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第4章 ダンジョン氾濫の影響

第26話 勝利

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俺は剣は中段、正眼に構えた体で右足を90°回転しそのまま後に飛ぶ。
俺が立っていた場所を魔物が通過すると、そこへ剣を叩き込む。

(固っ!)

剣は鱗を切り裂いたが、数センチの深さで刃が止まってしまった。

「ちっ!!」

俺は舌打ちしながら剣を引き抜いた。
左から尻尾の殴打が俺へ向かって放たれるが、それは光の壁でガード。

「弱点看破、見えないか‥‥」
(この時点で同等かそれ以上、感覚からしてCランクだな。どうするか、魔力の使用を抑えて援護を待つか?それとも倒すか?)

ここは城門が近いし、援護は直ぐに来るだろう。

(なら、やるか!!)

俺は剣に光を纏わせる、魔力はいつもより大分多めだ。消耗は大きいがその分威力も上昇する。

「ふっ!!」

俺は先ほど傷を付けた箇所に寸分違わず剣を振り抜く。今度はスルリと刃が入り、切り裂いた。

「グギャァァァ!!!!」

魔物が痛みに悶える。

(よし、これでいける!)

俺はもう一撃与えようと剣を振ると、重く柔らかい感触が残る。

(ん?)

目の前には裂けた水の壁が形成されていた。
その裂け目から魔物の尻尾が此方へ飛んできた

「ぐっ!」

剣を間に挟み、咄嗟にガードしたが衝撃は殺せず、
そのまま空中で一回転し着地。

(こいつ、水魔法使えんのかよ!)

これこそがリザードマンの進化形と言われる訳だ。

魔物がウォーターボールを5個生成し此方へ放つ、俺は走りながらそれらを躱し、直撃しそうな2つを切り落とす。そこへ水の蔦が左足へ絡む。ウォーターバインドだ。それと同時にウォーターボールが10個殺到する

(ちっ、抜け出せない!)

蔦を振り払えないと判断した俺は、目の前に光の壁を生成、剣で蔦を切り、その場を離脱した。
魔物はその場から動く気配はない、恐らく先ほどの攻撃が効いているのだろう

(遠くから魔法で決着をつけたいってか?そうはさせねーよ!)

俺は一直線に走る。目の前には水の壁、

「閃光!」

壁を切り裂いたそれは、顎を開いて待っていた魔物に直撃する。魔法を切れると知っての待ち伏せだったのだろうが、瞬時の判断が功を奏した。
俺はそのまま魔物の懐に潜りこみ、剣に残りのありっ丈の魔力をつぎ込む。光の刀身を作り出し、3メートル程の大きさとなった剣で魔物の首を切り落とした。

「はぁ‥‥はぁ‥‥ふぅ~」

魔力を大量に使った俺はその場に座り込む。
喉まで迫る吐き気を耐えながら、先ほどの技について考えていた。

(あの技の名前は何にしようか‥‥よし、決めた!)

おとぎ話の英雄達が一つの剣に力を集め、神々しい聖なる剣を作り出した物語を思い出した。

(あれの名前は聖剣だ!)
「あそこです!!」
(おっ、来たか)
「おーい、終わったよー!」

俺の視線の先には息も絶え絶えに此方へ向かってくるイリーナに、城門の入り口の門番さんが1人、さらに
生徒会長のルミナさんがその後を追ってきた。

「良かった!無事だったのね!」
「おわっ!」

イリーナが俺の胸に飛び込んでくる。

「心配したんだから!」

ポロポロと透明な雫がエメラルドの様に美しい瞳から落ちていく。

「でも皆逃げれたから良かったじゃん」

俺はポンポンとイリーナの頭を軽くたたく。

「レイ君、いくら君でも今回は危なかったんじゃないか?」
「そうですね、手強い魔物のでした」
「生徒を守る姿勢は生徒会として素晴らしいが、時には逃げることも大切なんだぞ。まったく。」

会長は腕を組みながら俺を見下ろす

「まぁ、無事で良かったよ」
「ありがとうございます」
「うひゃー、凄いな!こいつはCランクのクリープドラゴンじゃねぇか。一年生がこんなのを倒しちまったなんて信じられねぇ‥‥」
「立てるか?」
「すみません、魔力が切れちゃって‥‥。もう少ししたら動けると思うんですけど‥‥」
「ならこれを飲むといい」

そう言って紫色の液体が入った小瓶を渡された。

「これは?」
「魔力回復薬だ。探索には必須だぞ、売店にも売っているから買っておくといい」

俺は小瓶を開けて匂いをかぐ。薬草のつんっとした香りがする。(うっ‥‥)俺は一息で飲み干した。

「にっが‥‥」
「それは仕方ないさ、中身は全て薬草だしな」
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