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022 奇病
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「ヤベェ! 捕まえろ!」「押さえつけるんだ!」「脱がすなよ!!」
大騒ぎになった。
ギルド内に居た全員が脱ぎだした冒険者を押さえつけている。
「店主さん? 店主で良いのかな? な、何事ですか?」
「あぁ、この街に来たばかりですか……。門で説明されたでしょ? あれが例の病気ですよ……」
「えっ?! あれが?! 脱いでるだけっていうか、脱衣現象が?」
「そうです。発症すると、男は全裸になりたがる、女は誰にでも告白してしまうんだ」
男は脱ぎたがる? 女は告白する?
それって病気なの?
「本当に病気?」
「ええ。しかも男は悪化すると、男に告白し始めるんだ……」
「男に?!」
「そうなんだよ。気弱な男がこれによって好きな女性に告白出来る、とかなら良かったんだが。
男に告白なんだよ! 男が! 男に!」
地獄だ……。
「しかも病人同士だと、それが成立してしまうんだぞ!」
「ナニソレ! 怖い!」
「今の所、治癒したという話は聞かないが、もし治った時にその事を覚えていたら?
覚えているだけならまだしも、その感情が残ってたら?」
「恐怖しかない!!」
もし自分だったら、自殺するかもしれない。
「くそっ、なんだってんだよ! せめて脱衣が女なら良かったのに!」
「いやいや、確かに男ならその考えは理解出来ますけどね?
でも、自分の嫁さんだったら? それに、お婆さんや子供のヌードを見たいですか?」
「……そう言われればイヤだな。若い女しか考えてなかった」
「それにもしそうなら、若い女性は絶対に外に出なくなるでしょ」
「家の者も出られないようにするだろうな」
好きな女性が公衆の面前でヌードになるなんて、大問題だ。
こんな話をしてたら、兵士がやってきた。
「やっと衛兵が来たか」
「衛兵?」
「警備や取締りをするのを衛兵って言うんだ」
警察みたいなものか。
「へ~、他には?」
「今この街に居るのは、工兵、衛生兵、領主の兵、そして近衛兵だな」
「? 無知なもんで、違いが判りません」
「工兵ってのは兵站の管理や、建設破壊活動をする兵だ。衛生兵は医療業務をする兵。
領主の兵は領主が雇っている兵。そして近衛兵は王位継承第一位の王太子が連れてやってきた王直轄の兵だ」
兵站ってアレだろ? 補給部隊みたいなやつ。
で、工兵って、行く先で橋作ったり、逆に敵に渡られないように橋を壊したりする兵か。
衛生兵は判る。
謎の病気が流行ってるくらいだから、そりゃ来るよな。
領主は兵を雇ってるんだね。
軍って国の管轄だと思ってたわ。
あっ、そうか。こないだみたいに魔物?モンスターが大群で襲ってきたら、冒険者じゃあ対処出来ないよな。
逆に冒険者に任せてるようじゃダメだよね。
だって人数が揃うか判らないし、強い冒険者が居るとは限らない。
「王太子が来てるんですか?!」
「ああ。非常事態だからな」
「確かに。未知の病気なんでしょ?」
「そうだ」
「でもそんな所に王太子が来て良いんですか?」
「そんなだから王太子が来てるんだ。王直属じゃないと、すぐに対処出来ないだろ」
「そうなんだ。詳しいですね」
「これでもギルドマスターだからな」
「ギルドマスター?!」
ギルドマスターがなんで店主?バーテンダー?をしてんだ!
そう言われてみれば、確かに強そうに見える。
「ところで、王太子って? 王子じゃないんですか?」
「さっきも言っただろ。王位継承第一位の王子の事を王太子って言うんだよ」
へ~。初めて知ったわ。
ギルドマスターと会話してたら、グラシアが俺の足をチョンチョンしてきた。
「どうした、グラシア」
「大事な話があるのー」
「ここじゃダメか?」
「別に良いけどー。ギルドマスターを巻き込むならー」
内緒の話か。
じゃあトイレにでも行って話すかな?
「おいおい。巻き込むってなんだ?」
「あっ、聞こえてました?」
「目の前だろうが! 聞こえるわ!」
「え~と、どうします? 別に俺は良いですけど、聞きたいですか?」
「あぁ。聞きたいな」
「多分後悔すると思いますけど、それでも?」
「後悔する? 知らない方が後悔すると思うがな」
いや~、どうかなぁ?
秘密のレベルが違うと思うんだよなぁ。
「まぁ良いですよ。グラシア、ここで話しても良いよ」
「はーい」
やっぱり内容はとんでもなかった。
ゴメンね、ギルドマスター。聞いて後悔してるでしょ?
大騒ぎになった。
ギルド内に居た全員が脱ぎだした冒険者を押さえつけている。
「店主さん? 店主で良いのかな? な、何事ですか?」
「あぁ、この街に来たばかりですか……。門で説明されたでしょ? あれが例の病気ですよ……」
「えっ?! あれが?! 脱いでるだけっていうか、脱衣現象が?」
「そうです。発症すると、男は全裸になりたがる、女は誰にでも告白してしまうんだ」
男は脱ぎたがる? 女は告白する?
それって病気なの?
「本当に病気?」
「ええ。しかも男は悪化すると、男に告白し始めるんだ……」
「男に?!」
「そうなんだよ。気弱な男がこれによって好きな女性に告白出来る、とかなら良かったんだが。
男に告白なんだよ! 男が! 男に!」
地獄だ……。
「しかも病人同士だと、それが成立してしまうんだぞ!」
「ナニソレ! 怖い!」
「今の所、治癒したという話は聞かないが、もし治った時にその事を覚えていたら?
覚えているだけならまだしも、その感情が残ってたら?」
「恐怖しかない!!」
もし自分だったら、自殺するかもしれない。
「くそっ、なんだってんだよ! せめて脱衣が女なら良かったのに!」
「いやいや、確かに男ならその考えは理解出来ますけどね?
でも、自分の嫁さんだったら? それに、お婆さんや子供のヌードを見たいですか?」
「……そう言われればイヤだな。若い女しか考えてなかった」
「それにもしそうなら、若い女性は絶対に外に出なくなるでしょ」
「家の者も出られないようにするだろうな」
好きな女性が公衆の面前でヌードになるなんて、大問題だ。
こんな話をしてたら、兵士がやってきた。
「やっと衛兵が来たか」
「衛兵?」
「警備や取締りをするのを衛兵って言うんだ」
警察みたいなものか。
「へ~、他には?」
「今この街に居るのは、工兵、衛生兵、領主の兵、そして近衛兵だな」
「? 無知なもんで、違いが判りません」
「工兵ってのは兵站の管理や、建設破壊活動をする兵だ。衛生兵は医療業務をする兵。
領主の兵は領主が雇っている兵。そして近衛兵は王位継承第一位の王太子が連れてやってきた王直轄の兵だ」
兵站ってアレだろ? 補給部隊みたいなやつ。
で、工兵って、行く先で橋作ったり、逆に敵に渡られないように橋を壊したりする兵か。
衛生兵は判る。
謎の病気が流行ってるくらいだから、そりゃ来るよな。
領主は兵を雇ってるんだね。
軍って国の管轄だと思ってたわ。
あっ、そうか。こないだみたいに魔物?モンスターが大群で襲ってきたら、冒険者じゃあ対処出来ないよな。
逆に冒険者に任せてるようじゃダメだよね。
だって人数が揃うか判らないし、強い冒険者が居るとは限らない。
「王太子が来てるんですか?!」
「ああ。非常事態だからな」
「確かに。未知の病気なんでしょ?」
「そうだ」
「でもそんな所に王太子が来て良いんですか?」
「そんなだから王太子が来てるんだ。王直属じゃないと、すぐに対処出来ないだろ」
「そうなんだ。詳しいですね」
「これでもギルドマスターだからな」
「ギルドマスター?!」
ギルドマスターがなんで店主?バーテンダー?をしてんだ!
そう言われてみれば、確かに強そうに見える。
「ところで、王太子って? 王子じゃないんですか?」
「さっきも言っただろ。王位継承第一位の王子の事を王太子って言うんだよ」
へ~。初めて知ったわ。
ギルドマスターと会話してたら、グラシアが俺の足をチョンチョンしてきた。
「どうした、グラシア」
「大事な話があるのー」
「ここじゃダメか?」
「別に良いけどー。ギルドマスターを巻き込むならー」
内緒の話か。
じゃあトイレにでも行って話すかな?
「おいおい。巻き込むってなんだ?」
「あっ、聞こえてました?」
「目の前だろうが! 聞こえるわ!」
「え~と、どうします? 別に俺は良いですけど、聞きたいですか?」
「あぁ。聞きたいな」
「多分後悔すると思いますけど、それでも?」
「後悔する? 知らない方が後悔すると思うがな」
いや~、どうかなぁ?
秘密のレベルが違うと思うんだよなぁ。
「まぁ良いですよ。グラシア、ここで話しても良いよ」
「はーい」
やっぱり内容はとんでもなかった。
ゴメンね、ギルドマスター。聞いて後悔してるでしょ?
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