好奇心は身を滅ぼす?

お子様

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029 トイレと宿と…

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どうしても気になったので、警官を見つけて質問してみた。

「そんな歴史も知らないなんて、君は結構な田舎から出てきたんだなぁ。
 100年くらい前に、疫病が蔓延したんだ。
 その時に当時の学者が『街の汚物が病気の原因』と提唱したんだ。
 誰も信じなかったけど、当時の王だけは違った。国庫を開き、トイレ開発を発令したんだよ。
 そして1年後にトイレが完成。街中に公衆トイレが作られた。
 何で街中かって? 個人で作れる金持ちなんか少ないだろ?
 庶民は家から出て公衆トイレに行くんだよ。
 話が逸れたね。その結果、疫病も無くなり、街の臭いも消えたんだ。
 今では低予算でトイレが作れるようになってきたので、一家に一箇所ある感じかな?」

名君が居たんだねぇ。
トイレ王とか呼ばれてるのかな? いや、それは不敬か。

だが、俺の好奇心はそれだけじゃあ終わらないぜ!

「どんな仕組みなんですか?」
「確か魔石を利用してるはずだよ。当時は街中で魔法は使えなかったからね。
 噂では、城で使われないように、王族が魔法を封印してたとか言われてるけどね。
 他国との戦争も無くなったから、魔法を使えるように開放したとかも言われてるな。
 おっとまた話が逸れたね。悪いくせでね。
 もっと詳しく聞きたければ、トイレ専門店に行く方が良いよ」

言えない。臭かったから妖精が嫌がって居なかった、なんて言えない。

しかしトイレ専門店なんてあるのか。
是非とも訪れないといけない場所だな。
出来る事ならドラゴンの巣にも作ってもらいたいし。
出張してくれないかなぁ。

親切な警官と別れ、宿に向かう。
宿の名前は「満員御礼」だったな。鶏の絵が書いてあるらしいけど。
あぁ、あれか……。あれ、絵って言うレベルか?
壁一面にデカデカと鶏が書いてあるんだけど!
普通看板だと思うじゃん!

でも、確かに人気っぽいな。
出入りする人も多いし、横には馬車が多数置かれている。
多分、現代で言う駐車場のような所なんだろう。
馬車だから当然馬も居るんだけど、ちゃんと馬小屋が別である。
つまり、この宿、デカいです。

中に入り、受付に向かう。
あれっ? 予約してあるって話だけど、どう言えば良いんだろう?
俺の名前? 領主さんの名前?

領主さんの名前が思い出せなかったので、俺の名前でチャレンジ。

「すみませ~ん」
「いらっしゃいませ。本日は満室となっております」
「えっと、予約してあると思うんですけど……」
「お名前をお伺いしても?」
「ロキスル・パトリエルです」
「少々お待ち下さい」

受付の男性は帳簿のような物をチェックしている。

「確認が取れました。では身分証をお願いします」
「あ、はい」

身分証を渡すと、受付の男性は、何か光の出る平らな石のような物の上に置いた。
ICカードみたいだ。どうなってるのだろう? 気になるわ~。

「確認出来ました。お返しします。
 最後に、渡された物をお見せ頂けますか?」

渡された物?
あっ、思い出した! あの紋章入りのバッジのような物か!

慌ててポケットだから出すと、受付の男性はチラッと見ただけで仕舞うように言ってきた。
どうやら見せびらかすような物では無いらしい。
まぁ、無くしても大変だし、盗られたりしたら大問題だもんな。

「ありがとうございます。本日はご来店ありがとうございます。
 お部屋は226号室で御座います。係の者がご案内致しますので少々お待ち下さい」
「あ、ありがとうございます」
「お荷物もお運び致しますが、どちらに?」
「あっ、何も無いです」
「えっ? あっ、そうですか。これは失礼致しました」

全部収納してるし、もし出してても運べないだろう。
でもさすがに荷物無しは変に思われたようだ。
今度からカバンでも買って、少しは持ち歩くようにした方が良さそうだ。
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