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021 精霊と妖精
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ドラゴンが俺の過去を勝手に話す件。
非常に恥ずかしいです。
だ、だが、研究者としては間違ってない!と胸を張って言えたら良いな……。
「そ、それは本当なのでしょうか?」
『無論。更に来た時よりも少し若返っているようにも見える。まぁ、見た目だけだがな。
年齢は年寄りも年寄り、老害なジジイだ』
「誰が老害だ!」
『お前だ。鬱陶しい質問攻めするくせに。どうせこやつらが居た砦でもやったのだろう?』
「待て! 異議あり! 俺が質問攻めするのは年を取ったからじゃない! 元からだ!」
『そう言えばそうだったな』
認められれば、それはそれでちょっと悔しい。
「つまりパトリエルは何百年も昔の人間だと?」
『そうだ』
「それなら身分証が無いのも頷ける……」
「どういう事です?」
「身分証が作られるようになったのは、約150年前くらいと言われているからだ」
師団長さんが教えてくれた。
まぁ、持ってても風化してただろうけどね。
『我が証明した訳だが、こやつの身分はどうなる?』
「は、はい。これ以上無い証明ですので、身分を認めようと思います」
「って領主さんが言ってるけど、大丈夫なんですか?」
「領主がこの場で認めたんだ。大丈夫だ。
と言うか、ここでウソを言ってら発覚した時にどうなるか……考えるだけで恐ろしい。
そんな度胸はあいつには無い!」
師団長さんと領主さんは仲が良いんだな。
『では、これで話は終わりか?』
「そ、そうですね。おい、ギロ! 他に何かあるか?」
「は、はい! あのですね、バトリエルが色々な魔法を使っているのですけど……」
『うむ。我が教えたからな』
「それは我々でも師事出来るのでしょうか?」
『教える事は我でなくとも、そやつでも出来る。だが、多分無理だ』
「それは何故か尋ねてもよろしいでしょうか?」
『隠す事でもない。単純に魔力が足りぬ。後、精霊がおらぬので無理なだけだ』
「せ、精霊でございますか?」
精霊の事を知らないようだ。
って偉そうに言ってるけど、俺も知らなかった。
ここでドラゴンは精霊の事を説明し始めた。
俺の知らない事も言いだしてる。興味ある!!
『まず、この世界には精霊が一対居るのだ。
それは重力を司っていたり、空気を司っていたり、色々だがな。
そしてその片方は我と契約している。残った方がこの世界で使われている魔法を発現させているのだ』
「という事は、ホワイトドラゴン様は全ての魔法が使える、と?」
『そうだな。まぁ使わない事の方が多いがな』
「何故契約をされるのですか?」
『この世界に渡って来た時に契約をするのだ。
人間のいう所の宿と家賃のようなものだと思えば良い』
そうだったのか。
あの頃は魔法の特訓ばかりで聞けなかったなぁ……。
『少し詳しく説明してやろう。そこの変態が聞きたがっているようだしな』
誰の事だろう?
『モンスターや人間が魔法を使う時、そこら辺に居る妖精がその情報を得る。
それを司る精霊に話を持っていくのだ。そこで了承されれば魔法が発動する。
魔法が発動した時に魔力が減るのは、妖精が伝達料として、そして精霊が対価として取るからだ』
「そのような仕組みになっているのですね……」
「魔力が魔法に変換されていると思っていました……」
『人間には妖精も精霊も見えぬから、理解は出来ぬだろうな』
確かに見えない物は信じがたい。
病気だって菌やウイルスが関係していると言われても誰も信じないだろう。
『ここまで話して理解出来たと思うが、魔法を発現する方法は2通りしかない。
精霊と契約して直接やりとりするか、妖精を介して精霊に頼むか』
「そうなりますね」
『人間は見えぬ相手と契約をする事が出来ぬであろう? だから妖精に頼るしか無い。
豆知識として教えてやろう。妖精のおらぬ地もある。そこでは魔法は発動せぬぞ』
「そのような場所が?!」
『あちこちにあるぞ。ついでに言えば意図的に作り出す事も出来る』
「そ、その方法は、教えて頂けますか?!」
領主さんが必死になった。
でも重要な話だよな。
領主さんの館とか、王城とか、魔法が使えない方が良さそうな場所は沢山ある。
刑務所だってそうだろう。
現代で考えたらわかりやすい。
誰もが魔法を使えるってのは、皆が武装して歩いているのと同じだ。
銃器が動かないようになる場所って必要だよ。学校とか武装必要無いもん。
『妖精の嫌いな匂いのする物を置くだけで良い』
めっちゃ簡単だった!
でも、それなら何で今まで分からなかったのだろう?
この疑問は皆が思ったようで、師団長さんが質問した。
「それはどのような匂いなのでしょうか? 我々でも入手出来る物でしょうか?」
『誰でも入手出来る』
「おおっ!」
『と言うかな、お前らも好きな匂いじゃないと思うぞ。我でも嫌だ』
ふむふむ。その匂いにしてればドラゴンも来ないと。
これは国に取って有力な情報じゃないか?
「その匂いとは?」
『糞尿の匂いよ。お前達も好きな匂いじゃないだろう?』
……最悪な回答だった。
いくら魔法を使われたくないからって、糞尿の匂いのする王城なんて嫌だ!
非常に恥ずかしいです。
だ、だが、研究者としては間違ってない!と胸を張って言えたら良いな……。
「そ、それは本当なのでしょうか?」
『無論。更に来た時よりも少し若返っているようにも見える。まぁ、見た目だけだがな。
年齢は年寄りも年寄り、老害なジジイだ』
「誰が老害だ!」
『お前だ。鬱陶しい質問攻めするくせに。どうせこやつらが居た砦でもやったのだろう?』
「待て! 異議あり! 俺が質問攻めするのは年を取ったからじゃない! 元からだ!」
『そう言えばそうだったな』
認められれば、それはそれでちょっと悔しい。
「つまりパトリエルは何百年も昔の人間だと?」
『そうだ』
「それなら身分証が無いのも頷ける……」
「どういう事です?」
「身分証が作られるようになったのは、約150年前くらいと言われているからだ」
師団長さんが教えてくれた。
まぁ、持ってても風化してただろうけどね。
『我が証明した訳だが、こやつの身分はどうなる?』
「は、はい。これ以上無い証明ですので、身分を認めようと思います」
「って領主さんが言ってるけど、大丈夫なんですか?」
「領主がこの場で認めたんだ。大丈夫だ。
と言うか、ここでウソを言ってら発覚した時にどうなるか……考えるだけで恐ろしい。
そんな度胸はあいつには無い!」
師団長さんと領主さんは仲が良いんだな。
『では、これで話は終わりか?』
「そ、そうですね。おい、ギロ! 他に何かあるか?」
「は、はい! あのですね、バトリエルが色々な魔法を使っているのですけど……」
『うむ。我が教えたからな』
「それは我々でも師事出来るのでしょうか?」
『教える事は我でなくとも、そやつでも出来る。だが、多分無理だ』
「それは何故か尋ねてもよろしいでしょうか?」
『隠す事でもない。単純に魔力が足りぬ。後、精霊がおらぬので無理なだけだ』
「せ、精霊でございますか?」
精霊の事を知らないようだ。
って偉そうに言ってるけど、俺も知らなかった。
ここでドラゴンは精霊の事を説明し始めた。
俺の知らない事も言いだしてる。興味ある!!
『まず、この世界には精霊が一対居るのだ。
それは重力を司っていたり、空気を司っていたり、色々だがな。
そしてその片方は我と契約している。残った方がこの世界で使われている魔法を発現させているのだ』
「という事は、ホワイトドラゴン様は全ての魔法が使える、と?」
『そうだな。まぁ使わない事の方が多いがな』
「何故契約をされるのですか?」
『この世界に渡って来た時に契約をするのだ。
人間のいう所の宿と家賃のようなものだと思えば良い』
そうだったのか。
あの頃は魔法の特訓ばかりで聞けなかったなぁ……。
『少し詳しく説明してやろう。そこの変態が聞きたがっているようだしな』
誰の事だろう?
『モンスターや人間が魔法を使う時、そこら辺に居る妖精がその情報を得る。
それを司る精霊に話を持っていくのだ。そこで了承されれば魔法が発動する。
魔法が発動した時に魔力が減るのは、妖精が伝達料として、そして精霊が対価として取るからだ』
「そのような仕組みになっているのですね……」
「魔力が魔法に変換されていると思っていました……」
『人間には妖精も精霊も見えぬから、理解は出来ぬだろうな』
確かに見えない物は信じがたい。
病気だって菌やウイルスが関係していると言われても誰も信じないだろう。
『ここまで話して理解出来たと思うが、魔法を発現する方法は2通りしかない。
精霊と契約して直接やりとりするか、妖精を介して精霊に頼むか』
「そうなりますね」
『人間は見えぬ相手と契約をする事が出来ぬであろう? だから妖精に頼るしか無い。
豆知識として教えてやろう。妖精のおらぬ地もある。そこでは魔法は発動せぬぞ』
「そのような場所が?!」
『あちこちにあるぞ。ついでに言えば意図的に作り出す事も出来る』
「そ、その方法は、教えて頂けますか?!」
領主さんが必死になった。
でも重要な話だよな。
領主さんの館とか、王城とか、魔法が使えない方が良さそうな場所は沢山ある。
刑務所だってそうだろう。
現代で考えたらわかりやすい。
誰もが魔法を使えるってのは、皆が武装して歩いているのと同じだ。
銃器が動かないようになる場所って必要だよ。学校とか武装必要無いもん。
『妖精の嫌いな匂いのする物を置くだけで良い』
めっちゃ簡単だった!
でも、それなら何で今まで分からなかったのだろう?
この疑問は皆が思ったようで、師団長さんが質問した。
「それはどのような匂いなのでしょうか? 我々でも入手出来る物でしょうか?」
『誰でも入手出来る』
「おおっ!」
『と言うかな、お前らも好きな匂いじゃないと思うぞ。我でも嫌だ』
ふむふむ。その匂いにしてればドラゴンも来ないと。
これは国に取って有力な情報じゃないか?
「その匂いとは?」
『糞尿の匂いよ。お前達も好きな匂いじゃないだろう?』
……最悪な回答だった。
いくら魔法を使われたくないからって、糞尿の匂いのする王城なんて嫌だ!
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