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026 定番?な襲撃
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軽くしたからだろうけど、俺達の乗ってる馬車は結構な速度で進んだ。
当然乗っている俺と領主さんの尻へのダメージもデカく……。
防御魔法を使っても防げなかったので、道中の街で藁を詰めた袋を大量に買い、それを敷き詰める事で軽減させた。
王都に着いたら俺が収納する予定となっている。
貴族の馬車内が藁の入った袋だらけじゃあ格好悪いからね。
道中は俺の使える魔法について色々聞かれる。
その他にはドラゴンから得た知識なども。
なので、ここぞとばかりに披露したんだけど……4日目から黙れと言われた。
聞かれたから答えただけなのに!
朝乗った時から宿に着くまで話し続けたのがいけなかったのかも。
集中力は1時間持たないって言うから、途中で10分休憩を挟むべきだったか。
そんなこんなで、後3日で到着するという所まで来た時。
道の先で戦いが起きていた。
馬車を守る冒険者と兵士、攻めるモンスターの構図。
あれはオークか? 4体も居るようだ。
「おい、襲われてるぞ!」
「ラッキーですね」
「お前、頭大丈夫か?! 何がラッキーなんだよ!」
「えっ? だってもう少し早く来てたら俺達が襲われてましたよ? ラッキーでしょう?」
「お前、あの状況見て、何とも思わないのか?!」
怒られた。
いやだってさ、冒険者と兵士で対処出来てるよ?
「勝つでしょ?」
「勝つかもしれんが、助太刀しようと思わないのか?!」
「必要無いですよね?」
「必要有るわっ! 辛勝と楽勝なら、誰もが楽勝の方が良いだろうが!」
「そりゃそうですけど。仕事を取る事になりますよ?」
それに乱入者を信用してくれるのか、という疑問もある。
最悪を想定すれば、俺達がモンスターをけしかけておいて、護衛がそちらに構っている間に馬車を襲うと思われるかも。
「こっちは貴族の馬車! そんなの考えないわ!」
「判らないじゃないですか」
「とにかく、助けに行け! 疑われるのが嫌なら、こっちの身分を名乗ってから行け!」
「信用されないかも。それに戦闘中だから聞こえないかも?」
「何でそんなにマイナス思考なんだよ!」
「いや、だって、興味無いですから」
俺の時代にもオークは居たし、研究されてた。
今更オークを調べても面白みは一切無い。
「人の命がかかってるんだよ!」
「判りましたよ! オークを倒せば良いんでしょ、倒せば!」
「そうだ!」
「じゃあ御者さん、馬車で横を通って、抜いて行って下さい」
「スルーする気か?!」
「違いますよ。面倒だから降りずに対処するだけですって。
なので速度も落とさなくて良いですよ」
「…………本気か?」
「ええ」
「そう言っておいてスルーするんじゃないだろうな?」
「そんな事したら、王都でやる事を助けてくれないでしょ? ちゃんとやりますよ」
俺は窓から顔だけ出す。
目標はオーク4体。
俺が狙うなら間違いなく、オークと戦闘中の冒険者や兵士も巻き込む。
だが、狙いを付けるのは俺じゃない、精霊だ。
「ちょっとあそこのオーク4体の重力を20にしてくれない? 死んだら戻してくれればいいから」
これで終わり。
あっという間にオークだけが潰れた。
冒険者と兵士が呆然としている横を馬車が通る。
その時に領主さんが身を乗り出し、デカい声を上げた。
「私はシュトー領領主のイシシモ・ベルセ・シュトーである!
勝手ながら私の配下の者が助太刀し、モンスターを倒した!
急いでいるのでこれで失礼するーーーーっ!」
「いきなり大きな声を出さないでくださいよ。ビックリするじゃないですか」
「ビックリしたのは俺の方だ! 何かつぶやいたと思ったら簡単に倒しやがって!
御者に止まれと言っても止まらんし!」
御者さん曰く「あんな倒し方が出来る魔法使いに逆らいたくありません。貴族に逆らった方がマシです」との事。
俺は化け物かよ。魔王かよ。悪いモンスターじゃないよ?
当然乗っている俺と領主さんの尻へのダメージもデカく……。
防御魔法を使っても防げなかったので、道中の街で藁を詰めた袋を大量に買い、それを敷き詰める事で軽減させた。
王都に着いたら俺が収納する予定となっている。
貴族の馬車内が藁の入った袋だらけじゃあ格好悪いからね。
道中は俺の使える魔法について色々聞かれる。
その他にはドラゴンから得た知識なども。
なので、ここぞとばかりに披露したんだけど……4日目から黙れと言われた。
聞かれたから答えただけなのに!
朝乗った時から宿に着くまで話し続けたのがいけなかったのかも。
集中力は1時間持たないって言うから、途中で10分休憩を挟むべきだったか。
そんなこんなで、後3日で到着するという所まで来た時。
道の先で戦いが起きていた。
馬車を守る冒険者と兵士、攻めるモンスターの構図。
あれはオークか? 4体も居るようだ。
「おい、襲われてるぞ!」
「ラッキーですね」
「お前、頭大丈夫か?! 何がラッキーなんだよ!」
「えっ? だってもう少し早く来てたら俺達が襲われてましたよ? ラッキーでしょう?」
「お前、あの状況見て、何とも思わないのか?!」
怒られた。
いやだってさ、冒険者と兵士で対処出来てるよ?
「勝つでしょ?」
「勝つかもしれんが、助太刀しようと思わないのか?!」
「必要無いですよね?」
「必要有るわっ! 辛勝と楽勝なら、誰もが楽勝の方が良いだろうが!」
「そりゃそうですけど。仕事を取る事になりますよ?」
それに乱入者を信用してくれるのか、という疑問もある。
最悪を想定すれば、俺達がモンスターをけしかけておいて、護衛がそちらに構っている間に馬車を襲うと思われるかも。
「こっちは貴族の馬車! そんなの考えないわ!」
「判らないじゃないですか」
「とにかく、助けに行け! 疑われるのが嫌なら、こっちの身分を名乗ってから行け!」
「信用されないかも。それに戦闘中だから聞こえないかも?」
「何でそんなにマイナス思考なんだよ!」
「いや、だって、興味無いですから」
俺の時代にもオークは居たし、研究されてた。
今更オークを調べても面白みは一切無い。
「人の命がかかってるんだよ!」
「判りましたよ! オークを倒せば良いんでしょ、倒せば!」
「そうだ!」
「じゃあ御者さん、馬車で横を通って、抜いて行って下さい」
「スルーする気か?!」
「違いますよ。面倒だから降りずに対処するだけですって。
なので速度も落とさなくて良いですよ」
「…………本気か?」
「ええ」
「そう言っておいてスルーするんじゃないだろうな?」
「そんな事したら、王都でやる事を助けてくれないでしょ? ちゃんとやりますよ」
俺は窓から顔だけ出す。
目標はオーク4体。
俺が狙うなら間違いなく、オークと戦闘中の冒険者や兵士も巻き込む。
だが、狙いを付けるのは俺じゃない、精霊だ。
「ちょっとあそこのオーク4体の重力を20にしてくれない? 死んだら戻してくれればいいから」
これで終わり。
あっという間にオークだけが潰れた。
冒険者と兵士が呆然としている横を馬車が通る。
その時に領主さんが身を乗り出し、デカい声を上げた。
「私はシュトー領領主のイシシモ・ベルセ・シュトーである!
勝手ながら私の配下の者が助太刀し、モンスターを倒した!
急いでいるのでこれで失礼するーーーーっ!」
「いきなり大きな声を出さないでくださいよ。ビックリするじゃないですか」
「ビックリしたのは俺の方だ! 何かつぶやいたと思ったら簡単に倒しやがって!
御者に止まれと言っても止まらんし!」
御者さん曰く「あんな倒し方が出来る魔法使いに逆らいたくありません。貴族に逆らった方がマシです」との事。
俺は化け物かよ。魔王かよ。悪いモンスターじゃないよ?
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