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使用人アイリーン
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「アイリーン。アイリーーン!」
「はい奥様っ!」
耳をつんざくような甲高い怒鳴り声が屋敷内に響き渡る。三階の物置部屋を掃除していたアイリーンは慌てて返事をし、大急ぎで一階へと駆け下りた。
「返事は一回で、呼んだら3秒以内と
何度言えばわかるのかしら」
「も、申し訳ございません、奥様。
しかし三階からだとどんなに急いでも
15秒が限界で...」
「んまァッ!言い訳はおよし!」
「ひっ。す、すみません....。」
煌びやかなドレスを身に纏い、派手に化粧を施した中年ながらも見目麗しい女性の名は、フリーダ・シャントニー夫人。
旧姓フリーダ・クロズリー、名家の三人娘の次女であった。
彼女はその美しい顔を恐ろしいほど吊り上げて、目の前で小さく縮こまる少女を怒鳴り散らしている。
少女の名はアイリーン・シャントニー。
この屋敷の家主、ルベルト・シャントニー男爵の娘の一人であった。そんな彼女はボロ雑巾のような衣服を身に纏い、髪は薄汚い三角巾で覆い、手には掃除用具を持っていた。頬は灰で汚れていたが、ほんのりと桃色に染まる健康的な肌が乱れた髪の隙間から見える。
「まったく汚らしい...。その毛玉のような髪を一度まとめ直してくださるかしら。見ているだけで不快だわ。」
「も、申し訳ございません。」
アイリーンはほとんど崩れていた髪を急いで整え、毛量のあるブロンドのくせっ毛をもう一度一つに束ね直す。少女の花房のようなまつ毛が陽の光にきらきらと照らされていて、一層美しい。その様子を汚物でも見るかのような目つきで睨みつけながら、シャントニー夫人は真っ赤に塗った唇を開いた。
「今日からオルフィナ伯爵のお屋敷で一週間、舞踏会が開かれるのは知ってるわよね」
「はい。一昨日ロザリアお嬢様からお伺いしております」
「そのために新調したドレスが今日の14時に届くから、受け取っておいていただける?それから15時には入浴の準備を。舞踏会は19時からだからそれには間に合うように。」
「かしこまりました。
…あの、他の使用人たちは...?」
アイリーンは少し前から疑問に思っていたことを尋ねた。
「今日から一週間みな休みを取らせたわ」
「えっ」
「わたくし達が一週間屋敷を留守にするんだから、貴方一人で十分じゃない」
「そ、そんな...」
今命じられた仕事は、決して使用人一人がこなす量ではなかった。
そんなことはシャントニー夫人もよく分かっている。これは彼女のアイリーンに対するただの嫌がらせだ。
「分かったらさっさと仕事に戻りなさい。
19時の舞踏会までには間に合うようにするのよ!」
「あっ、奥様...!」
アイリーンの呼び止める声を無視して、シャントニー夫人は書斎へと姿を消してしまう。
少女はしばらくの間、ただ呆然と書斎の扉を見つめた。
現在の時刻は13時。
ドレスが届くのは14時。
15時からは入浴の準備。これがまた力仕事であり、各々の自室にあるバスタブまで湯を運ぶ必要があった。
それに、アイリーンにはまだ言いつけられた屋敷の掃除があと数部屋残っている。
舞踏会が開かれるオルフィナ伯爵のお屋敷まで馬車で1時間と少し。
急がなければ間に合わなかった。
アイリーンは三階へと続く階段を急いで駆け上る。
アイリーン・シャントニーは紛れもなくシャントニー男爵、改めルベルトの娘だった。もちろん、実子である。
しかし、彼女に対する過酷なまでの仕打ちの理由はアイリーンの母親にあった。
彼女の母は下女である。
数十年前、中流貴族のお屋敷で使用人をしていた母と上流貴族の父は出会い、恋に落ちた。そして誰にも内緒で、女はアイリーンを身籠ったのである。しかしルベルトには既に妻がいた。商いに優れた名家、クロズリー家の娘、フリーダである。彼にはこの時フリーダとの間に三歳になる娘がいたが、当時から一夫一妻制であったため、女とアイリーンのことを隠し通すわけにもいかなかった。
シャントニー家とクロズリー家は混乱の渦に飲まれたが、ルベルトの心はその女一つであったため、縁を切ってでも女と一緒になろうと決心していた。
しかし、幼い頃から過酷な生活を送る、母になったばかりの女は、アイリーンを生んですぐ帰らぬ人となる。ルベルトはこのことに嘆き悲しんだが、父親から「これまでのことをすべて許す代わりに約束通りクロズリー家の娘と結婚すること」を命じられた。
傷心のルベルトは最初その命には従わないつもりでいたが、しかし愛する女が残した命形見、つまりアイリーンを育てていくため、その命に従うことにした。
クロズリー家の嫁、フリーダはアイリーンを忌み嫌っていたが、それでもルベルトが生きている間は何も言わなかった。
ただ、二人の間に生まれていたカティや、その後生まれたロザリアがいても、ルベルトが愛したのはアイリーンただ一人だった。そんな幼気な少女のことを夫人や娘たちが嫌ってしまうのも、ある意味仕方のないことだったのかもしれない。
しかしアイリーンが13歳になる年、彼女の人生は大きく変わる。
父ルベルトが心臓発作によって急死したのである。37歳という若さだった。
その日を境にシャントニー夫人やカティ、ロザリアによる悪質ないじめが始まった。
彼女らはまずシャントニー嬢という身分を奪ったのである。あの子は父の急死にショックを受け、まるで後を追うように命を落としたの、と街で吹聴し回ったのだ。そうしてアイリーンを庶民生まれの下女として生きていくことを強要した。
「貴方は元々下賤な母親の血が混ざっているんだから、元の身分に戻っただけよ」と囁かれる。そんなことを毎日毎日聞かされていれば、アイリーンは自分の扱いが相応のものであると思い込むようになっていった。
そうして17歳になる今、彼女はなんの疑問も持たず三人の使用人として働いていた。
「ちょっとアイリーン!」
残りの部屋を掃除し終わり、ふぅ、と一息ついた時だった。
二階の一室から、姉カティの呼ぶ声が聞こえる。
「はい、ただいま」
呼ばれてから3秒以内で。
アイリーンは疲れた体に鞭を打って階段を駆け下りた。
「お呼びでしょうか?」
「ねぇ~今日のピアスはどれにしたらいいかしら!どれも不細工ばっかりでちっとも気に入らないわ」
ノックをしてから部屋に入れば、部屋がひっくり返ったのかと思うほどモノやドレス類、アクセサリーが乱雑に散らかっていた。
カティはアイリーンの3つ上の姉で、栗色のロングヘアが似合う美しい娘だった。歳の割には老けて見えるのが彼女の悩みだ。
「え、えっと...」
「この真珠のピアスが気に入ってたんだけど、鏡で見てみたら自分がすっごくブスに見えるのよ。ムカつく!今日はたくさんの殿方がお見えになるのに、少しでもブスに見えるのはイヤ!」
カティが手に持っていた真珠のピアスをアイリーンの足元に投げつけた。
アイリーンはちらりと時計を確認する。時刻は13時50分。あと10分ほどでドレスが届く時間だ。
「カティお嬢様。あと10分ほどで新しいドレスが届きます。ドレスのお色味もありますし、届いてからアクセサリーをお決めになられてはいかがでしょう。それから...」
アイリーンは床に落ちていた一つのリボンを拾い上げた。
「カティお嬢様にはハッキリとしたビビットなカラーがお似合いかと思います。」
アイリーンがにこやかに微笑む。
と、カティがハッとしたように彼女に近づいて、アイリーンが拾い上げたリボンを乱暴に取り上げる。かと思えば、彼女の頬を強くはたいた。
「っ」
「汚い手で触らないでちょうだい。」
「ぁ、....も、申し訳ございません....。」
頬がひりひりと痛むのを感じながら、アイリーンは謝罪の言葉を零した。あまりのことにカティの顔が見れず呆然としていると、屋敷玄関のチャイムが鳴った。
「ドレスよ。はやく受け取りに行きなさいよ。」
「は、はい。失礼しました。」
ぺこりと深くお辞儀をして、アイリーンは玄関へと急ぐ。はたかれた頬を優しく撫でながら、彼女はため息を吐いた。
アイリーンは何度虐げられても相手に寄り添おうとしてしまう損な娘だった。あの三人に寄り添おうとしても、自分が傷つくだけなのに。
それからアイリーンはドレスを受け取り、一人一人に湯船の湯を運び込み、三人分の身支度も手伝った。時間通りに仕事をこなし、玄関口で三人を見送るアイリーンに、シャントニー夫人は数枚の紙幣を渡した。
「...これは?」
「私達の留守中、届け物があると思うからその受け取りと、丁度いいからキッチンの修理を頼んだの。対応お願いね。」
「あぁ...かしこまりました。」
暇をくださるのかと一瞬期待したアイリーンはすぐに肩を落とした。自分は誰もいないこの屋敷で一人留守番をしておくしかなさそうだ。
カティやロザリアがくすくす笑っているのが聞こえて、アイリーンは久しぶりに気の滅入る思いだった。
今夜はやけに肌寒い。
美しく煌びやかな馬車に乗って出かけていく三人を見送って、アイリーンは白い息を吐いた。
「はい奥様っ!」
耳をつんざくような甲高い怒鳴り声が屋敷内に響き渡る。三階の物置部屋を掃除していたアイリーンは慌てて返事をし、大急ぎで一階へと駆け下りた。
「返事は一回で、呼んだら3秒以内と
何度言えばわかるのかしら」
「も、申し訳ございません、奥様。
しかし三階からだとどんなに急いでも
15秒が限界で...」
「んまァッ!言い訳はおよし!」
「ひっ。す、すみません....。」
煌びやかなドレスを身に纏い、派手に化粧を施した中年ながらも見目麗しい女性の名は、フリーダ・シャントニー夫人。
旧姓フリーダ・クロズリー、名家の三人娘の次女であった。
彼女はその美しい顔を恐ろしいほど吊り上げて、目の前で小さく縮こまる少女を怒鳴り散らしている。
少女の名はアイリーン・シャントニー。
この屋敷の家主、ルベルト・シャントニー男爵の娘の一人であった。そんな彼女はボロ雑巾のような衣服を身に纏い、髪は薄汚い三角巾で覆い、手には掃除用具を持っていた。頬は灰で汚れていたが、ほんのりと桃色に染まる健康的な肌が乱れた髪の隙間から見える。
「まったく汚らしい...。その毛玉のような髪を一度まとめ直してくださるかしら。見ているだけで不快だわ。」
「も、申し訳ございません。」
アイリーンはほとんど崩れていた髪を急いで整え、毛量のあるブロンドのくせっ毛をもう一度一つに束ね直す。少女の花房のようなまつ毛が陽の光にきらきらと照らされていて、一層美しい。その様子を汚物でも見るかのような目つきで睨みつけながら、シャントニー夫人は真っ赤に塗った唇を開いた。
「今日からオルフィナ伯爵のお屋敷で一週間、舞踏会が開かれるのは知ってるわよね」
「はい。一昨日ロザリアお嬢様からお伺いしております」
「そのために新調したドレスが今日の14時に届くから、受け取っておいていただける?それから15時には入浴の準備を。舞踏会は19時からだからそれには間に合うように。」
「かしこまりました。
…あの、他の使用人たちは...?」
アイリーンは少し前から疑問に思っていたことを尋ねた。
「今日から一週間みな休みを取らせたわ」
「えっ」
「わたくし達が一週間屋敷を留守にするんだから、貴方一人で十分じゃない」
「そ、そんな...」
今命じられた仕事は、決して使用人一人がこなす量ではなかった。
そんなことはシャントニー夫人もよく分かっている。これは彼女のアイリーンに対するただの嫌がらせだ。
「分かったらさっさと仕事に戻りなさい。
19時の舞踏会までには間に合うようにするのよ!」
「あっ、奥様...!」
アイリーンの呼び止める声を無視して、シャントニー夫人は書斎へと姿を消してしまう。
少女はしばらくの間、ただ呆然と書斎の扉を見つめた。
現在の時刻は13時。
ドレスが届くのは14時。
15時からは入浴の準備。これがまた力仕事であり、各々の自室にあるバスタブまで湯を運ぶ必要があった。
それに、アイリーンにはまだ言いつけられた屋敷の掃除があと数部屋残っている。
舞踏会が開かれるオルフィナ伯爵のお屋敷まで馬車で1時間と少し。
急がなければ間に合わなかった。
アイリーンは三階へと続く階段を急いで駆け上る。
アイリーン・シャントニーは紛れもなくシャントニー男爵、改めルベルトの娘だった。もちろん、実子である。
しかし、彼女に対する過酷なまでの仕打ちの理由はアイリーンの母親にあった。
彼女の母は下女である。
数十年前、中流貴族のお屋敷で使用人をしていた母と上流貴族の父は出会い、恋に落ちた。そして誰にも内緒で、女はアイリーンを身籠ったのである。しかしルベルトには既に妻がいた。商いに優れた名家、クロズリー家の娘、フリーダである。彼にはこの時フリーダとの間に三歳になる娘がいたが、当時から一夫一妻制であったため、女とアイリーンのことを隠し通すわけにもいかなかった。
シャントニー家とクロズリー家は混乱の渦に飲まれたが、ルベルトの心はその女一つであったため、縁を切ってでも女と一緒になろうと決心していた。
しかし、幼い頃から過酷な生活を送る、母になったばかりの女は、アイリーンを生んですぐ帰らぬ人となる。ルベルトはこのことに嘆き悲しんだが、父親から「これまでのことをすべて許す代わりに約束通りクロズリー家の娘と結婚すること」を命じられた。
傷心のルベルトは最初その命には従わないつもりでいたが、しかし愛する女が残した命形見、つまりアイリーンを育てていくため、その命に従うことにした。
クロズリー家の嫁、フリーダはアイリーンを忌み嫌っていたが、それでもルベルトが生きている間は何も言わなかった。
ただ、二人の間に生まれていたカティや、その後生まれたロザリアがいても、ルベルトが愛したのはアイリーンただ一人だった。そんな幼気な少女のことを夫人や娘たちが嫌ってしまうのも、ある意味仕方のないことだったのかもしれない。
しかしアイリーンが13歳になる年、彼女の人生は大きく変わる。
父ルベルトが心臓発作によって急死したのである。37歳という若さだった。
その日を境にシャントニー夫人やカティ、ロザリアによる悪質ないじめが始まった。
彼女らはまずシャントニー嬢という身分を奪ったのである。あの子は父の急死にショックを受け、まるで後を追うように命を落としたの、と街で吹聴し回ったのだ。そうしてアイリーンを庶民生まれの下女として生きていくことを強要した。
「貴方は元々下賤な母親の血が混ざっているんだから、元の身分に戻っただけよ」と囁かれる。そんなことを毎日毎日聞かされていれば、アイリーンは自分の扱いが相応のものであると思い込むようになっていった。
そうして17歳になる今、彼女はなんの疑問も持たず三人の使用人として働いていた。
「ちょっとアイリーン!」
残りの部屋を掃除し終わり、ふぅ、と一息ついた時だった。
二階の一室から、姉カティの呼ぶ声が聞こえる。
「はい、ただいま」
呼ばれてから3秒以内で。
アイリーンは疲れた体に鞭を打って階段を駆け下りた。
「お呼びでしょうか?」
「ねぇ~今日のピアスはどれにしたらいいかしら!どれも不細工ばっかりでちっとも気に入らないわ」
ノックをしてから部屋に入れば、部屋がひっくり返ったのかと思うほどモノやドレス類、アクセサリーが乱雑に散らかっていた。
カティはアイリーンの3つ上の姉で、栗色のロングヘアが似合う美しい娘だった。歳の割には老けて見えるのが彼女の悩みだ。
「え、えっと...」
「この真珠のピアスが気に入ってたんだけど、鏡で見てみたら自分がすっごくブスに見えるのよ。ムカつく!今日はたくさんの殿方がお見えになるのに、少しでもブスに見えるのはイヤ!」
カティが手に持っていた真珠のピアスをアイリーンの足元に投げつけた。
アイリーンはちらりと時計を確認する。時刻は13時50分。あと10分ほどでドレスが届く時間だ。
「カティお嬢様。あと10分ほどで新しいドレスが届きます。ドレスのお色味もありますし、届いてからアクセサリーをお決めになられてはいかがでしょう。それから...」
アイリーンは床に落ちていた一つのリボンを拾い上げた。
「カティお嬢様にはハッキリとしたビビットなカラーがお似合いかと思います。」
アイリーンがにこやかに微笑む。
と、カティがハッとしたように彼女に近づいて、アイリーンが拾い上げたリボンを乱暴に取り上げる。かと思えば、彼女の頬を強くはたいた。
「っ」
「汚い手で触らないでちょうだい。」
「ぁ、....も、申し訳ございません....。」
頬がひりひりと痛むのを感じながら、アイリーンは謝罪の言葉を零した。あまりのことにカティの顔が見れず呆然としていると、屋敷玄関のチャイムが鳴った。
「ドレスよ。はやく受け取りに行きなさいよ。」
「は、はい。失礼しました。」
ぺこりと深くお辞儀をして、アイリーンは玄関へと急ぐ。はたかれた頬を優しく撫でながら、彼女はため息を吐いた。
アイリーンは何度虐げられても相手に寄り添おうとしてしまう損な娘だった。あの三人に寄り添おうとしても、自分が傷つくだけなのに。
それからアイリーンはドレスを受け取り、一人一人に湯船の湯を運び込み、三人分の身支度も手伝った。時間通りに仕事をこなし、玄関口で三人を見送るアイリーンに、シャントニー夫人は数枚の紙幣を渡した。
「...これは?」
「私達の留守中、届け物があると思うからその受け取りと、丁度いいからキッチンの修理を頼んだの。対応お願いね。」
「あぁ...かしこまりました。」
暇をくださるのかと一瞬期待したアイリーンはすぐに肩を落とした。自分は誰もいないこの屋敷で一人留守番をしておくしかなさそうだ。
カティやロザリアがくすくす笑っているのが聞こえて、アイリーンは久しぶりに気の滅入る思いだった。
今夜はやけに肌寒い。
美しく煌びやかな馬車に乗って出かけていく三人を見送って、アイリーンは白い息を吐いた。
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