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作戦会議と真相

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「出所はグランヴェル、お前が目を付けていたところだ。禁止魔道具使用に麻薬、他国との闇取引とやらかし放題だ」

 ドサッ、と証拠資料をローテーブルに投げ深い眉間の皴を揉みながらマテオが嘆く。

「他国……航路ではなかったのですか?」
「あぁ、時間と手間をかけて陸路にしたようだな。おかげで証拠はこの通りだ。焦っているのか――相手方も銀狼は怖いと見える。お手柄だなウィル」
「私は何も…ふっ、寧ろ海の上ならばと今は願わずにはいれないがな…」

 嗜虐的に笑うウィリアムに少し身震いし横目でノアを見る。
 考察しているのであろう、マテオが投げ置いた資料を手に持ち身動きしない。

 今は公爵邸の応接間にて中央の机を囲むようにノアと私、正面にウィリアムとセスが、一人掛けのソファにマテオが座っている。
 その周りには公爵家の兄弟も待機し話に加わっていた。

「父上、殿下。あの魔石はいかがする予定で?」

 ディランの声でハッとなり顔を上げる。

「あっ!マテオ様そのことなのですが…」
「ん?何か策があるのか?ロゼッタ」
「えぇ、ただまだ実地試験はしていませんので確かではないのですが…」
「ほっほほ、あの防御魔方陣か?」

 横やりを入れたセスに、マテオをはじめノア以外が疑問符を浮かべている。
 魔術師の二人以外は魔術が使えるとはいえ根っからなの武人肌なのだ。
 詳しく聞かせて欲しいとの言葉を受け、持ち込んでいた二種類の魔石をテーブル中央に置き話し始める。

「まず初めに、通常の五属性の魔石と、二属性の魔石の違いですが…私が見つけた鉱山は陰と陽の気が交じり合う特殊な場所で見つけました。そこで構築された鉱石は自然界の陰陽の気を蓄え二属性の特徴をもち、両方を付加できる。光も闇も両方…みなさまもご存じの通り闇属性が悪用されない為に私は特定の属性を付加できないよう防御紋を開発し、それを義務化し光の魔石を生産してきました。闇属性所有者は稀です。しかし今回は私の防御紋を上回る闇属性が使用された、もしくは防御紋を破られた。…私の検討違いでした。絶対に破られないと高を括っていました。申し訳ありません…」

 私の話にマテオが反応を示す。

「そのことは、もういい。ロゼッタ、何度でも言う。お前は何も悪くない。運用を許可したのも我々だ。そして悪用したのは蛆虫共だ。わかったな?」

 琥珀色の瞳が見据えてる。

「はい…ありがとうございます」

 それでよし――と満足そうにと大きく頷き、今度は首を傾げる。

とは…その話は初耳だが。他にもその様な場所が?」
「いえ、今のところは…ただ世界は広い。私たちが知らないだけで交じり合う場所があってもおかしくはありません。そこで同じような鉱石が作られていても。それに…」

 少し言葉を濁すように嘆くと、不審に思ったのかマテオたちが前に乗り出しこちらを伺う。

「ほっほほ、まぁ、要は陰と陽が交わるある場所で生まれてしまうの鉱石と言うことじゃ。ほっほほ」

「「「「「………………」」」」」

 セスの言葉で武人たちがより唖然としてこちらを覗く。
 私は顔に熱が溜まる気配に居た堪れなくなり顔を俯くが、横から至って冷静な声が応接室に響き渡る。

「男女がセックスすれば生産される可能性があるだけだ」

「「「「「!!!!!!」」」」」

 ガタ、ドタなど聞こえたが顔を上げることができない。

「何をそんなに動揺することがある?陰陽の気がもっとも交わるのがセックスなのは知ってるだろ?ロゼが自然界で初めて陰陽が交わる場所を発見し、鉱石を発掘した。その因果で特殊な魔石が開発された。それが人間でできてもおかしくはない“理論上”は、な」

 足と腕を組み堂々と言い放つノアの隣でなぜか私は冷や汗がとまらない。
 未だ武人たちは呆気に取れ目を見開いたままだ。

 ――どっどっどっどしよう!?

「ほっほほ」と気の抜けた笑い声がただ響き渡る。
「はぁ~ “理論上”っと言っただろう。自然界で何千何万何億と時を過ごした結果だ。ふっ、人間たちが束になっても叶わん。まぁ魔力が膨大で絶倫なら話は別だがな」
 と壮大な溜息を吐きながら嘲笑の笑みを浮かべる。 

「「「「「この糞が!!」」」」」

 ――ヒィィィィィィィィィィっ!!

 応接室に怒号が響き渡り、ほっほほと笑い声が木霊した。
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