「え?」
「誰かを救うためじゃなくて自分が死なないために強くなれば良い。そんで強くなったらついでに討伐してやれば良いだろ。世界や国の命運なんてクソ重いもんを背負う必要はない」

それは目からウロコ。
この世界をお救いください。
この世界の為に魔王の討伐を。
お姉さんからもおじさんからもそう言われたけど、自分の命がかかってると考えれば頑張れるかも知れない。

「気が向いたらまた遊びに来い。同じ勇者としては力になれないけど、気晴らしに付き合うくらいならできるから」
「うん!ありがとう!」

ごめんね。
勝手に決めつけて最低なんて思って。
私もこの国の人たちと変わらなかった。

少なくともシンは私たちのことを考えてくれる人。
遊び人でホストだけど、綺麗なお兄さん。
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