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これぞ悪役?シスコン無双
般若から逃れる術はあるのだろうか?
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「拝見しても?」
フーフーと鼻息荒く叩きつけた書類を睨む伯父様に、お兄様が声をかけます。
「ああ、すまない、もちろんだ」
伯父様はそう言って、書類から手をどけます。
その書類には
「前エアトル侯爵とアスビル商会が契約し、前侯爵とその孫であるエミリオ及びユーディリアが使用した金は現エアトル侯爵家にはなんの関わりもない。
よって、エミリオ及びユーディリアの身柄をアスビル商会が確保することに現エアトル侯爵家は関知しない。
現エアトル侯爵家当主 アレクシス・エアトル」
「…実質、人身売買を擁護してますわね?」
「これがまかり通ったら、エアトル領は人攫いからしたらお宝ザクザク、人が居なくなるんじゃねぇ?」
お兄様と、ハァとため息をついたら、バチっと静電気が走りました。
あれ、びっくりするのよね、と思ったら再び、バチッ「痛ッ!」
え?と思って顔を上げると、
バチバチと静電気を纏ったヒサギ様。
髪の毛をバチバチと逆立て、
どうしましょう、もはや〝般若〞です。
伯父様は、震えながら後退っています。
「え?雷属性?昔、辺境伯様が火柱上げたって言わなかったっけ?
だからヒサギ様も炎属性じゃないの?」
お兄様、冷静ですわね?
「でも、雷で助かったか、もし炎なら、俺ら、もれなく火だるまだったね?」
分析してる場合じゃなくないです?
「さて。
ヒサギ様!!チャンスです!これを元に、俺らをセンバの養子にしてください!!!
交渉はセイラー夫人とヒサギ様に任せたいんですが?!!」
お兄様が、そう叫んだ瞬間、ピタっと静電気が収まりました。
「なるほど、その手があったわ!!!」
ヒサギ様、天高く拳を突き上げます。
「伯父様、伯父様はどうしましょう。融資額、相当なものですよね?」
お兄様と一緒に振り返って見ると、伯父様はドアまで到達し、シュロスが涙目で伯父様に抱きついていました。
…貴方、まだ立ち聞きしてたの?
「あ、あぁ、トータルしたら、王都に支店5つは軽く出して、橋とか架けちゃうかな?」
「なら、それ、センバが払うわ。一括は無理だけど」
「いや、それは俺の矜持が許さない。
金を貰ってしまったら、それはもう、本当にその子らを売ってしまったことになる。
…実は、考えてた事がある。店をたたもうと思っている」
「「「ええええ?!!」」」
「王家の使者ってのが来たことがある。
〝王家御用達の看板もご用意しています。これからもよくよくエアトル家を支えるように〞
つまり、エアトル領をキチンと復興させるまであのヤロウに金を出し続けろ、って王家が圧力かけてきた。
冗談じゃねぇ、あのヤロウに領地経営なんぞ出来るわけがねぇ。
それこそ、金をドブに捨てるのと同じだ。
だから、エミリオ君の言う、これはチャンスかもしれない。
これを理由に店をたたむ」
「たたんでどうするんですか?!」「私達のせいで…」
お兄様と一緒に、伯父様の手を取ります。
あ、どうしましょう、泣けてくる。
「君たちは、本当に良い子達だ」
伯父様はにっこり笑って、しゃがんで私達の手を取り、ご自分の手で包んでくれました。
「まだ、内緒なんだけどね。絶対に誰にも、ってか、王家に漏れたくないんだけどね」
「あ、じゃぁ、風の膜張ります」
「お、おぉぅ、さすがエミリオ君だね。じゃぁ、ヒサギ様も聞いて下さい。
実は、帝国に息子を修行に出してる。そっちに資金も少しづつ移動させてる。
一店舗位なら店を構えられる。
この際、拠点をあっちにしても良いかと思ってる。
下準備は出来ている。
爵位を返上してあっちで平民として一からやるのも、男のロマンだろう?
だから、泣かなくても大丈夫だよ、ユーディリアちゃん」
そう言ってクスクス笑って、私とお兄様、2人の頭を撫でてくれます。
伯父様、カッコいい。
「その話、センバも乗ったわ!!」「「「え?」」」
「アスビル子爵、この後、お時間頂戴出来て?愛しのマイダーリンと一緒にお話させて頂きたいの!!」
グイグイ詰め寄るヒサギ様に伯父様のお返事は「ハイ」の一択でした。
「さぁ!そうと決まればお義姉様に連絡して、マイダーリンと話を詰めて!!
そうそう、貴方達はセンバの屋敷に籠りなさい。
学園も休みなさい。私から学園に事情を話します。
これが決着つくまでは、屋敷から出ちゃダメ。
決闘なんてしなくて良いわ!
するっていうんなら、シラヌイにさせて、ボッコボッコにしておやり!!!
シュロス!!後で貴方にも大事な使命を与えるわ。待機してなさい。
じゃぁ、行くわよ!!」
そう言ってヒサギ様は伯父様の手をむんずとは掴み、引っ張って行きました。
思わずポカンとその様子を見つめてしまいました。
クスクスと笑い声が聞こえて横を向くと
「ディ、お口が開いたまんまだよ?
きっと大丈夫。何があっても絶対俺はディと離れないから。
まずは大人しく帰って、センバのお屋敷に籠ろうか」
お兄様に優しく手を握られて、一緒に帰りました。
フーフーと鼻息荒く叩きつけた書類を睨む伯父様に、お兄様が声をかけます。
「ああ、すまない、もちろんだ」
伯父様はそう言って、書類から手をどけます。
その書類には
「前エアトル侯爵とアスビル商会が契約し、前侯爵とその孫であるエミリオ及びユーディリアが使用した金は現エアトル侯爵家にはなんの関わりもない。
よって、エミリオ及びユーディリアの身柄をアスビル商会が確保することに現エアトル侯爵家は関知しない。
現エアトル侯爵家当主 アレクシス・エアトル」
「…実質、人身売買を擁護してますわね?」
「これがまかり通ったら、エアトル領は人攫いからしたらお宝ザクザク、人が居なくなるんじゃねぇ?」
お兄様と、ハァとため息をついたら、バチっと静電気が走りました。
あれ、びっくりするのよね、と思ったら再び、バチッ「痛ッ!」
え?と思って顔を上げると、
バチバチと静電気を纏ったヒサギ様。
髪の毛をバチバチと逆立て、
どうしましょう、もはや〝般若〞です。
伯父様は、震えながら後退っています。
「え?雷属性?昔、辺境伯様が火柱上げたって言わなかったっけ?
だからヒサギ様も炎属性じゃないの?」
お兄様、冷静ですわね?
「でも、雷で助かったか、もし炎なら、俺ら、もれなく火だるまだったね?」
分析してる場合じゃなくないです?
「さて。
ヒサギ様!!チャンスです!これを元に、俺らをセンバの養子にしてください!!!
交渉はセイラー夫人とヒサギ様に任せたいんですが?!!」
お兄様が、そう叫んだ瞬間、ピタっと静電気が収まりました。
「なるほど、その手があったわ!!!」
ヒサギ様、天高く拳を突き上げます。
「伯父様、伯父様はどうしましょう。融資額、相当なものですよね?」
お兄様と一緒に振り返って見ると、伯父様はドアまで到達し、シュロスが涙目で伯父様に抱きついていました。
…貴方、まだ立ち聞きしてたの?
「あ、あぁ、トータルしたら、王都に支店5つは軽く出して、橋とか架けちゃうかな?」
「なら、それ、センバが払うわ。一括は無理だけど」
「いや、それは俺の矜持が許さない。
金を貰ってしまったら、それはもう、本当にその子らを売ってしまったことになる。
…実は、考えてた事がある。店をたたもうと思っている」
「「「ええええ?!!」」」
「王家の使者ってのが来たことがある。
〝王家御用達の看板もご用意しています。これからもよくよくエアトル家を支えるように〞
つまり、エアトル領をキチンと復興させるまであのヤロウに金を出し続けろ、って王家が圧力かけてきた。
冗談じゃねぇ、あのヤロウに領地経営なんぞ出来るわけがねぇ。
それこそ、金をドブに捨てるのと同じだ。
だから、エミリオ君の言う、これはチャンスかもしれない。
これを理由に店をたたむ」
「たたんでどうするんですか?!」「私達のせいで…」
お兄様と一緒に、伯父様の手を取ります。
あ、どうしましょう、泣けてくる。
「君たちは、本当に良い子達だ」
伯父様はにっこり笑って、しゃがんで私達の手を取り、ご自分の手で包んでくれました。
「まだ、内緒なんだけどね。絶対に誰にも、ってか、王家に漏れたくないんだけどね」
「あ、じゃぁ、風の膜張ります」
「お、おぉぅ、さすがエミリオ君だね。じゃぁ、ヒサギ様も聞いて下さい。
実は、帝国に息子を修行に出してる。そっちに資金も少しづつ移動させてる。
一店舗位なら店を構えられる。
この際、拠点をあっちにしても良いかと思ってる。
下準備は出来ている。
爵位を返上してあっちで平民として一からやるのも、男のロマンだろう?
だから、泣かなくても大丈夫だよ、ユーディリアちゃん」
そう言ってクスクス笑って、私とお兄様、2人の頭を撫でてくれます。
伯父様、カッコいい。
「その話、センバも乗ったわ!!」「「「え?」」」
「アスビル子爵、この後、お時間頂戴出来て?愛しのマイダーリンと一緒にお話させて頂きたいの!!」
グイグイ詰め寄るヒサギ様に伯父様のお返事は「ハイ」の一択でした。
「さぁ!そうと決まればお義姉様に連絡して、マイダーリンと話を詰めて!!
そうそう、貴方達はセンバの屋敷に籠りなさい。
学園も休みなさい。私から学園に事情を話します。
これが決着つくまでは、屋敷から出ちゃダメ。
決闘なんてしなくて良いわ!
するっていうんなら、シラヌイにさせて、ボッコボッコにしておやり!!!
シュロス!!後で貴方にも大事な使命を与えるわ。待機してなさい。
じゃぁ、行くわよ!!」
そう言ってヒサギ様は伯父様の手をむんずとは掴み、引っ張って行きました。
思わずポカンとその様子を見つめてしまいました。
クスクスと笑い声が聞こえて横を向くと
「ディ、お口が開いたまんまだよ?
きっと大丈夫。何があっても絶対俺はディと離れないから。
まずは大人しく帰って、センバのお屋敷に籠ろうか」
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